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紀伊國屋書店福岡天神店が閉店 
07/3/27

いよいよ今月末で、紀伊國屋書店福岡天神店が閉店です。一般紙でも報道されていたらしいのですが、新聞をとっていないわたしは、確か2月に入ってからだったと思いますが、いつもお世話になっている担当者の方から知らされて初めて知った次第です。初めは我が耳を疑ったほどですが、本社でも決定済みのことで、3月31日閉店は動かし難い事実だと知った時は、驚きを通り越して、かなりの衝撃を受けました。そして思わず涙がこぼれてくるのも押しとどめ難く、時代の激変を我が身にしみる思いで感じていました。

紀伊國屋書店福岡天神店が天神コアに開店してから30年になるとのことですが、三多の時代から今日まで、葦書房の本の販売にも多大なご協力、ご支援をいただいてきました。わたし個人にとっても、紀伊國屋書店は本屋以上の意味をもつ本屋さんでした。子供たちがまだ小さな頃は、紀伊國屋に本を買いに行くというのは、特別のイベントのような意味合いをもっていました。そして紀伊國屋で本を買った後は、上階にある京風らーめんを食べるというのも、だいたいお決まりのコースでした。このラーメン屋さんはいつも満員でかなり待たないと席に座れないほどの人気者でした。子供たちが大きくなって、わたしが一人で紀伊國屋に行くときも京風らーめんに寄るという習慣はつづいていましたが、今から8年ほど前に突然消滅しました。いつも満員でしたので、売上げ減による閉店でないことだけは明らかです。その跡に店の造りだけは凝った和風レストランが出店していましたが、一度入ったものの、2度と行こうとは思わぬ味でした。しかしこの店も開店1、2年で閉店しています。こちらの閉店は、明らかに不人気による経営不振の結果でしょう。

他にもテナントは大幅に入れ代わっているようですが、かつては固定していたテナントが頻繁に入れ代わって、いわばテナントの使い捨て状況になっているのも、ここ最近の天神コアの特徴です。天神コアそのものが騒々しく落ち着きがなくなっていますが、このビル全体の変容と紀伊國屋の閉店とは密接に関連しています。10年以上前になりますが、天神コアが経営不振に陥ったとかで、オーナーと経営者が変わったとのニュースを聞いたことがあります。当時はさほど注意していなかったのですが、今から思うと、若者を中心にした天神コアの集客力からするならば、経営不振などありえぬことだと思われますが、このニュースの後しばらくしてから、天神コアの様相が一変しました。

テナントが変わり、店のディスプレイが非常にけばけばしくなり、騒音つきというおまけ付き。まるで新宿東口のアルタが、そっくりそのままコアに移動してきたような印象でした。通常ならば、とても本を買いにくるような環境とはいえぬ変わりようです。本家アルタは紀伊國屋新宿店の横にありますが、こちらは間に道路もあり、アルタが店内にまで侵入することはありませんが、天神コアは中にまで侵入されたも同然の様子でした。この時から、紀伊國屋書店の追い出し作戦は始まったとわたしは判断しています。

天神コアはもともと若者をターゲットにしたファッションビルとして登場しましたが、けばけばしさや騒々しさとは無縁でした。若者向けファッションビルとはいえ、紀伊國屋とも違和感なく共存できる環境だったわけです。しかし「アルタ」の進出は、この環境を一気に破壊してしまいました。この激変から1年ほど経った頃、天神コアから一つ筋を置いた場所にオープンした岩田屋新館Zサイド(現在の新館ではありません)に、最上階全フロアを使ったリブロがオープンしました。紀伊國屋の環境を一気に悪化させた上でのリブロのオープン(後に閉鎖)。「アルタ」進出の手引きをしたのは、堤清二氏の深謀遠慮によるものだったと推測していますが、天神コアの経営不振を捏造したのも清二氏だったはず。現在は、イオンがコアのオーナー兼経営者のようですが、どういう経緯でイオンにまで辿り着いたのかは、注意していませんでしたので不明です。

わたしが文化犯罪として告発してきた犯罪は、不法無法をものともとせぬ手段を駆使して老舗や実力者を排除、抹殺することを特徴の一つにしていますが、当然のことというべきか、紀伊國屋書店もそのターゲットにされたわけです。もちろん紀伊國屋の撤退は周辺に競合他社が出店してきたことも理由の一つかもしれませんが、けばけばしく点滅しつづけるピンクのライトや騒音とど派手な下着類に席巻されたコアに、本を買いにくるというのは、正直苦痛以外の何物でもありません。にもかかわらず、今日まで営業がつづいたということは、一重に紀伊國屋書店のブランド力、紀伊國屋書店に対する読者の深い愛着の賜物であり、紀伊國屋書店の皆様の努力の結果であったと思います。

しかし福岡における天神地区の重要さを思うならば、この地を手放さぬ方策は立てられなかったのかと、無念に思わぬわけにはいきません。

王者は狙われる。紀伊國屋書店福岡天神店をもなぎ倒していく時代の激変とは、時の流れという自然の成りゆきに任せて生じた事態ではなく、明らかな意図によって演出された動きが、目下の「時代の激変」の正体であり、紀伊國屋書店福岡天神店の消滅はその一つの帰結にしかすぎません。同様の事態はまだまだつづきます。

 

2007年3月27日

久本福子
Yoshiko Hisamoto

 

 

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