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口蹄疫には感染していないと思われる宮崎県の種牛を巡って、宮崎県の東国原知事と山田農相が厳しく対立していますが、山田大臣の発言には多々疑問を感じざるをえません。殺処分を拒否して生き残った種牛を、畜産県の再興を期して県所有の種牛として救済したいという知事の申し入れに対し、山田大臣は拒否し続けています。拒否の理由として、大臣は以下のような発言を繰り返しています。
1殺処分に応じた農家との公平性が保てない。2さらに強力なウイルスが発生するおそれがある。3口蹄疫に対する県の対応が甘かったので感染が拡大したのであるから、県は反省すべきだ。4仙石官房長官が示した菅政権としての見解「国家的危機だから、断固として厳しい対応をすべきだ。」
1については、殺処分を拒否した農家が個人で所有するのではなく、県の共有財産として救済されるわけですから、この批判は当らないはず。
たとえ共有財産としてであれ殺されずに済めば、全頭を殺された農家が受ける精神的苦痛よりは軽いはずで、その分不公平感が生じるとの見方もあるかもしれません。しかし種牛の殺処分を拒否した農家も、種牛以外の牛は全頭殺処分しているわけです。わが子同然に育ててきた牛を殺さざるをえなかった農家の苦痛は、種牛処分を拒否した農家も、そうでない農家も全く変わらないはずです。
また、口蹄疫が猛威をふるっていた渦中に、国と県から出された種牛の殺処分命令を拒否しつづけることは、相当な覚悟を要する行為です。ある意味、精神的ストレスは殺処分に応じるよりもはるかに大きかったと思われます。処分を拒否した種牛がウイルスに感染し、さらなる感染拡大の原因元になるおそれもあったわけですから、その危険を抱えての処分拒否は、生半可な覚悟ではなかったはず。それだけに、この農家の無念の深さと宮崎牛に対する愛情は並外れたものではないかと思われます。また、一頭残らず、全てを処分した農家が、この種牛だけが救済されることに不満を抱くでしょうか。この種牛が完全に非感染であることが証明されるならば、他の農家の方々も、喜んで受け入れるのではないかと思われますが、如何でしょうか。宮崎県の市町村長会も全会一致で知事の方針を支持しています。
2については、今回の口蹄疫ウイルスそのものが、本来は自然界には存在しない強力なウイルスであったわけですが、さらに強力なウイルスが
発生する恐れもゼロではありません。ただしその場合は、この種牛が感染元ではなく、さらに強力なウイルスが人工培養されて、それがひそかに散布された結果発生すると考えるべきですので、この種牛を殺処分するか救済するかとは全く別次元の、バイオテロ対策問題として考えるべきです。
3と4については、まず反省すべきは政府自身ではないのですか。当時の鳩山政権の初動対応の遅れをこそ真摯に反省し、政府自らが宮崎県民と国民に対してお詫びをすべきです。山田氏が大臣に就任したのは、感染防止対策よりも外遊を優先した赤松前農相が、自ら感染拡大防止に向けた初動対応の遅れを認め、責任をとって辞任したことは天下周知の事実です。知事を非難するよりも、山田大臣自らが政府を代表してお詫びをすべきです。仙石官房長官も国家的危機にまで拡大させてしまった、政府の責任に対して一言お詫びがあって然るべきではないかと思います。
しかしなぜ菅政権は、移動・搬出制限が解除される予定の16日の直前になって、史上初だという代執行まで強行し、種牛処分をしようと躍起になっているのか。制限解除の直前になって殺処分代執行を強行すると
は、民主党は制限解除を妨害し、宮崎県の畜産業の再興を阻止することそのものを狙っているのではないかとさえ思われてきます。少なくとも民主党には、宮崎県の畜産業の再興を願う気持ちは微塵もないことだけは明らかです。政府としては仮に殺処分もやむなしとの判断に立ち至ったとしても、畜産農家の苦渋に思いをいたすならば、政府の判断そのもにも、苦渋の跡が刻印されざるをえないはずですが、この問題に限らず、民主党政権には全くその気配すらない。
参院選では千葉法務大臣が落選しましたが、政策の継続性が必要だとして、千葉大臣を留任させました。千葉氏はなぜ落選したのか。有権者が、千葉法相の政策の継続を拒否したからです。それ以外の理由はありえない。にもかかわらず継続性が必要だとは、民主党の民意に対する感度の鈍さには呆れ果てざるをえませんが、千葉大臣の政策とはすなわち民主党の政策でもあるわけですので、我々としては、大臣が誰になっても同じだというレベルで黙認するしかありませんが、政策の継続を認めたわけではありません。
民主党の民意に対する感度の鈍さは、阿久根市長の憲法無視、自治体法無視の、数々の違法行為を黙認していることにも現れています。総務省が指導に動き出すとの新聞報道がありましたが、誰かが止めたのか、今に至るも総務省は阿久根市に指導には入っていません。菅政権は、何ゆえに阿久根市長には超甘なのか。史上初だという代執行まで決めた、菅政権の宮崎県に対する強行姿勢との余りの落差は、いったい何ゆえなのか。菅政権はなぜ、感染していない種牛を殺すのか。
私のこの発言が公開されると、これみよがしに種牛にウイルスが散布されて感染症状が現れるおそれもなきにしもあらずですが、宮崎県の畜産農家の思いを想像する能力さえ欠落した菅政権の、ロボットのような対応には黙っていられなくなりました。わたしのこの発言が、新たな感染を誘引することのなきことを祈りつつ。
久本福子
YOSHIKO HISAMOTO
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