与那国島の自然環境 特徴的な地形

特定植物群落(環境省)*
与那国島基礎データ:北緯24度27分、東経123度位置する日本最西端の島。ほぼ西表島と台湾の中間点にあり、石垣島から南西へ117km、台湾からは111kmの距離にある。東西12km、南北4kmで、周囲27.49km、面積28.88km²。
亜熱帯気候に属し、平均気温24.1℃、年間降水量2782.5mm、平均湿度79%、平均風速6.7m/s。(2006年、気象庁HPより)
山地
宇良部岳 宇良部岳のシイ・カシ林
宇良部岳urabudagi

 宇良部岳(231.3m)は与那国島の最高峰です。東西に台地状の地形が連なり山脈を形成しています。山脈の西方にちょこんと飛び出した山がインビ岳(188.4m)です。インビとは与那国方言でイボのことです。
 与那国島本来の植生が残されており、宇良部岳の中腹から山頂部と、新川鼻へと続く地域の215.25haは『与那国島宇良部岳ヨナグニサン生息地』として沖縄県指定の天然記念物に指定されています。

宇良部岳のシイ・カシ林

 宇良部岳の南東側からインビ岳に至る台地の南斜面にはイタジイの林が発達します。(写真)
 宇良部岳山頂部から南斜面の尾根部には、県内の分布が与那国島と沖縄本島北部の山地に限られるウラジロガシの林が発達しています。本来は高さ20mにも達する常緑高木ですが、風衝地であるために樹高は3〜5mに抑えられています。

久部良岳 久部良岳のビロウ林
久部良岳kuburadagi

 島の西側に位置する久部良岳(195.6m)は、東に与那国dunandagi(128.6m)を経て、ほぼ島の中央部にまで連なる山脈を形成しています。
 山麓部にはヨナグニサンの食樹であるアカギモクタチバナショウベンノキキールンカンコノキが豊富に自生します。
 山地林の植物と低地林の植物が混在する独特の植生が残されており、山頂部を含む130.25haは『与那国島久部良岳天然保護区域』として県指定の天然記念物に指定されています。
久部良岳のビロウ林

 ビロウ(方言名:クバ)は、衣食住にわたって島民の生活に密接に関わってきた植物で、クバガサ、クバモチ、屋根を葺く材料などに利用されてきました。
 島内全域で地形に応じて群落を形成しており、特に風衝地で発達します。久部良岳の中腹から山頂部にかけては、広い範囲でビロウが最優占し、見事な景観を作っています。
 与那国島の自然を特徴づける植物であり、町木にも選定されています。

河川・湿地
田原川 樽舞湿原
田原川taburu

 全長2キロに満たない河川ですが、渓流、干潟、湿地など多様な自然環境を有しています。
 河口より600m付近まで汽水域となり、中流域に広がる湿地帯は、多くの野鳥に休息、採餌場を提供しています。
 汽水性貝類をはじめとする貴重な水生動植物の生息地である一方、テラピア、スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)、ホテイアオイなど外来生物によって在来の生態系が攪乱されています。
 下流部のマングローブ林は植林されたものです。
樽舞湿原tarumai

 南牧場の北に位置し、断層運動によりできた谷底低地に広がる湿地帯です。南側には高さ50mの断層崖が東西2qに渡って続いています。
 多様な動植物が生息する湿地は、独特の生態系を形成し、生物多様性の保全を考える上で貴重な場所です。
 樽舞湿原は、県内でも有数の広さを誇る湿地帯で、環境省指定「日本の重要湿地500」にも選定されています。
アンガイミドゥチ 新川鼻の低地林
アンガイミドゥチangaimiduci

 宇良部岳南斜面の亜熱帯林を流れる無数の沢が集まり、渓流を形成しています。
 幅4mほどで約1キロ続き、途中、伏流水が再び地上に流れだすことによってできた鍾乳石(写真)が50mほど連なった場所があります。
 『アンガイミドチ一帯』として与那国町指定天然記念物になっています。
新川鼻の低地林

 アンガイミドゥチ一帯は低地林が良く保存されています。アカギや、たくさんの気根を垂らしたオオバアコウの巨木、コミノクロツグなどが鬱蒼と茂り、まるで熱帯のジャングルのようです。
 ヨナクニカラスバト、キンバト、アカヒゲなど森林性の鳥類の生息地であり、冬期には、リュウキュウアサギマダラが数十〜数百頭もの越冬集団を作っているのを観察できます。
ミト池 ミミモチシダ群落
久部良ミット湿地帯kuburamitu

 久部良ミット(ミット、ミトゥは与那国方言で汽水湖を意味します。)は久部良岳の西に位置する汽水湖で、久部良港に注ぐ300mほどの河川によって潮汐変動を受けています。
 カワセミ、バン、シロハラクイナ、カイツブリなどの留鳥や、冬季にはコガモ、オナガガモ、マガモ、ホシハジロ、キンクロハジロなど多数のカモ類を観察することができます。
 周囲のミミモチシダ、セイコノヨシやマコモなどが茂る湿地帯とともに、与那国町の天然記念物に指定されています。
久部良大地のミミモチシダ群落

 ミミモチシダはマングローブ湿地など汽水域にみられる珍しいシダ植物で、国内では石垣島、西表島、与那国島に自生しています。八重山諸島は分布の北限に当たります。
 久部良ミット湿地帯の群落は、隣接して農道が整備されたことによって一部が破壊され、その後も乾燥化や陸生植物の侵入が進み、個体数が減少しています。

海岸
海蝕崖 サンニヌ台一帯の海岸風衝草原
海蝕崖

 与那国島の海岸線は、海触崖(かいしょくがい)が発達しているのが特徴です。特に東崎から荒川鼻にかけては、高さ50mから100mの切り立った海触崖が4km余りも続き、迫力のある景観をつくっています。
サンニヌダイ一帯の海岸風衝草原

 サンニヌ台から荒川鼻にかけての海崖の斜面にはバケイスゲ、ヤブラン、カニクサ、ヤンバルツルマオなどから成る風衝草原(ふうしょうそうげん)が発達しています。
 アデク、ギーマ、ハマヒサカキ、ヒラミカンコなどの大本の自生も見られますが、風衝地であるために高さ0.5mほどにしか生長していません。 厳しい環境条件に適応してできた特異な植生です。
ウブドゥマイ浜 与那国島東崎のコウライシバ群落
ウブドゥマイ浜ubudumaihama
 
 東崎の西に位置し、ナンタ浜に次ぐ広さがある砂浜です。
ハマゴウ、グンバイヒルガオ、ハマダイゲキなどが生える砂浜から、クサトベラ、モンパノキの海岸低木林、アダン群落、ハスノハギリ、クロヨナ、フクギなどで構成される海岸高木林と、海岸の植生を段階的に観察することができます
与那国島東崎のコウライシバ群落

 東崎の先端部には、絨毯を広げたようなコウライシバ群落が広がっています。
 イワダレソウ、リュウキュウコスミレ、リュウキュウシロスミレなどが多く生え、これらを食草とするタテハモドキやアオタテハモドキ、ツマグロヒョウモンの幼虫が地上を徘徊しています。
比川のミズガンピ群落
比川のミズガンピ群落

 クルマエビ養殖場北側の海岸線では、隆起珊瑚礁の上にミズガンピの群落が発達しています。
 県内最大の
ミズガンピ純群落として貴重で、熱帯地域では高さ10m位になる小高木が、風衝地であるために高さ1mほどにしかならず、短く刈り込まれたような景観をつくっています。
南牧場のトゲイボタ群落

 トゲイボタは琉球列島の3島だけに分布する匍匐性の常緑低木で断層崖の肩状部や岩塊を包み込むように群落をつくっています。
*「自然環境保全基礎調査」(環境省)の第2回基礎調査(1978)で、全国植物群落のうち学術上重要なもの、保護を必要とするもの
3,834の群落が選定・調査された。

与那国町の文化財〈自然環境〉
名称 指定月日 所在地
名勝 久部良バリ一帯 昭和49年4月25日 字久部良
サンニヌ台 昭和49年4月25日 字阿陀尼花
ティンダバナ 昭和49年4月25日 字野武原
天然記念物 与那国島宇良部岳ヨナグニサン生息地 昭和60年3月29日 字与那国宇良部2983-1
与那国島久部良岳天然保護区域 昭和60年3月29日 字与那国満田原3984-1
久部良ミット湿地帯 昭和54年3月24日 久部良4022の内