カキの名は、実が赤くなることよりつけられたようです。江戸時代後期の国語辞典『和訓栞〔わくんのしおり〕』には「柿は實の赤きより名を得たるにや、葉もまた紅葉す、」と記されています。一方、漢字の方は、中国名の柿〔し〕がそのまま用いられました。漢方薬に用いるカキヘタの柿蒂〔してい〕も同じです。この辺りの事情が、平安時代の日本初の分類別漢和辞書である『倭名類聚鈔〔わみょうるいじゅしょう〕』に、次のように記されています。<柿 説文云、柿 音 市、和名 賀岐、赤實菓也>。文中の『説文』は、中国後漢中期の書:『説文解字』〔せつもんかいじ〕のことです。また、同時代の『本草和名』(918年)などの多くの古文書には、「加岐」、「賀岐」の字が見受けられます。この頃は、『延喜式』(927年)によると渋柿の熟しや干し柿を祭礼の菓子として供していたようです。
柿は
の字の略字です。また、
は古字です。

英名は、 Persimmon(パーシモン)です。
市田柿 ICHIDAGAKI


市田柿の乾燥風景

市田柿(ころ柿)
カキ(染色体2n=90)の学名はDiospyros Kaki Thunberg (ディオスピーロス カキ ツンベルグ)です。この属名のディオスピーロス(Diospyros;カキ属)は、ギリシァ語のΔιοζπυροζ:Diospyros(ディオスピュロス)に由来しています。このディオスはゼウス(ジュピターの神;Jupiter)を、ピュロスは小麦、穀類、果実を指していると考えられています。すなわち、神の食べ物の意味で、美味な果実を讃えたものです。ちなみに、Kaki(カキ)は日本語の柿、ツンベルグは、カキの発見者のカール・ペール・ツンベルグ博士(Dr. Carl Peter Thunberg ;1743~1822年)の名です。彼は、有名なスウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネ(Carl von Linne : 1707~1778年)の門弟で、日本に来たことがあります。
| 小練 [こねり] |
: |
樹上で良く熟れた甘カキ。特に、良質な物を御所柿[ごしょかき]と呼びました。御所柿以外のものを木佐和志[きさわし]と呼んだようです。 |
佐和志柿・阿和世柿 |
: |
渋カキを黄色に熟れる直前にとり、石灰をまぶしたり、蕎麦がらの灰汁に 2・3日浸した後、干して脱渋したもの。 |
|
釣柿[つるしかき]・胡慮柿[ころかき]・串柿[くしかき] |
: |
いずれも干し柿[ほしがき]です。江戸時代には、乾柿と書きました。 |
|
熟柿[うみかき] |
: |
樹上で黄熟させてから、稲藁や麻縄で囲い、風雨や禽獣から保護し、霜の後に、紅熟をまって枝から採ったものです。 |
◎ 果実は、カキタンニンを大量に含み、血管の透過性を高め、酒酔いに効きます。
◎ 葉は、フラボノイド配糖体を含み、血圧降下に作用があります。高血圧症、動脈 硬化症や霜焼け,かぶれ、外傷の血止めに使われます。
◎ 蒂[へた]は、ウノソール酸、オレアノール酸やヘミセルロースを含み、しゃっくり止めに効果があります。
◎ 果実や葉にはビタミンC、カロテン、食物繊維、カリウムなどが沢山含まれており、成人病、癌などの予防、食生活の改善にも役立ちます。特に葉にはビタミンCが100g中300mgも含まれ、ミカンの5〜6倍に当たります。
◎ 生果実には、良質な糖が15〜20%位含まれています。そのうち、70〜80%がスクロースで、残りがグルコースとフルクトースです。また、干し柿の糖分の約65〜70%で大部分がグルコースとフルクトースです。干し柿の糖は、ゆっくり吸収され、廃棄物の出ないクリーンエネルギーです。
◎ 干し柿の白粉は、α-D-グルコースの結晶です。顕微鏡で観察すると美しい結晶が見られます。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
干し柿の白粉の顕微鏡写真(α-D-グルコースの結晶)400倍
◎ ビタミン Cは過酸化脂質などの酸化毒(発癌や老化を進めたり、免疫機能を低下させたりする。)や発癌因子のニトロソアミンの生成を抑制してくれます。
◎ カロテンは、ビタミン A効力の他に、免疫機能を高め、病気に罹りにくくしてくれます。
◎ 食物繊維は、発癌物質や過剰なコレステロール、食塩などを吸着して排泄してくれます。