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| ウワミズザクラ |
| 田邊 盛光 |
| ウワミズザクラは、古事記に出てくる有名なサクラです。当時の名前はハハカ(波々迦)でした。古事記には、天照大神が天の岩屋に閉じこもった時、八百万の神様達が集まって、占いをすることになり、その際に燃やした木がハハカであると書いてあります。以来、天皇の即位式などに、亀甲をハハカの炎で焼き、その亀裂によって占うことが行われていたとのことです。 本種の名は、太古の卜法に由来します。卜法では、鹿の肩骨の裏に丁形の溝を掘り、これをハハカの炎にかざし、生じた割れ目で占います。その溝を裏溝またはト(うら)溝というので、そのことからハハカがウラミゾザクラと呼ばれ、その後ウラミゾザクラは、ウワミズザクラに変わりました。なお、サクラは、「咲く麗(うら)の略だとのこと。 ウワミズザクラは、ソメイヨシノやヤマザクラなどが咲き終わる4月中旬から下旬にかけて咲きます。新枝のいただきに、多数の花をつけた長さ8〜10センチの総状花序を出します。花序の下に、3〜5枚の葉がついています。花は、葉と同時に開きます。萼筒は、長さ約2.5ミリの鐘形で、萼片は小さく長さ1ミリです。花は直径約6ミリで、白い花弁は5枚、長さ約3ミリです。雄しべは約30本で、花弁より長く突き出ています。雌しべは1本、雄しべと同じ長さです。果実は球形で、8月に熟します。(今回取り上げた理由です)最初は赤く色づき、熟すと黒紫色(径6〜7ミリ)になります ウワミズザクラの花穂や未熟の果実・熟した果実は食用になります。花は茹でて、三杯酢などで食べます。未熟の果実は、濃い塩湯を沸かし、軽く茹でてから塩漬けにします。この塩漬けを、アンニンゴ(杏仁子)と呼び、新潟などで売られています。熟した果実は、ジャムなどに加工する他に、未熟果と混ぜて果実酒にして、飲用します。 |