川辺川ダム事業について (県民クラブ)

 私たち県民クラブは川辺川ダム事業について、これまでの議会における予算審議の中で承認をしてきた。しかし、計画発表から35年間が経過し、時代の流れとともに経済状況・社会環境が変わり、

1、当初のダム事業の目的と現在の住民ニースが大きく乖離してきていること 
2、国・県の厳しい財政状況の中で多額の事業費を要すること 
3、自然環境の破壊につながること

などから、今後推進すべき事業ではないと判断し、事業継続に反対の方針で臨む こととする。


 本県は準用再建団体への転落が想定される厳しい財政状況であり、現在一切の聖域を設けず事務事業を抑え、人件費にまでメスを入れるなど財政健全化に向けた取り組みを進めている。  そのような状況の中、総事業費4100億円、県の負担が900億円という多額の財政負担が伴う川辺川ダム事業が、費用対効果の観点から、そして何よりその目的(洪水調整、 流水の正常な機能の維持、灌漑、発電)から考えて、今の熊本県には必要な事業ではないと判断する。

■洪水調整については、降水量のピークについて正確な予測を行うことは困難であり、市房ダムとの統合運用への技術的問題に対する疑問があり、ダムによる洪水調整は、逆に水害を誘発しかねない。球磨川の川床の堀削、遊水地の確保、上流域の森林保全などの対策により治水を行うべきである。

■流水の正常な機能の維持については、ダムでの水量調整ではなく、森林による保水力を高めることによって自然の川の流れを保ち、流水の正常な機能を維持すべきである。

■灌漑については、近年の農政の状況は減反政策によって対象地域の水田が減少し、また、後継者不足によって農家も減少している。また何よりも当該地域の農家の多くが「川辺川土地改良事業」に反対の訴訟をおこしている。ダム以外の農業用水確保に向けた対策を検討すべきである。

■発電については、現在の川辺川にある4つの発電用ダムの発電量合計よりも少ない発電量になるので、ダム計画の合理的目的とはなり得ない。


 以上4つのダム事業の目的に対する問題に加え、自然環境面の問題もある。希少猛禽類のクマタカをはじめ多くの自然生態系に深刻な影響を与える。  また、八代海の漁業資源への影響も懸念される。  したがって、環境アセスメントが実施されていない川辺川ダム事業は、自然環境に与える影響やその対策が不十分なままである。また、ダムサイト予定地や周辺の地質についても地滑りや斜面崩壊の恐れがあり、安全性に疑問をもたざるを得ない。
  しかしダム事業が中止されることになれば、これまでダム事業によって翻弄され苦渋の選択を強いられてきた関係自治体・地域住民への対応も怠ってはならない。  事業中止後は、国の責任において事後対策を行なう必要がある。  私たち県民クラブは、国・県一体となった新たな地域振興策が具体的に検討されるよう取り組みを進めていく。

以上


2月定例県議会における平野みどりの代表質問(川辺川関連)