健忘amnesia
自分がしたことを忘れる症状。
1.逆行健忘retrograde Amnesie
2.前向健忘anterograde Amnesie
3.コルサコフ症候群


「脳の組織に突然過去の記憶が全くなくなったり、部分的に空白になる「心因性健忘症」という病がある。精神的なものが原因で職場や家庭、学校での人間関係によるストレスの積み重ねが関与していると考えられている。「催眠療法」で治療に好成績をあげている中島節夫・北里大医学精神科助教授に、臨床の実際などを語ってもらった。
 ●再生機能の不調で
 「記憶は以下の3つの要素から成り立っています。
<1>新しい情報を知覚し、脳裏に刻み込む「記銘」
<2>記銘したものを心の中に持ち続ける「保持」
<3>保持されたものを再び意識の上に浮かび上がらせる「追想」or「想起」
 「健忘症はそのうち「追想」の障害で起こる。そして忘れる範囲によって、自分がどこの誰であるか分からない、出生から以降のすべてを忘れてしまう「全健忘(全生活史健忘)」と、部分的に忘れる「部分健忘」がある。
 ●「器質性」との鑑別が大切
心因性健忘症はめったに見られない疾患ではある。健忘症の多くは脳血管障害や脳腫瘍、老人性痴呆など脳に器質的病変があって起こる「器質性健忘症」だ、器質性健忘には、アルコールや一酸化炭素、薬物中毒に伴うケースも含まれる。従って診断ではCTなど様々な検査で、これらの器質性健忘症ではないことを確認しなければならない。
 ●心因性健忘症の症例
<1>女子高生。
 「妹が気の強い性格、姉妹関係で押され気味だった。ある日、妹の持ち物を使わせてほしいと頼んだところ、断られ意識を失って倒れた。この失神時以前の記憶を喪失。自分の名前も周囲に教えられ、そうだと思うがしっくりしない。催眠療法で記憶が戻り、催眠中に中学時代の同級生数人の名前をあげ、「いじめ」にあっていたことも告げた。」
<2>男性会社員。
 「職場で配置換えとなり、慣れない仕事に気苦労が多く、同僚ともうまくいかなかった。ある日突然、出社後から3日間の記憶がなくなり、気が付いた時には某駅ホームに立っていた。催眠療法で3日間の空白がすべて埋まった。電車であちことを旅行していた。」
 ●心因性健忘症にかかりやすい性格
<1>柔軟な思考に乏しいステレオタイプ型(紋切り型)
<2>ストレスがあっても外に出さず、感情を押し殺す。
<3>情緒が未成熟で子供っぽい。
 ●心因性健忘症の治療
<1>麻酔分析療法(麻酔面接):
 「静脈に麻酔薬をゆっくりゆっくり注射、眠らせない程度に意識レベルを下げ、質問を繰り返して記憶を呼び戻す方法。」
<2>催眠療法(催眠面接):
(1)麻酔薬の代わりに暗示をかけて催眠状態にし、記憶を甦らせる。
(2)「年齢退行法」といって、催眠状態に入ったら、時計の針を逆戻りさせる形で質問し、徐々に過去へ遡って記憶を引っぱり出す。
(3)そして、「催眠から醒めた後も覚えていますよ」と後催眠暗示をかけておく。
催眠にかからない人もいるが、かかった場合には麻酔分析療法よりも治療成績は良い。http://www.naoru.com/kenbou.htm