腎臓病の食事

腎機能が低下しているものの、なるべくなら透析を受けないように生活を見直し、食事に気を使いたいと考えている、ある患者様より依頼があり作成したものです。
おかしな点、不明な点がありましたら、ご一報くださいますようお願いいたします。

腎機能低下患者の食事について

腎臓病の食事療法は、腎臓の負担を少なくして病気の進行を遅らせるためのもので、1人1人の症状によって内容が異なります。
腎機能が低下している方と、透析を受けている方とでは、食事の制限に違いがあります。
腹膜透析(CAPD)を行っている場合、血液透析(HD)を行っている場合は、 治療効果を妨げないよう医師、栄養士の指導のもと、症状に応じた正しい食事療法をご相談ください。

腎臓病の食事療法の基本

たんぱく質制限

脂質や糖質と異なり、たんぱく質が代謝されると老廃物(窒素化合物)が残ります。この老廃物は腎臓でろ過され、尿中に排泄されます。 大量にたんぱく質をとると腎臓の負担が増え、老廃物が排泄できずに体内に蓄積され、尿毒症などを起こします。
このため、腎臓病ではたんぱく質摂取の制限が必要になります。
そのたんぱく質摂取制限ですが、急性糸球体腎炎の初期・慢性期、ネフローゼ症候群、妊娠中毒症の場合など、そのたんぱく質摂取制限の量が異なります。主治医や栄養士さんとご相談いただきたく思います。
たんぱく質摂取制限の目安

急性糸球体腎炎 初期 30~50g/日
慢性糸球体腎炎 慢性期 60~70g/日
ネフローゼ症候群 70~90g/日
妊娠中毒症 100g/日

また、食事療法の助けとなる治療用特殊食品も数多くありますので、これらを上手に利用することも食事療法を続けていくのに有効な手段です。

十分なエネルギー量をとる

摂取するエネルギー量(カロリー)が不足すると、体内に貯えられていたたんぱく質がエネルギー源として消費されます。 その結果、筋肉組織などの細胞が壊されて血液中の窒素化合物が増え、腎臓の負担が大きくなります。 また、細胞内にあったカリウムが血液中に流出するため、カリウム濃度も上昇し、心臓に悪影響を与えてしまいます。 たんぱく質を制限しているときは糖質や脂質でエネルギーを補う必要があります。
エネルギー量を確保するためには下記の表のように、 「油やでんぷん」 を使った調理をうまく活用します。
ただし、糖尿病性腎症の方はこのとおりではありませんので、医師の指示を受けて食事療法を進めてください。

単純にエネルギーを高める調理法例

(50g)
ゆで卵
60kcal
目玉焼き
110kcal
だし巻き卵
118kcal
油6g 油10g/砂糖10g/
だし汁15mL/大根おろし少々

(45g)
焼魚
90kcal
ムニエル
210kcal
あんかけ
270kcal
小麦粉40g/バター6g/
タルタルソース15g
小麦粉10g/油12g/
砂糖5g/かたくり粉3g
ご飯
(120g)
ご飯
180kcal
チャーハン
300kcal
ピラフ(炊きこみ)
410kcal
油12g/にんじん/
ピーマン/マッシュルーム
油12g/バター7g/レーズン20g

塩分制限

塩分は血液の浸透圧を保つために大切です。しかし、腎臓の機能が低下すると、塩分(ナトリウム) や水が尿として排泄できなくなり、むくみの原因となります。 また、高血圧も塩分のとりすぎによって起こります。
塩分制限が不十分であると、利尿剤の効果が半減してしまうといわれていますので、塩分の制限を守りましょう。

カリウム制限

腎臓の機能が低下するとカリウムが排泄できなくなり、血液中のカリウムが増加することがあります。カリウムの増加は不整脈を起こしたり、 心臓を停止する危険がありますので、医師によりカリウム制限を指示された場合は、カリウムの制限を守るようにしてください。
カリウムは、水に溶ける性質があります。食品を刻んで水にさらしたり、茹でたものを取り出すなどの工夫で調理前より数割減らすことができます。

良質のたんぱく質

長期にわたるタンパク質の制限を受けるため、必須アミノ酸を多く含んだ良質のたんぱく質をとるようにしたいところ。
そのたんぱく質は、体内での効率が良い動物性食品(卵、牛乳、魚、肉類、大豆製品など)で摂るとなおよいようです。
豆腐などの大豆製品は、植物性たんぱく質の中では栄養価が高く、鉄分の吸収も助けます。動物性食品と組み合わせてとると、腎不全でみられる貧血に対しても効果的。ただし、たんぱく質を含む食品にはカリウムやリンも含まれているので注意が必要です。
なにごとも、医師、栄養士の指導に従ってください。

腹膜透析

  → 慢性腎不全の項を参照
エネルギー 制限あり 透析液にブドウ糖を使用しており、そのブドウ糖の一部が透析中に体へ吸収されるため、エネルギー源になるため、エネルギー摂取制限があります。標準体重や肥満気味の方は、糖質と脂質を減らしてエネルギー量の制限を守らないと、どんどん太ってしまう恐れがあります。
たんぱく質 やや多めで可 5~10gの蛋白質が透析液に漏れるので、やや多めに摂取してかまいません。
水分 控えめに 水分を除去するためにブドウ糖濃度の高い透析液を使うと、肥満につながる恐れがあります。
塩分 制限あり 1日7~10g以下
カリウム 原則制限なし 腹膜透析は、効率よくカリウム除去するため、原則として制限はありませんが、医師の指示に従ってください。

血液透析

 → 慢性腎不全の項参照
エネルギー しっかり摂りましょう 長期にわたる腎臓病治療の多くの方は、やせ気味です。しっかりエネルギーをとりましょう。
蛋白質 しっかり摂りましょう 健康な人と同じくらい、蛋白質を摂ってかまいません。
水分 制限あり 次の透析までの間に見られる体重増加は、ほとんどが水分増加によるものです。体重管理は水分管理でもあります。
塩分 制限あり 塩分が多いとのどが渇き、水分も摂りがちになります。体重増加にも注意です。
カリウム 制限あり 血液透析により、血液中カリウム量が多くなります。
貧血にも注意。