日本でも各地で新型インフルエンザが報告されるようになりました。
だれでも感染の可能性があるので、授乳中の女性も罹ると考えられます。
そこで今、懸念されるのは、授乳中の母親が新型インフルエンザになり、タミフル、リレンザ等の抗イン
フルエンザ薬を投与されたとき、 「 授乳禁止 」 を医師から言い渡されるのはないかということです。
これらの薬剤の添付文書には、
『授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。
』
と書かれているため、「母乳と薬剤」についての情報を十分持っていない医師は「授乳禁止」と母親に言
い渡すことが多いようです。
今回の新型インフルエンザ感染症が大流行すれば、この様に言われる母親がたくさん出てくることが考え
られます。
また、外来等もとんでもなく忙しく、また「新型」と言うことで母親の恐怖感も大きくなり、「情報もなく、
さらに冷静に考えることができず医師の指示に従う」と言うことがおこってくることを懸念します。
母親が新型インフルエンザになったと言うことは、濃厚接触している乳幼児にも感染する可能性が大きい
わけで、母乳育児中の乳幼児から母乳を取りあげたら何が起こってくるでしょうか?
乳幼児にとって、著しい不利益がおこってくる可能性が高いのです。
なぜなら、母乳の持つ感染防御因子を得ることができないからです。乳幼児は免疫学的に弱いので、それ
を補強補完しているのが母乳なのです。母乳が「薬」であり「予防接種」ともなるのです。
今回の新型インフルエンザでは、CDC(米国疾病予防管理センタ-)は、「母親が新型インフルエンザにな
っても、母乳育児を続ける」「抗インフルエンザ薬を飲んでも母乳育児を続ける」という、明確な方針を出
しています。
一方、国立感染症情報センターのサイト(5 月6 日付け)「国内医療機関における新型インフルエンザ
(A/H1N1) 抗ウイルス薬による治療・予防投薬の流れVer.1 」
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/pdf09/090506_treatment-chemoprophylaxis.pdf
ではタミフルは授乳禁となっています。ここの情報は、基本的にCDC に準じているもののようですが、授乳婦に関するものだけは、なぜか違う勧告を出しているのです。また、国立感染症情報センターのサイトにはCDC のサイトの翻訳が載っていて、
「1 歳未満の乳児へのオセルタミビルの使用は緊急時使用権限(EUA)に基づき合衆国食品医薬品局(FDA)により最近承認され、1 歳未満の乳児に対する投与量は月齢による(表2)。」
」となっています。
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_Antiviral.html
一歳未満の乳児にタミフルを投薬していいのに、母乳中の微量はダメ、というのは、矛盾していると言わ
ざるを得ません。
どうか、皆様、適切な情報が、母親を診察する臨床医、そして母親自身に伝わるようにお力をお貸し下さ
い。
---- 日薬DI委員長(20090521 日薬DIメーリングリストより) ----