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きもの語りべ」の一言 --- きものらいぶらりー羽織のいろいろ ○夏羽織・・・前回の羽織礼賛から早や、酷暑の今、羽織なんて季節はずれのテーマのようにお思いでしょうが実は夏羽織といって紗や絽などの盛夏用の生地で単衣仕立てにしたお洒落羽織があるのです、おもに黒や濃紺・藍・紫などの色が特徴です、夏のきものは白が基調となり明度が高い色が多いので、紗や絽の生地を通して透けて見えるコントラストに涼しさを感じるからです。ではここで、涼感をさそう紗・羅(ら)絽織の伝統の薄物について一寸だけ蘊蓄を傾けてみましょう、 ![]() ◆紗織はすべて搦み織(捩り織)で布全体に絽目が並んでいます。紗の歴史は古く正倉院の中に見られ、平安時代(794〜1192)には紋紗の「顕紋紗」(けんもんしゃ)が織られていました、紗はもともと中国で始められ唐代末から宋代(十世紀〜十三世紀)にかけて盛んだったと言われます、我が国へ伝えられたのは八世紀の奈良時代のことです、平安時代には夏の公家装束として盛んに用いられ夏衣が発達しました。つまり、羅・紗が始めにあって、その織技法を応用して作られたのが絽です。 ![]() ◆羅(ら)の文字は中国では本来「あみ・鳥あみ」の意でしたが、転じて薄絹、ちぢみを意味することにもなり羅綺(らき)とゆう薄ものの、あや絹を指すだけでなく、さらに着飾った美女を意味するようになったのです、このように羅は古くから中国では美しい上質な贅沢な織物の代名詞とされてきたのです。この複雑な「捩り組織」の特定な織物は漢代の遺跡からその断片が発見されていることから、その織製は西暦紀元前後に始まっていたと考えられています、この羅の織技が我が国に伝えられて六世紀末頃には織られその後盛んに織製されたと見られる古裂が正倉院等にみられます、平安時代以降は冠の他はあまり使用されず衰退しました。昭和になって、奈良時代の精緻な羅が復興され昭和三十一年喜多川平朗氏を保持者として無形文化財に指定されています。写真は現在の機械織の生地です。主に夏コートや夏帯に使われています。 ![]() ◆絽はかなり遅く江戸中期頃日本でうまれたユニークな薄織物です、当時の手織り時代には非常に織るのが難しかったと言われています現代では自動力織機の発達により容易に織ることができ種類もいろいろあります。透間(絽目)の現れ方では「横絽」と「竪絽」があり、一般的に絽と呼んでいるのは「横絽」のことです。絽の織り方は搦み織(捩織)と平織りとを交ぜた方法で布地に穴(絽目)が連続して出来る透ける部分が生まれるのです。一方、先の紗はすべて搦み織で布面の全体に絽目が並んでいます。この点が絽と紗の大きな違いです、また絽は主に染め下生地に用いられるのに対して、紗は主に先染めにされます、が、もちろん白生地もあって手描き友禅で染められることもあります。紗や絽は夏の代表的な薄物の一種でこの透間の多い薄物は夏のきものの優雅さ、という点でちょっと類を見ないものです、体にすらりと添う絽には爽やかな涼感があり風情があります ![]() ○夏羽織は蝉の羽のような軽やかで繊細な美しい織物の羽織・・・それは風鈴の音や水の流れ に涼気を感じるように・・・見る人にとって十分に涼感を誘う細やかな日本人の美的感性の粋といえるでしょう。◆羽織と季節 羽織の役割はかっては、一般に防寒やダスター(ちりよけ外套)などで着用されていましたが現代では、おしゃれ感覚が主ではないでしょうか、ですから羽織の季節感は着る着ないということよりも、材質や仕立て方のうえで表現されてきます、例えば「単衣羽織は裏の付かないもの」・「夏羽織は絽・紗などの盛夏用の材質」・「袷羽織は裏つきのもの」などこれらを季節によって着分けます、また材質や色・柄については、きものに言えることが羽織にも通じます。またコートにくらべて家の内外で気軽に着られ寒暖の調節と装いに変化がつけられる多様性があることです。◆羽織の種類とTPO <羽織着用すべからず>の場合・・・前回で述べたように羽織は本来女性の衣装として正式なものではありませんので、礼装には禁物です、またパーティーなどでも羽織を着用して行った場合は羽織はクロークに預け会場には着て入らないことです、あるいはちょっとくだけたパーティーとか、どうしても羽織を着けたい場合には趣味性の強いものは避けてドレッシーなものが良いでしょう、絵羽羽織などは華麗でドレッシー感覚ですのでふさわしいでしょう、趣味性のつよい羽織は観劇か外出などでお洒落を楽しみたいものです、また正式に他家を訪問する場合も道中着ていた羽織は玄関先で脱いで室内に入るのがマナーです、なお茶室や茶会では正式の茶会でも気軽な内輪どうしの場合でも羽織は付けないのが礼儀です、但し男性にとっては羽織は正式ですので茶会でも羽織をつけます、十徳という畳までの丈の羽織は男性の茶人のユニホームとも言えます。 ○黒紋付無地羽織 女性用の場合、現在では一般に三つ紋か一つ紋で紋の種類も日向紋でも陰紋・縫い紋でも格式には変わりありません、喪服の略装として色無地や赤みのない江戸小紋などのきものの上にはおって喪章とします、また祝章としては、お祝い事の際にはおり、改まった気持ちを表します。この様に悲しみや喜びの際の衣装の格付けとして応用範囲もひろく着用できます。○絵羽羽織 模様が一幅の絵のように羽織に構成されていることからこのように呼ばれます、白地・色地・黒地と色彩は自由で模様も多種多様で羽織 のなかで最もドレッシー感覚のものといえましょう。○無地羽織 染めの色無地なら落ち着きと品格があるので、きものの上に重ねやすく使い方によっては絵羽羽織より格が上になることもあり、改まった場所にも相応しく、またおしゃれ着としても利用範囲が広いといえましょう。 ○総柄の羽織 きものとの調和で着こなすお洒落着です、羽織の中で一番趣味性が強いものですので自分の趣味や個性をいかして楽しむとよいでしょう ○その他のものとしては、ほとんどが趣味のものとなります、例えばお対で着る大島の羽織や絣のアンサンブル等・またちょっと粋なものに“紗合わせ”など二重仕立てにしたおしゃれなものもあります。 ◆最近は羽織を着る人が少なくなりましたが、きものとの取り合わせが難しいと思いこんでおられるのでしょうか。羽織を着た女には風情があります、なだらかな肩の線をいっそう際立たせやさしみを添えます、時には艶めかしささえ漂わせます、また羽織の丈は長さ短さによって落ち着きや活動性を現わし、柄や材質とのかかわり合いによって表情を変えるLayered lookです、羽織はきものに重ねるだけで種々の風情をかもしだします、貴女の感性で重ね着ルックをお楽しみください。 それから羽織を着る楽しみにはもう一つあります、羽織の紐の組み合わせです、羽織大好きの私はネックレスやピアスなどを細工して紐替わりに楽しんでいますが、母の形見の紫水晶はここぞ!の時のおしゃれ用です。ところで貴女も頂いたきもの丈が短くて!なんてがっかりしていませんか!これぞ羽織に仕立て直してオリジナルの羽織紐でおしゃれしてみませんか、くださった方もきっとお喜びになることでしょう では羽織のことはこのくらいにして次回をお楽しみに! ご機嫌よう
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