バッテリー(鉛蓄電池)

では、実際に鉛蓄電池を作成してみたいと思います。用意するものは鉛板2枚、
濃硫酸(濃度96%)を5倍に希釈した(約20%)の希硫酸、電源装置、電圧計、
導線です。電源装置以外は普通に手に入れることのできるものばかりです。
濃度20%の希硫酸はバッテリー液として、カーショップなどで手に入れることができます。
電源装置のかわりに、単1電池2本を用いることもできますが、あまりおすすめできません。
鉛板は、釣具店や制振用鉛板としてカーショップで手に入れることができます。


まずは上の写真のように回路を組み立てます。ビーカーの中に希硫酸、その側壁に5cm×7cmの
鉛板を貼り付けています。ちなみに、この写真は試験的に電源装置に付設されている電圧計の数値で
3Vの電圧をかけています。実際の実験では、付設の電圧計はあまり正確ではないので、別の電圧計を
使用して正確な電圧を測定します。基本的に3Vの電圧をかけて充電をおこなっていきます。


この写真は、実際に3Vの電圧をかけて充電しているところの写真です。ちなみに、電圧計は鉛蓄電池
に対して並列に取り付けます。充電をはじめると、両方の極板の表面から気泡が発生します。
この気泡は、水が電気分解されることによって生じる水素や酸素です。電気分解を進めていくと、
次第に溶液の温度が上がってきます。実際に車に装着されているバッテリーにはこのような高い電圧を
かけずに、もう少し弱い電圧で充電する必要があります。では、さらに高い電圧で充電してみましょう。


上の、3Vの写真と比べてみると、細かい気泡の発生が多くなっているのがわかると思います。
このような状態になると、硫酸のミストが飛散するので非常に危険です。というわけで、やはり
3Vで実験を進めていきたいと思います。ちなみに、充電を進めていくと、正極の方は酸化鉛(W)に
変化しますが、負極の方は鉛のままで変化しません。酸化鉛(W)に変化すると、極板の表面が茶褐色に
変化しますので、一目瞭然です。下の写真は左が充電後の負極板、右が充電後の正極板です。


ちょっとピントがずれていますが、両極板の色の違いはわかっていただけると思います。
この電極板は3Vの電圧で約15分充電した後のものです。かなり短い時間で充電ができた
ことになりますね。実際のバッテリーでは、このような短時間で充電してしまうと、発生する
気泡によりペースト状の極板物質(予習編参照)が剥がれ落ちてしまうため、避けるべきです。


この写真は、鉛蓄電池を電源装置から外し、電圧計に接続したものです。ご覧の通り、約2.1V
の電圧を発生しています。ちなみに、電池において、正極と陰極と電解物質の組み合わせ一式をセル
といいますが、実際に車に装着されているバッテリーは、この鉛蓄電池のセル6組から構成されています。
この6組のセルが直列に繋げられているので、全体としては理論上約12.6Vの電圧を得ることができます。
さらにいえば、実際のバッテリーに用いられている電極は、ひとつのセルあたり、6枚の正極板と5枚の負極板から
構成されています。これは、酸化鉛(W)の式量(構成元素の原子量の総計)と鉛の原子量の比が約6:5だからです。
まぁ、このへんの話はわからなければ読み飛ばして下さい。詳しく説明すると紙面がいくらあっても足りませんからね。


この鉛蓄電池に豆電球を接続してみました。すると、電圧はすぐに下がりはじめました。豆電球を繋げた直後は
約1.9Vほどの電圧でしたが、4分ほどで1V以下まで電圧が低下し、豆電球は消えてしまいました。
左の写真は豆電球接続直後、右の写真は豆電球が消える直前のものです。このように放電が進んでいくと、
化学反応によって両極板とも硫酸鉛(U)に変化します。両方の極板が同一の物質になってしまうと、正極から
負極に向かって電流が流れることができなくなる、つまり電気を取り出すことができなくなるわけです。
この硫酸鉛(U)は白色の物質なんですが、極板の表面がこの硫酸鉛(U)で覆われてしまうと、再充電ができなく
なってしまいます。バッテリーを上げてしまうと、元の性能を確保できないのはこのためです。


この写真は充電直後の電極板と、長時間放置した電極板を並べたものです。あまり良い写真ではありませんが、
極板の色の変化はわかっていただけると思います。一番左から放電前の負極板、放電後の負極板、放電前の正極板、
放電後の正極板という風に並べています。放電後の正極板、右端切れてますね・・・。ご免なさい。

バッテリーは車にとって欠かせない部品です。こういった知識があれば、メンテナンスの時、少しだけ役に立つかも
しれません(ちょっと強引:笑)。鉛蓄電池は簡単につくることができますから、一度試してみてはいかがでしょうか。
以上で、バッテリーについてのページは終了です〜〜〜。

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