宮城谷昌光さんの本
この部屋では、宮城谷昌光さんの本をご紹介します。
宮城谷さんの書かれる小説は古代中国、特に春秋・戦国時代を中心にキラ星のように輝いた英雄達を生き生きと描かれています。あと、注目は主人公だけでなく、その横に登場する人々です。
それまでも三国志など中国の小説を好きだった私ですが、宮城谷昌光さんの書かれた小説と出会い、最初に読んだ「天空の舟」以来、すっかりファンになってしまいました。百聞は一読に如かず、下手な鉄砲はいくら数打っても当たらぬとは思いますが私なりにご紹介してみましょう。中国ファンの方には絶対お勧めです。
私の読んだのは新書版が多いです。文庫本の場合には出版社や分冊数、短編の構成の違う場合などがありますのでご注意下さい。
| 書題 | 簡単な紹介文 |
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2012/1/8 草原の風 |
本作品は読売新聞に連載されていたものを単行本化したものです。新聞の連載小説ということで、一般向けにも読みやすくておもしろいという印象です。でも、やはり新聞社側は心配だったのか、「宮城谷昌光 草原の風 読書ガイド」というサイトに懇切丁寧に多くの情報を載せています。(笑)本作品の主人公は、一度は亡んだ漢を再興して後漢を建てた劉秀(光武帝)です。 上巻が刊行されました。(2011/10) 中巻が刊行されました。(2011/11) 下巻が刊行されました。(2011/12) |
2011/11/5 三国志 |
宮城谷さんのファンにとってはついに真打ち登場!という感じです。文藝春秋に連載をはじめられてから3年半、やっと3冊のまとまった本になりました。しかし、まだまだ連載は続いていて最終的に何冊になるかわかりません。私の予想では10冊以上、多分それもかなり越える分量ではないかと思っていますが・・・宮城谷さんは「演義ではない、正史三国志を書く」といわれて書き始められました。そのことば通り、これまでのいわゆる『三国志(演義)』とはかなり違ったものになっています。嘘くさいエピソードもありませんし、人物への必要以上の正邪の色付けもありません。しかも、ことばを大切にするという宮城谷節も健在です。 最初の刊行(第1〜3巻)から2年、第4・5巻が刊行されました。(2006/9) 第6巻が刊行されました。(2007/9) 第7巻が刊行されました。(2008/9) 第8巻が刊行されました。(2009/9) 第9巻が刊行されました。(2010/9) 第10巻が刊行されました。(2011/9) |
2011/8/21 呉越春秋 湖底の城 |
本作品は「小説現代」に2009年7月より連載しているものを単行本化したものです。以前、何かで宮城谷さんが「もう古代中国を舞台にした小説は書かない・・・」(?)ということを目にしたのですが、このところ、宮城谷さんは中国に帰っておられるようで、安心するやら、嬉しいやらといったところです。本作品の主人公は、越の范蠡[はんれい]らしいですが、本書の主人公は楚の若き日の伍子胥です。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、宮城谷さんの作品では結構多いことですので・・・(笑) 第1巻が刊行されました。(2010/8) 第2巻が刊行されました。(2011/8) |
2010/11/20 古城の風景 |
『風は山河より』で宮城谷さんは日本ものの歴史小説デビューを果たされましたが、本書はその「副読本」という感じのものです。とはいえ「註であっても、解説にならないようにしたい」という意識で書かれていて、普通の紀行文とはひと味違っています。『風は山河より』を読んだときにもそうだったのですが、宮城谷さんは三河という土地を愛しておられるのだなぁと感じます。そこの風景、そこに満ちている光、そこに吹く風・・・に対する愛情が伝わってくるような気がします。 【第1巻】菅沼の城 奥平の城 【第2巻】松平の城 【第3巻】一向一揆のの城 【第4巻】徳川の城 今川の城 【第5巻】北条の城 【第6巻】北条水軍の城 【第7巻】桶狭間合戦の城 |
2010/7/11 楚漢名臣列伝 |
本書は『春秋名臣列伝』『戦国名臣列伝』に続く、名臣列伝シリーズ(?)の第3弾で、『オール讀物』2007年10月号〜2010年4月号まで連載されていたものを単行本化したものです。楚漢といわれても、「普通の」人にとっては???かもしれませんが、『項羽と劉邦』といえばわかる人も多いのではないでしょうか。戦国時代の終わりに秦始皇帝が初めて中国を統一しましたが、その没後にはあっという間に世の中は乱れてしまいました。この時代に登場して時代を引っぱっていった稀有のリーダー、項羽と劉邦を支えた人の中から10人を紹介しています。 |
2009/9/12 孟嘗君と戦国時代 |
NHK教育テレビで放送されている「知るを楽しむ この人この世界」という番組に宮城谷昌光さんが『孟嘗君と戦国時代』(全8回)と題して2008年10〜11月に出演されました。これはその副読本として刊行されたテキストですが、放送では話されなかった(カットされた?)お話も載っています。宮城谷さんの講演をお聞きしたことはありませんが、テレビということでちょっと照れながら話しておられるようなところがありました。ファンの多くの方が視聴されたのではないでしょうかね。 (2009/9月、NHKテレビ講座のテキストをもとにして中公新書より同名の本が刊行されましたので、あらためて読んでみました。やっぱり、春秋・戦国時代はおもしろい!) |
2009/8/29 晏子 |
晏子と呼ばれた斉の名宰相、晏嬰とその父親晏弱を描いています。主人公晏子に対して史記を書いた司馬遷は彼を尊敬し、その御者になりたいとまで言って絶賛しているそうです。前半部が晏弱、後半部が晏嬰の物語です。私のような素人から見ると、前半部の方が陰謀あり、戦争ありでおもしろかったです。特に、理不尽な理由で行くことになった断道の会に臨んだ晏弱の決死の活躍が印象的でした。 (2003/8月、再読しました。前回読んだときとは違う印象が残りました。それを「晏子語録」として紹介しましょう。) (2009/8月、文庫版を再々読しました。やっぱり前半の晏弱の活躍がおもしろかった。) |
2009/6/28 |
ここのところ、以前読んだ宮城谷さんの作品を再読していますが、今回は『孟嘗君』を読みました。この作品、「子供向けの冒険小説のよう」と評する方もいますが、なんのなんの、読めば読むほど味が出てくる感じです。 登場人物は多士済々で、とても魅力的な人が多いのも本作品の魅力でしょう。そのなかでも、ひときわ光っている風洪(後の白圭)について『韓非子』に書かれているというので調べてみました。 掲示板で白圭ファンさんよりご指摘をいただきました。 |
2009/3/15 他者が他者であること |
本書は宮城谷さんがいろいろな雑誌等に掲載された随筆を集めたものです。T湖北だより/U中国古代の構図/Vカメラ/W他者が他者であること の4つのパートからなっており、このうちUとWは宮城谷さんの作品が好きな人には興味深い話題がたくさんあります。 「他者が他者であること」には、冒頭に「20代のころに、歴史小説を悔蔑していた。」と書かれています。その人がいかに歴史小説を書くようになるのか、おもしろそうではありません? |
2008/11/23 新三河物語 |
『風は山河より』に続く宮城谷さんの日本もの第二弾で、北海道新聞、中日新聞、東京新聞、西日本新聞に2008年3月1日から8月31日まで連載されたものです。本書の主人公は「三河物語」を著した大久保彦左衛門こと大久保忠教で、テレビドラマなどで「天下のご意見番」として取り上げられている人物です。宮城谷さんの中国ものと同様、君主とそれを支える名臣のお話です。『風は山河より』と同様、私にとっては人名・地名のハードルが高く巻頭にある大久保家の家系図や地図を何度も見かえさなければなりませんでした。おまけに記憶力も落ちていて、憶えが悪いし・・・(笑) |
2008/6/21 太公望 |
釣り人の代名詞として良く知られる、太公望の釣りの対象は魚ではなくて「天下」でした。しかし、「太公望」と言う言葉は知っていても、どのような人で、何をした人なのか知らない人が多いのではないでしょうか。(かくいう私も、実はそうでした) 題名を見て、そういう興味もあって読み始めました。 本書によれば、望は敵の本拠に潜んで情報を入手しながら着々とネットワークを広げながら革命をめざすゲリラの統帥だったようです。当時の商王朝の受王は宗教的儀式のためとはいえ、残酷なことを行っていました。両親や同族がその犠牲となった望は復讐のために修行を重ね、当時の常識に捕らわれず、着々と商王朝の打倒をめざします。 2005年9月に再読しました。読み直してみるといろいろ気付くことがあります。 2008年6月に再々読しました。望語録をいくつか紹介しましょう。 |
2007/8/20 王家の風日 |
以前に読んだ「太公望」の反対側から描いた商(殷)周革命です。この作品を読むときに、「太公望」の先入観があったので登場人物についてちょっと意外なことがいくつも出てきて興味深く読みました。主人公は箕子という人物で、名は胥余と言います。箕の国を治めていたために一般的には箕子と呼ばれています。彼は受王(紂王)の叔父にあたり、暴虐を諫めましたが聞き入れられず、逆に囚禁されてしまいます。 史記によれば商が周の武王に滅ぼされた後、朝鮮に入り都を王険城(平壌)に定めて朝鮮王となったと言われています。実際に「箕子朝鮮」と言う国があったらしいのですが、これは紀元前190年頃衛満に滅ぼされてしまいました。 (2002年2月、再読しました。登場人物のイメージがちょっと変わりました。) (2007年8月、再々読しました。新しい発見がありました。) |
2007/4/15 風は山河より |
宮城谷さんのファンにとっては待望の日本ものです。小説新潮に連載をはじめられて約4年半、ついに完結が近づいてきたところで2006年11月、単行本として刊行されました。これから5ヶ月に渡って順次刊行されていくことになっています。相変わらず、歴史を細かく調べた上でそれを整理しなおしてその時代を生き生きと描く、という姿勢をとっておられますが、主人公の菅沼新八郎という人物にも、三河という土地にも全然予備知識のない私にとっては、人名・地名のハードルが高く、かなり手強い作品でした。 でも、読んでいるうちに「三河の山河ってこうなんだろうなぁ」というイメージができてきました。中国に較べるとスケールでは及ばないものの、日本も捨てたものではありません。 |
2006/8/19 花の歳月 |
姉が皇后となり、弟が奴隷となる。その二人の運命たるや、想像を超えたところにある。それが事実であり、史書に記されたという二重の事実が、じつは歴史のおもしろさにほかならない。ここでいう史書とは司馬遷の『史記』である。もっと細かく言えば、『史記』の中の「外戚世家」である。: 「外戚世家」の中で、姉と弟が再会するするところでは、涙で目がくもり、読みすすめない。小説にしてみても、書きすすめない。声を放って泣けばよいのである。それが、その時代を生きたということなのである。 と筆者はあとがきに書かれています。宮城谷さんは、かなりこの作品には入れ込んでいるようです。 2006年8月に再読しました。中国小説アレルギーの方にもお薦めできる「きれいな」作品です。 |
2006/8/6 子産 |
孔子が尊敬し、その死を悼んだという子産は紀元前6世紀、中国春秋時代に小国鄭の宰相として見事に治めた人です。それまで北の晋、南の楚という超大国に挟まれて中原の諸侯は揺れ動いていました。どちらの国とも近く、大国の顔色をうかがわなければならない小国の鄭は外交も猫の目のように変化していました。鄭には小国の悲哀、人々には疲労感が重い時代でした。 子産は人々の反対にも毅然として政治改革を進めます。そして、ついに国を立て直して最後には全国民から賞賛を受けるまでになるのです。 (第35回吉川英治文学賞受賞作品です) (吉川英治文学賞贈呈式の新聞記事を転載しました) 2006年7月に再読しました。自分の信じるところを進むことはすばらしい。 |
2006/1/21 戦国名臣列伝 |
本書は『春秋名臣列伝』と同時に刊行されたもので、、『オール讀物』2004年4月号〜2005年7月号まで連載されていたものを単行本化したものです。七大国を中心に始まる戦国時代は魏の全盛から秦の天下統一まで続きますが、この動乱の時代を生きた楽毅・屈原・呂不韋ら16人の策士・名将たちの列伝です。 |
2006/1/14 春秋名臣列伝 |
本書は『戦国名臣列伝』と同時に刊行されたもので、『宮城谷昌光全集』第1巻〜第21巻の付録から抜粋してまとめたものです。無数の国があった東周時代初頭。周の平王の東遷によって始まり、諸侯の力が強かった春秋時代に活躍した管仲、子産、晏子ら二十人の英雄たちの列伝です。 |
2005/12/4 日本の軍師 |
【座談会】 津本陽さん、宮城谷昌光さん、半藤一利さん 日本の歴史の中で活躍した名軍師ベストテンを選ぶという座談会です。(全14頁) 題名からしてちょっと怪しいにおいがしないでもないですが、3人の方々が結構まじめに対談しています。出だしは「軍師」とは何なのかというところから始まっていますが、3人それぞれちょっとずつイメージが違うのがおもしろいところです。 宮城谷さんは中国で最初に軍師といえるのは孫臏ではないかといわれています。足を切られる刑を受けていたので自分では将軍になれないが将軍にアドバイスしたと。その他にも、伊尹や太公望、管仲、張良、諸葛孔明のことなどを語っておられます。 「日本の軍師」といいながら宮城谷さんは「風は山河より」を連載されてはいるものの中国の話にずれていくし、津本さんは戦国時代、半藤さんは近代とそれぞれ自分の得意分野の話が多くなるのですが、それでも最後にはちゃんとまとめ上げる司会者は立派です。(笑) 最終的に3人が選んだ軍師ベスト10は、児玉源太郎/勝海舟/黒田官兵衛/山本勘介/竹中半兵衛/直江兼続/太原崇孚雪斎/伊勢新九郎(北条早雲)/遠藤喜右衛門/石原莞爾でした。この中には誰?という人もいますが、興味ある方は本文を読んで下さい。 |
2005/10/9 歴史の活力 |
日本の企業の創業者の言行と中国古典に現れるエピソードを対比させながら、歴史からいかに学ぶべきかということを論じた本です。以下の15篇から構成されています。 人相篇/言葉篇/真偽篇/才能篇/命名篇/創造篇/教育篇/死生篇/父子篇/人材篇/先駆者篇/哲理篇/貧富篇/信用篇/観察篇 |
2005/8/20 青雲はるかに |
魏王に仕えたいという思いを胸に、范雎は諸国を遊説する道すがら、運命の女性、原声に出会います。やがて范雎は身に覚えのない冤罪を着せられ魏の宰相・魏斉にとんでもない仕打ちをされます。本書は九死に一生を得た范雎がその復讐に燃えるお話です。・・・というと、なんだか暗い物語のように聞こえますが、そう感じさせないところが宮城谷さんのすごいところでしょう。読み終わった後も爽やかさが残る作品です。 2005年8月に再読しました。本書のさわやかさを一部ご紹介しましょう。 |
2005/8/7 奇貨居くべし |
題名は『(呂不韋がこのように言って、後に秦の始皇帝の父となった人物を援助した故事から) 珍しい品物だから後日利を得るために今買っておこう、との意。転じて、得難い機会だからうまくこれを利用しなければならない。』という意味です。(広辞苑より)主人公の呂不韋は賈人(商人)の息子ですが、少年の頃父の命により金鉱探しの旅に出ます。そこで偶然にも趙・楚の運命を変えるような宝物を得ます。このことをきっかけに、次代をリードするような人物と出会っていきます。やがて、呂不韋は賈の道から政の道へ移って行きます。 本書は中央公論に連載されながら1年ごとに刊行されたものです。でも、私は連載小説を待ちわびるというのは好きではないのですが、待ってしまいました。ついに完結するという新聞広告を見て速攻で手に入れました。 2005年8月に再読しました。私の好きな作品なのですが、最後が惜しい・・・ |
2005/6/26 沙中の回廊 |
本書の主人公は晋の士会という人ですが、この作品は面白かったです。春秋時代、晋の文公(重耳)が覇王となりますが、文公の亡き後、楚の荘王に覇権を奪われてしまいます。荘王という大器の前には晋といえども諸侯を引っ張っていくことは出来なくなってしまうのです。晋には文公に従って諸国を放浪した頃の素晴らしい家臣は少なくなってしまい、凡庸な家臣が率いる晋では諸侯も離れていってしまう。楚に大敗して国力が落ちてしまった晋は最後の盟友とも言うべき宋が楚に攻められているときも援(たす)けることは出来ず、ついに失ってしまいます。 士会は晋の外交に嫌気がさして晋を去り、恩義のある秦のために晋をうち破るのですが、晋の策略で連れ戻されてしまいます・・・ 2005年6月に再読しました。作品自体はおもしろかったのですが・・・ |
2005/6/4 介子推 |
介子推は重耳に仕えて、彼が諸国をさまよって飢えに苦しんでいた時にひそかに食糧を確保したり、刺客の凶刃から守ったりした人物です。「重耳」の中にも介子推は勿論登場しますし、本書と重複する部分も多いのですが、本書を読む前に「重耳」を読むことをお勧めします。介子推は中国の人々にその忠節とこころざしの高さで今でも尊敬されている人物だそうです。中国の暦で清明節という日があって、陰暦の三月、春分から数えて15日め、冬至から105日目です。その清明節の前日を「寒食」といい、その日は一日中火を用いないで、あらかじめ寒食用に料理を作っておいて冷たいものを食べるのだそうです。そして、翌日の清明節から新しい火を用いるのだそうですが、寒食の日に火を用いない理由というのが中国全土で介子推を悼んでいるからなのだそうです。 2005年6月に再読しました。 |
2005/5/29 侠骨記 |
これは短編小説3編の構成でして、私のように通勤電車で読む人には短編集は読みやすいです。「侠」という字は相互扶助という意味だそうで、その侠を人格として持つ人の物語です。侠骨記 文化は一級ながら軍事的には二級の大国、魯の曹劌は隣国斉との戦気が激しくなる中で若い王同に見出され、軍略・知謀の才を存分に発揮するという物語です。曹劌にはあまり良くないイメージもありますが、この本を読むとそれが変わるかもしれません。 布衣の人 古代中国、夏王朝の舜という聖帝の若い頃のお話です。若い頃は俊と書いていたらしい。舜は庶人でありながら帝となった最初の人です。 買われた宰相 春秋時代の秦の名相百里奚のお話です。百里奚は奴隷だったところを秦の穆公に買われ、その才を発揮して宰相となりました。 2005年5月、約5年ぶりに講談社文庫で読みました。文庫版には単行本に含まれていない「甘棠の人」という作品が収められています。 商(殷)周革命の裏の立役者は太公望呂尚ですが、この革命のキャスティングボードを握っていたのは召公奭という人でした。彼は甘棠の木の下でいつも公平な裁判をしたため公平な人のことを「甘棠の人」と呼ぶようになったのだそうです。 |
2005/5/18 孟夏の太陽 |
中国春秋時代からその終わり(戦国時代の始まり)まで晋の重臣であった趙氏の歴代当主を4編に分けて描いたものです。他の作品と同様、君主と臣下の関係を扱っています。国のために行うことが必ずしも君主のためにならない時にどうしていくのか・・・。孟夏の太陽:晋の名君重耳に仕えた趙衰の子趙盾はおおきな苦悩に直面します。 月下の彦士:趙盾の死後、趙朔は反対勢力に滅ぼされてしまいます。趙朔の遺児趙武は身命を賭した家臣の活躍で助けられ、趙氏の復興を果たします。 老桃残記:趙武の孫、趙鞅は内外の騒ぎを収めていきますが時代は激しく動いています。 隼の城:趙鞅の嗣子、無恤により、ついに晋は趙・韓・魏の3国に分裂して春秋時代の終わりを迎えます。 |
2005/5/5 沈黙の王 |
本書は書名になっている作品をはじめ5編を集めた短編集です。書名になっている「沈黙の王」とは商(殷)の高宗武丁のことで、彼が初めて甲骨文字を作るというか作らせる経緯を描いたものです。生まれつき障害のあった彼はことばの大切さを知っていましたが、それを乗り越えて文字を作るというお話なのですが、なかなかの感動ものです。 「豊饒の門」と「妖異記」は、周の幽王と彼の寵愛した褒姒を中心として周の滅亡を背景とした人物模様です。 「鳳凰の冠」は晋の名臣、叔向を描いています。晋と楚とが覇を争っていた時代で、それを背景にして宮城谷さんの想像が冴えています。 2005年5月、約5年ぶりに再読しました。 前回読んだとき以降多くの本と出会いました。自分のイメージの世界が広がったのか、同じ作品でもいろいろな話との関連を知ると違った楽しみを与えてくれます。 |
2004/9/19 玉人 |
6編の短編小説を集めた本です。ミステリー的な要素などがあり、宮城谷さんの作品としてはかなり異色です。玉人:玉のような滑らかな肌体の穏やかで艶のある人妻を待つ男のお話。 指:女の真の美しさを引き出しいつくしむ天与の指をもつ男の生涯。 風と白猿:原々斎はシャーロックホームズばりの推理を効かします。 雨:夢に出てきた牛という若者が現実に現れて・・・。 桃中図父親が買った隣家の庭に生えた桃の木は虚弱な体質を変えてくれます。 歳月旅の途中、賊に襲われ父親と夫を殺された娘の数奇な運命を描きます。 2004年9月、4年ぶりに文庫本を再読しました。 作品の順番で本全体のイメージが変わってしまうものだというのがわかり、前回のときより宮城谷さんのミステリーを楽しむことができました。 |
2004/9/12 夏姫春秋 |
夏姫は、春秋時代を通じて西施と並び称される美女であったそうです。しかし、その運命に踊らされた一生はドラマチックなものでした。彼女近づいた男は全て死んでしまうのです。夏姫はとんでもない悪女のように言われることもあるようですが、宮城谷さんは人間と運命のかかわりとして描いています。人間は運命というものに振り回される小さな存在であり、その運命を受け入れざるを得ない。そして、良くない運命から脱出するのも運命というところでしょうか。 (直木賞 受賞作品です) 2004年9月、4年ぶりに再読しました。 最初に読んだときより余裕を持って読めたからか面白かったです。夏姫は傾国の美女として淫乱な「悪女」というイメージがありましたが、宮城谷さんはそれを変えたいと思われたのでしょう。 |
2004/4/4 香乱記 |
春秋戦国時代にピリオドを打って中国を統一したのは秦の始皇帝でした。しかし、始皇帝はあまりに早く世の中を変えてしまい、大きなひずみを作りだしました。その結果、彼の死後には大きな混乱が起こり、「楚漢戦争」と呼ばれる中国の人口を半減させるほど激しい乱世に戻ってしまいます。この大動乱期にいかなる権力にも与せず勇敢に立ち向かった男、田横という英雄の物語です。ここには毎日新聞への連載開始時の紹介記事、連載途中でのインタビュー、私の紹介駄文を載せています。 |
2004/3/28 |
【宮城谷さん情報】宮城谷昌光さんは、現在、月刊誌・新聞に4本の連載を行っておられて現役バリバリなのですが、なんと!全集が刊行されることになりました。 もうすぐ世の中に出回るとは思いますが、掲載されていない新聞もあったようです。まだ目にしていない方のために広告の全文をご紹介しましょう。 (2004/3/28追記) 各巻の紹介文を追記しました。 |
2004/2/29 重耳 |
重耳は春秋時代の覇者、晋の英雄で、死後文公と呼ばれた人物です。春秋時代には五覇と呼ばれる英雄が現れました。五覇とは春秋時代の5人の覇者のことで、孟子によると斉の桓公、晋の文公、秦の穆公、宋の襄公、楚の荘王を指します。ただし、荀子では斉の桓公、晋の文公、楚の荘王、呉王闔閭、越王勾践を指しています。(以上広辞苑より)どちらにしても、重耳は五覇の一人というわけです。斉の桓公と晋の文公を合わせて斉桓晋文と呼び、明君の代表といわれます。あとがきによれば、この作品を書くのに宮城谷さんは書きたいと思い立ってから13年かかったそうです。しかし、『重耳に言わせれば、13年くらいの遍歴はたいしたことはあるまい。「わしをみよ。19年もさまよったのだぞ。」』と書かれています。夏休みで時間があったせいもあり、この3巻を一気に読んでしまった私は、この部分で思わず笑ってしまいました。 (芸術選奨文部大臣賞受賞作品です) 2004年2月、3年半ぶりに再読しました。 いやぁ、面白かったです。読み直してみると、いろんな新発見に出会うことができました。 |
2004/1/31 天空の舟 |
商の湯王を輔け、夏王朝から商(殷)王朝への革命を成功にみちびいた稀代の名宰相伊尹の生涯をえがいています。物語の最初から神がかり的なお話です。不思議な力で洪水のときに桑の木に乗せられ水死をまぬがれた主人公は決して背伸びをせず、君主から虐げられても忠義を通していきます。結果として商の湯王(とうおう)が夏王朝を滅亡させて商王朝を開くと、伊尹は商の初代宰相となり、湯王を補佐して公平な政治を行い国家の基礎を固めていくのです。湯王はこれを尊んで阿衡と称しました。阿衡とは衡に阿ぐ公平な人という意味だそうです。 (新田次郎文学賞 受賞作品です) 2004年1月、約3年ぶりに再読しました。 読み直してみると、前回気付かなかったことばに出会うことができて楽しかったです。それをいくつかご紹介しましょう。 |
2003/10/13 楽毅 |
−人が見事に生きるとはどういうことなのか−これがこの作品のテーマです。主人公の楽毅は若い頃、自分の国中山の敵国斉の都臨淄にこっそりと留学します。その雑踏の中で「人が見事に生きるのはなんと難しいことか」と考えますが、楽毅は戦国時代を「見事に」生きたと言えるでしょう。三国志の中で私の一番好きな諸葛亮(孔明)が憧れた二人のうちの一人です。(ちなみにその二人というのは春秋時代の管仲と、この楽毅だそうです) 実はこの本を読むまでは楽毅と言う人物を知らなかったのですが、すっかり虜になってしまい、私にとって、この小説が宮城谷さんの作品の中で一位を占めてしまいました。宮城谷さんの他の作品に登場する数々の英雄も魅力的なのですが、諸葛亮(孔明)が「かくありたし」と言って憧れたということにも納得してしまいます。 (2003/10月、再読して再び楽毅の生き方に共感しました。こころに残ることばをいくつか紹介しました。) |
2003/9/7 長城のかげ |
秦の始皇帝の崩後、中国全土はまた戦乱に覆わます。このとき、覇を争ったのが劉邦と項羽です。劉邦はライバル項羽に敗れつづけながらもあざやかに逆転、最終的に勝利をおさめます。漢の高祖劉邦を支えた多彩な臣下のうちの5人についてその軌跡を追うことにより、劉邦のもついろいろな面を明らかにしてくれます。 逃げる:季布は項羽がもっとも信頼する将軍でしたが、項羽の敗死後、流れた果てに劉邦に仕え、漢の名臣となりました。 長城のかげ:盧綰は幼なじみの劉邦に従い、漢王朝の成立後燕王に封じられます。しかし、劉邦が権力の魔にとりつかれて功臣を次々に誅殺するのに絶望し、ついに反旗を翻して匈奴のもとへ逃亡してしまいます。 石径の果て:儒者陸賈は劉邦がもつ包容力にひかれ、外交に手腕を発揮する一方、「新語」を著し漢王朝成立の理論付けを行います。 風の消長:斉王劉肥は劉邦の最年長の庶子ですが、虚妄に覆われた父の生き方に違和感を持ちつづけました。 満天の星:儒者叔孫通は転変を経て劉邦に仕え、漢王朝成立後儀式や制度を整えます。 (2003/9月、再読しました。こころに残ることばがたくさんありましたので紹介しました。) |
2003/05/31 管仲 |
管仲は中国の春秋時代、最初の覇者となった斉の桓公に仕えた名宰相‥‥というか、桓公を覇者に成さしめた人物といってもいいでしょう。コピーに「知の管仲、義の鮑叔、「管鮑の交わり」として名高い男の絆――」と書かれているように、主人公は管仲と鮑叔の二人です。この二人を中心にして宮城谷さんは例によって、生き生きと春秋時代初期を描かれています。 この前の新刊書以来約2年以上の年月は長く、連載されている間刊行されるのを待っていました。ちょっと説教臭いところもありますが、久しぶりの宮城谷節、期待を裏切らない作品で一気に読んでしまいました。 (5/31追記) 新聞で紹介された記事です。 |
2003/4/13 華栄の丘 |
本書の主人公、華元は春秋時代の宋の名宰相です。宋の襄公は五覇に数えられることもあるほど覇気のある君主でしたが、楚に敗れてその時に受けた傷がもとで死んでしまいます。華元が仕えたのはその襄公の三代あとの君主、文公です。この君主は華元を信じ、決して傲らず、正義を貫いた人だったようです。華元も戦で国土を広げるというタイプではなく、礼をもって国内を治めるという人でした。「宋襄の仁」という言葉があります。『(楚との戦いで、宋の公子目夷が楚の布陣しないうちに討ちたいと請うたが、襄公は、君子は人の困っている時に苦しめてはいけないといって討たず、かえって楚のために敗れたという故事)無益のなさけ。事宜を得ていない憐れみ。』(広辞苑より)わかりやすく言うと、本来「バカ正直が身を滅ぼす」というような意味なのですが、本書では「これが宋人の礼である」と言って良い意味に解釈しています。 (2003/4月、再読しました。) |
2003/04/12 歴史のしずく |
宮城谷さんの作品から自撰された珠玉のことばを集めた本です。副題は「宮城谷昌光名言集」となっています。目新しいものではないので、本屋さんで見つけたときも買う気はなかったのですが、なんとこれがサイン本。このところ宮城谷さんのサイン本コレクターになってしまっている私はそのままレジへ直行となってしまいました。 全編宮城谷節なので、落ち込んだときとかちょっと時間のあるときとかにパラパラと読むのにちょうど良さそうです。 |
2002/11/04 海辺の小さな町 |
これは宮城谷さんにしては珍しく現代ものです。白状すると本作品の存在を知ったのは、つい最近のことです。(^^;主人公は写真にのめり込んでゆく大学生なのですが、宮城谷さん自身の経験が色濃く反映しています。海辺の小さな町で彼のまわりに起こる人と人の友情・摩擦、はかない恋などが書かれた、いわゆる爽やかな「青春もの」という感じの作品です。 しかし、宮城谷さん一流のことば遣いが彼のファンとしては心地よく、他の小説家の作品とはひと味違っています。 |
2002/5/26 孟嘗君 |
孟嘗君は本名を田文と言い、戦国時代、斉・魏・秦の宰相となった人です。仁義をもって国を治め、食客を数千人も抱えていたといわれています。薛と言う国の君主であったので、薛公とも呼ばれます。また、戦国の四君の一人です。(四君とは、孟嘗君の他、趙の平原君、楚の春申君、魏の信陵君です)本書では5巻のうち半分以上(4巻近く)が田文の養父である風洪、後の大商人白圭の冒険物語です。孟嘗君が中心で活躍するのは最後の1巻だけ(^_^)。孟嘗君の他に公孫鞅(商鞅)・孫臏(孫子)・蘇秦・張儀・孟軻(孟子)などという戦国時代のスター(?)達が登場します。 面白いです、お勧めです! (2002/5月、再読しました。「孟嘗君語録」をいくつか紹介しました。) |
2002/02/10 春秋の色 |
これは宮城谷さんがいろいろな本に書かれたコラムなど58編を集めたものです。本書は宮城谷さんファンの方には勿論、これから熱烈ファンになりそうな方には是非おすすめの一冊です。というのも、宮城谷さんの作品の基礎となっているものがたくさん書かれているのです。たとえば、漢字に対するこだわりや古代中国に対する思いなどがよくわかります。 また、宮城谷さんおすすめの本などがたくさん書かれていますので、読む本に迷った方の古代中国歴史小説ガイドにもなるでしょう。 |
2002/02/03 鬧熱の時代 |
【新春特別随想】 −中国の戦国時代について 宮城谷さんが多くの作品の対象としておられる戦国時代についての興味深いお話です。以下に本文より少々引用します。(全4頁) ========== (前略) 夏から始まる中国の王朝期をさいごの清までみても、ほんとうに自由な発想がゆるされたのは、この東周後期、すなわち戦国時代においてのみである。人々は宗教と教学の羈絆からのがれて、何を考えてもよく、どう行動してもよかったのである。中国にあった奇蹟的な時代とは、戦国時代のことであり、空前絶後であるといっても過言ではない。 貴族や富人の家には、床暖房や水洗トイレまで完備し、国には、軍事用とはいえ、高速道路が走っていた。女性が化粧をするようになったのもこの時代からであり、黛をつかっての眉の描き方も現代人と違わない。燭台の豪華さは今のシャンデリアと変わらない。斉の国都である臨淄の人口は六十万人以上であり、紀元前のそのころに、それほどの人口をもった都市が、アジアで、いや全世界のどこにあったというのか。まさに中国の戦国時代は鬧熱の時代であった。 |
2001/09/16 無限花序 |
本書は私の好きな宮城谷さんの歴史小説ではありません。しかも、読むにはかなり手強い作品です。最初はなにがなんのことやらサッパリ理解できませんでした。しかし、最後の『石壁の線より』まで読み進めていけば、「なんとなく」ですが、宮城谷さんのいわんとされていることがわかったような気がしました。詳しくは、本文の方をどうぞ。 宮城谷さんフリークの方には是非読んで頂きたい作品です。 |
2001/06/17 春秋の名君 |
これは宮城谷さんがいろいろな本に書かれたコラムなど55編を集めたものです。題名と頭の方だけ見て、だまされて(?(^_^)?)買ったのですが、読んだ後には宮城谷さんフリークの私としては幸せ感に浸ることができました。 中でも、「司馬遼太郎さんのこと」という一文は感動ものです。ぜひ宮城谷さんファンの方は読んでみてください。 |
2000/10/22 史記の風景 |
これまで紹介してきた作品とはちょっと違って、本書は宮城谷さんが平成5年9月から産経新聞夕刊の文化面に連載されたコラム(101編)を集めたものです。一編の長さは文庫本で2〜3ページとなっていますので、通勤の途中でもとても軽く読めます。宮城谷さんの作品を読んだ方であれば、ここに書かれていることから、「宮城谷さんのあの作品のあの場面はこういうことだったのか」と思わずうなずいてしまうことでしょう。 |