宮城谷昌光さん 茶話会


草原の風』 刊行記念茶話会 2012年2月4日 (宮城谷さんのお誕生日!

 東京・内幸町の日本プレスセンターで開かれました。

 午後2時からのスタートなので、家内と連れだって1時半過ぎに到着するとすでにほぼ満席に近い状態。聞くところによれば、500人以上の申し込みのうち80人が当選ということで、かなりの高倍率だったようです。私は直前に気付いて申し込みハガキを出したというのに、当選させていただいてラッキーでした。(^^)
 茶話会に参加するのは初めてでしたが、ゴージャスに盛装された方もおられて最初はちょっと気後れしてしまいました。北は北海道から南は九州まで、遠方から参加されている方が多くて熱心なファンが多いと実感しました。家内の意見で、あまりラフではない格好をして正解でした。ここのとことろ日本中冷蔵庫の中のように寒い毎日でしたが、当日は比較的穏やかな日で、宮城谷さんは到着されて開口一番「雪が降らなくてよかった」とおっしゃっていました。
 参加できなかった方のために、プログラムをご紹介しましょう。
* 開会
* ごあいさつ 中央公論新社社長 小林敬和
* 原田維夫さんのお話
* 宮城谷昌光先生のお話
* お話についての質問
    <休憩>
* 宮城谷昌光先生と原田さんに質問コーナー
* 写真撮影とミニサイン会
* 閉会
 原田さんは、宮城谷さんが原稿を書かれるときにちゃんと期限を守られ、しかもそれが早いので挿絵(版画)を書く方からしてもありがたかったということをおっしゃっていました。多くの作家の方の中で、これは珍しいことなのだそうです。
 また、新聞に掲載される前に読めるのが嬉しかったとか、多くに方に「劉秀はこのあとどうなるの?」という質問を受けるほど新聞連載の反響が大きかったことなどをお話しされました。

 最後の質問コーナーで原田さんの挿絵は連絡いただければお分けなさるとのことでしたので、ご希望の方はどうぞ。(近々Webサイトを開かれるそうです)

 宮城谷さんはお話の最初に、会場の一番端に座っておられる出版社の方々をご紹介されました。
 出版社の方というのは横の連携が良いのでしょうか、仲が良いのでしょうか、中央公論新社で主催されているこの茶話会に文藝春秋社や講談社など他の出版社の方が10人ほどみえておられたのに驚かされました。一人ひとり楽しいエピソードなどを交えての紹介です。
 次に『草原の風』についてはいろいろなインタビューなどでも話されていますが、主人公の劉秀はずっと書きたかった人なのだそうです。「中国の殆どの王や皇帝が国を建てたらそれまで自分のために頑張ってくれた臣下を殺してしまったり、追放してしまったりとかしてきましたが、宋を建てた趙匡胤とこの劉秀だけはそんなことはなく、臣下を大事にした人です。」とおっしゃっていました。そんな劉秀を描きたくて何年もかかってしまったと。

 最後の質問コーナーでは数人の方から「この次書かれるのは何か?」ということで同じ内容の質問が出されたそうです。
 ずっと書きたかった劉秀を書いたあとなので、ちょっと気が抜けているところだとおっしゃっていましたが、来年毎日新聞に劉邦を書くそうです。「劉邦は項羽に勝って漢を建てたあと、多くの臣下を殺しているのであまり好きではないが、楚漢戦争で当時の中国の人口が半分になってしまったといわれているような大変な時代を治めるよう天が命じたのではないかと思っている」とのことです。また、若い頃の劉邦は街のチンピラの親分みたいだったようですが、「渡世ものと組み合わせたようなものにすればおもしろいかもしれない」とのこと。
 劉邦といえば、司馬遼太郎さんの名作『項羽と劉邦』を思い浮かべますが、宮城谷さんはどのように描かれるのでしょうか。楽しみですね。

 宮城谷さんのお好きなことばを紹介されました。
  思則得之
 これは宮城谷さんのお好きな孟子の中にあることばで、一生懸命思っていればかならず実現するということだそうです。「僕は一生懸命小説家になりたいと思っていたらなることができました。皆さんもそう信じていれば必ず実現します。」とおっしゃっていました。

 宮城谷さんは四文字熟語がお好きとのことで、もう一つ紹介されました。
  亡羊補牢
 このことばは、「飼っていた羊が逃げたあとで、その囲いを修繕する」ということから、普通は何か失敗した後で改善しても「あとのまつり」ということで使われることばだそうです。あとで調べてみると『戦国策』にあることばなので、私はかつて読んだことがあるのでしょうが、初めて耳にしたように感じました。(^^;
 しかし、宮城谷さんは、「人間というのは完璧ではないのだから、何か失敗したら「あとのまつり」であったとしてもその手当てをするべきだと思うのですね。また羊を飼うかもしれないし・・・。私は、失敗したら無駄になるかもしれないけど手当てをするような人間が好きです。」とおっしゃっていました。

 もう一つ印象に残ったのは、古代中国を題材とした宮城谷さんの作品がなぜ成功したかについてのお話です。宮城谷さんは尊敬する故白川静さんに「これまで多くの人が古代中国の歴史小説を書いたがあまり成功しなかったのに、なぜ私の作品は多くの人に受け入れられたのでしょう?」と聞かれたそうです。白川さんは、「これまでの多くの人はカミソリだが、君は鉈だ。」と答えられたそうです。
 中国というのは奥が深くて大樹のようなものなので、カミソリで剪ろうとしても剪れるものではありません。宮城谷さんはそれを鉈で剪ったということなのだそうです。「鉈で剪った後はきれいじゃありませんけどね」と笑って話しておられました。

 宮城谷さんファンとしては興味深いことですが、使っておられる原稿用紙のことを話してくださいました。
 400字詰めの原稿用紙に書かれているのですが、原稿用紙の罫線の色やペンのすべりがいろいろあり、書く内容によって使い分けているのだそうです。これまで一番よかったのは「ライフ」(?)の原稿用紙だったそうで、罫線の色はセピアでしたが、残念ながらなくなってしまったとか。それで似たものを探した結果、罫線がグレーのものを見つけて使っておられるそうですが、この用紙はペンのすべりが速く、三国志のようにゆっくり考えながらでないと書けない作品には向かないのだそうです。
 罫線の色とインクの色の組み合わせによっても気分が変わるので、いろいろと使い分けているそうです。例えば、オレンジ色の原稿用紙に青のインクで書くと気分も明るくなるので、『古城の風景』はこの組み合わせで書いていられたそうです。
 『夏姫春秋』で直木賞をいただいたあと、海越出版から自分の名前入りの原稿用紙をプレゼントされたそうです。その原稿用紙は一番気に入っていた「ライフ」(?)のものと同じに作られていたのでとても嬉しかったのですが、それは原稿用紙の真ん中の200文字目の場所がわかるようなしるしがなかったため、結局使えなかったそうで残念だったとおっしゃっていました。
 私には想像もつきませんが、やっぱりデリケートなものなのですね。
 このお話のネタにとして普段使っておられる原稿用紙を5種類持参しておられ、「希望者にプレゼントします」とおっしゃいました。会がお開きになったあと、希望者でこの原稿用紙を巡って大ジャンケン大会が行われましたが、私も家内も一回目であえなく敗退。残念。(笑)

 最後に宮城谷さんには『孟嘗君と戦国時代』と『歴史のしずく』の2冊にサインをしていただきました。サインされているところの写真を撮らせていただきましたが、厚かましい家内が「もう一枚お願いします」というと、お二人こちらをにこやかに向いてくださいました。
 持参していった『草原の風』(上巻)にはすでに宮城谷さんにはサインをいただいていたので、宮城谷さんのサインの横に原田さんにサインしていただきました。
 右側の写真はいただいたおみやげで、『草原の風』に載せられた原田さんの版画のポストカードと、宮城谷さんが題字を書かれた『草原の風』刊行記念オリジナル一筆箋(非売品!)です。これは嬉しい。(^^)
 大ジャンケン大会で負けた後、出口に向かうとなんとまだ宮城谷さんがロビーにおられるではありませんか。ここでも厚かましく「写真を撮らせていただけませんか」というと、気さくに「あぁ、どうぞ」といわれたので、最後にもう一枚取らせていただきました

 ということで、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
 宮城谷さん、原田さん、中央公論新社の方々、本当にありがとうございました。

<最後に>
 宮城谷さんは前回(三国志の刊行記念でしょうか)の茶話会が雰囲気も良くてとても気に入られたそうで、それで今回は中央公論新社さんに開いていただくようお願いされたのだそうです。私も今回参加させていただき、大変良い時間を過ごさせていただきました。今回参加できなかった方も、次回は(数年後かもしれませんが)お楽しみに。

<続・最後に>(2012/2/14追記)
 本日、中央公論新社さんより記念撮影の写真が届きました。中には、以下のような手紙が同封されていました。
このたびは『草原の風』刊行記念茶話会にお越し下さいまして、本当にありがとうございました。
当日の写真をお送りさせて頂きます。
宮城谷昌光先生の作品をはじめ、魅力的な出版物を刊行してまいりますので、今後とも弊社刊行物をご愛読下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
 こちらこそ、本当にありがとうございました。