私の好きなことば (20)
この部屋では、私が出会ったことばや好きなことば、思い出のことばなどを紹介しています
【社稷(しゃしょく)】 (2000.11.05)
最近宮城谷昌光さんの本など昔の中国にどっぷりと浸かっているせいで、この言葉によく出会います。「なんとなく聞いたことはあるけど、本当の意味は知らない」といういつものパターンです。なんとなく、国家とか民とかをあらわす言葉であるということはわかっていましたが・・・。
そこで、いつものように広辞苑を引いてみました。
しゃ‐しょく【社稷】
[礼記祭義] 昔の中国で、建国のとき、天子・諸侯が壇を設けて祭った土地の神(社)と五穀の神(稷)。
[論語先臣] 国家。朝廷。「―を憂える」
○社稷墟(きょ)となる
[淮南子人間訓] 社稷の祭が絶えて空しいあととなる、すなわち国家が滅びる。
しゃしょく‐の‐しん【社稷の臣】
[礼記檀弓下] 国家の安危・存亡を一身に受けて、事にあたる臣。国家の重臣。
社稷とは、広い森の中に先祖を祀った壇を設けたもので、今でいうと規模は違うでしょうが「鎮守の森」と言うイメージでしょうか。征服者が入ってくると、まずやることは社稷を焼き払うことだったようで、「社稷墟となる」という社稷がなくなるということと国が滅ぶのが同じ意味になったのですね。
春秋左氏伝の隠公5年(718年BC)にこういう記述があります。
宋の人が邾(ちゅ)の田土を取ったので、邾の人は鄭(てい)に「どうか宋への恨みをお晴らし下さい。わが邑(くに)が先導いたします」と通告した。鄭の人は、王の軍とともにこれに合流して宋を攻め、その外郭に侵入して東門攻撃に報復した。
宋の人は魯(ろ)に[救援の]使者を送った。隠公は外郭に侵入されたと聞いて、援軍を出そうと思い、使者に「敵軍はどこまで達したか」と聞くと、「まだ城内には達しておりません」との答え。その言い種(ぐさ)に公は腹を立て、出兵を取りやめて、使者にことわらせた。
「宋君は寡人(わたくし)に、社稷の危機を救ってほしいと仰せられたが、いま使者に伺えば、「敵軍はまだ城内に達しておらぬ」とのこと。それでは寡人の関知するところではありません」
この後、宋や鄭の報復合戦が始まって面白いのですが、それはまた次の機会にということで・・・。