O-ネットでは毎年度、オンブズマンが対応した事例をもとに、事例集『主な対応事例〜オンブズマン活動実績』を発行していますが、その事例集に掲載された事例を、2年ごとに分析し、特徴や傾向をまとめたものが『オンブズマン活動実績 事例分析』です。

事例を「介護・介護体制」「コミュニケーション」「リハビリ」など11項目に分類。「改善できた事例、未改善のまま残されている事例とその特徴、「事例から見えてきたもの」について分析しています。第2弾以降は、前回の傾向との比較も行っているので、4年ほどの比較的長いスパンで施設介護の変化みていくこともできます。

高齢者施設の具体例をきめ細かに記しているので、「この冊子に書かれている内容を頭に入れて施設関係者と話をすれば、その施設がどの程度のサービスを実施しているのかがよく分かる」と、冊子を読んだ読者からの感想。市民の目で介護の現場を見つめ、市民としての立場から高齢者施設の介護サービスの現状についてまとめており、マスコミにも多数、紹介記事が掲載されています。

改善率は上昇!施設の熱意を後押し

2010年3月発行/A4判86ページ・定価1000円

2007年度と2008年度の事例集に掲載された高齢者施設(特養47施設)の事例、全1599例を対象に分析。前回(2005年度・2006年度事例分析)の傾向との比較も行っています。

今回の事例分析では、職員の確保が厳しいなか、施設の努力もあって全体的に改善率がアップ。特に「外出」や「楽しみ」については未改善率が前回に比べ10%前後減少するなど、オンブズマンが継続して要望を伝え続けることが施設の背中を押し、利用者満足につながっていることが感じられる結果となりました。また、「診察・治療」では、未改善の事例件数が124件中7件と少なく、施設が利用者の訴えに真摯に対応していることがわかりました。一方では、年々「車椅子」に関する事例が増加。座りっぱなしによる体の痛みの訴えや、事故につながりかねない不用意な操作をしている事例も見られ、いっそうのきめ細やかな対応が求められます。

「大阪府福祉基金地域振興福祉助成金」の助成を受けてまとめた本書。人生の最晩年を安心して心豊かに暮らしていくには、施設及び利用者に「何が求められるのか」についても追究しています。

人手不足の影響が介護サービスにも顕著に

2008年6月発行/A4判82ページ・定価500円

2005年度と2006年度の事例集に掲載された高齢者施設(特養48施設)の事例、全1050例を対象に分析。前回(2003年度・2004年度事例分析)の傾向との比較も行っています。

全体として顕著だったのが、介護内容や清掃に関わる事例の増加。「フロアに職員の姿が見えない」といった職員体制・配置に関する事例は前回に比べ2.4倍増。同様に、排泄介助1.7倍、身だしなみ1.8倍、事故・身体拘束2.6倍、居室の清掃2.4倍と、大幅に事例数が増えています。事例件数が多いということは、橋渡し役であるオンブズマンが、施設に伝えなければならなかったことが、それだけ多かったことのあらわれと言えるでしょう。具体例もふんだんに掲載しています。

2003年度・2004年度オンブズマン活動実績 事例分析

個別対応は一定定着。進む施設間格差

2006年3月発行/A4判109ページ・定価800円

2003年度と2004年度の事例集に掲載された高齢者施設(特養45施設)の事例、全904例対象に分析。前回(2001年度・2002年度事例分析)の傾向との比較も行っています。全体を通して、(1)個別対応が進み、リハビリに力を入れ出した施設も増えている、(2)利用者の要望の高度化も進み、要望を出しやすい環境が整えられつつある、(3)取り組み内容に施設間格差がみられるなどが明らかになりました。

大阪府男女共同参画活動事業補助金を受けて作成した本書では、事例の分析から浮かび上がってきた課題(職員体制、排泄ケア、ボランティアの導入、外気浴の機会提供、認知症高齢者の居室整備など)について、意欲的に取り組んでいる施設にヒアリングを行い、課題をクリアするためのヒントも掲載しています。

2001年度・2002年度オンブズマン活動実績 事例分析

選択食を導入、職員の確保・教育も進む

2004年5月発行/A4判73ページ・定価500円

2001年度と2002年度の事例集に掲載された高齢者施設(特養34施設)の事例、全685例を対象に分析。全体を通して、(1)選択食の導入など食事内容、「楽しみ」に関わる物品の提供などについては比較的速やかに改善されている(2)職員の確保・職員教育については、事例が取り上げられてから2年および2年半の期間を経過した追跡調査ではある程度改善されている(3)施設周辺への散歩など身近なところへの外出、入浴およびリハビリの提供回数の増加などは、対応する人手の確保が難しくいまだ十分ではない――などの傾向が見えてきました。市民が求めるよりよい施設介護とは何か、オンブズマン活動の意義と役割にも言及しています。