軽井沢町

旧三笠ホテルきゅうみかさほてる ○○

重要文化財1登録  明治時代建造物

本棟

ほんとう

 

三笠ホテルの落成 :明治38年(1905)、営業開始は翌年

三笠ホテルの創建者:山本直良

三笠ホテルの位置  :北佐久郡軽井沢町軽井沢唐堀1339−342

ホテルの構造     :木造2階

 

 軽井沢の印象はというと、苔生したカラ松林に黒い溶岩石が頭をのぞかせ、彼方の空には 煙が上る浅間山、その手前には小高い離山と愛宕山。周辺には別荘地とリゾートホテルが立ち並んでいるのが想像できます。現在の軽井沢駅を 北へまっすぐ銀座へ向かうと、その入口にX差路の交差点があります。この付近には昭和45年まで駅がありました。駅名は旧軽井沢駅。大正4年に草津軽便鉄道として軽井沢駅−旧軽井沢駅−三笠駅−鶴留駅−小瀬温泉駅までの10qが開通しました。 今は無き、洒落た小型の蒸気機関車に乗って三笠駅を下り、500mほど北へ歩いていくと三笠ホテルがありました。現在はそこからさらに70mほど北へ、国指定重要文化財 旧三笠ホテルとして移築保存されています。

 

 明治37年(1904)、日本郵船や明治製菓の重役を務めた実業家の山本直良が、牧場を営むために湯ノ沢に25万坪の土地を25万円で買収しました。しかし、土壌に問題があって断念し、三笠の地にホテルを建てることにしました。定宿にしていた万平ホテルの佐藤万平に相談し、万平はホテルの建築の監督を引き受けてくれました。設計は欧米に学んだ岡田時太郎、工事は地元軽井沢の小林代造の手によって行われました。 建築様式は木造のアメリカスティックスタイル、戸はイギリス風、用材は小瀬の赤松を製材して使用しました。明治38年(1905)秋に竣工し、三笠ホテルと名付け 、翌年5月から営業を開始しました。

 

 旧三笠ホテルを訪れた当日は晴れていましたが、森の中で湿度が高いせいか、建物の中は非常にカビ臭く、入るのを躊躇するほどでした。黒を基調とした壁に白い柱と窓枠で構成され、赤い屋根に暖炉の煙突が立ち、今見てもモダンな建物に感じられます。中に入ると玄関は狭く、正面に2階への階段があり、左右に廊下が延びています。右 廊下を行くとフロントがあり、漢数字で書かれた部屋のキーボックスなどがあります。部屋にはベッド、洋服箪笥、便器、風呂、机椅子、暖炉が基本セットとして置かれ、床は木板で、天井には広葉樹を皮付きのまま半切りにして格子状に張り付けてあります。金を釉薬とした透明赤のガラスライトが至る所に配置され、軽井沢彫りと呼ばれる机と椅子に腰掛け、外の美しい緑を眺めていると落ち着きます。
 多くの外国人をはじめ、渋沢栄一、団琢磨、住友吉左衛門、乃木希典、近衛文麿、有島武郎などの有名人が宿泊しました。人々はこの三笠ホテルを「軽井沢の鹿鳴館」と呼びました。客室30に対して定員40人という贅沢なもので、京都から陶芸家を呼んで三笠焼の窯をひらいたり、地元の工芸品の販売などをして客をもてなしました。

 宿泊料金は、一等12円、二等8円、三等5円と当時の数倍の値段でした。明治40年に、今は見ることが出来ない日本館が増築されましたが、43年8月の精進場川の大洪水によって破壊されました。この時の写真を見ると、銀座通りにも濁流が押し寄せて川のようになっています。大正14年に明治屋に権利が移り、株式会社三笠ホテルとなりました。昭和19年(1944)から太平洋戦争のために休館となり、さらに終戦後はアメリカ軍に接収され、昭和27年山名伝兵衛が借り受けて『三笠ハウス』と改称されました。その後老朽化が激しく、昭和45年(1970)64年の歴史に幕を閉じ廃業となりました。日本長期信用銀行の所有となって現在の地に移築復元され、55年重要文化財指定となりました。

 現在の旧三笠ホテルは、落葉樹とカラ松林に囲まれていますが、当時の写真を見ると周辺の愛宕山を含めてほとんど木が無い状態で、遠くの別荘までよく見えます。 今では信じられませんが、戦前の軽井沢というものは、外国人の街のようでした。開業してまもない明治39年の調査によると、英国401人、米国337人、独国74人など計851人もの外国人が住み、別荘数も日本人よりも多く所有していました。町中の写真を見ても白黒ですが、金髪の男女が歩き、英語の旗がならび、テニスや野球の写真にも彼等が写っています。こうした人々が避暑地として楽しんだ当時の建築物として、旧三笠ホテルは想像を現実として教えてくれます。

 


「交 通」

 旧三笠ホテルは、軽井沢駅前通りを約1.8q北上し、銀座通り入口の交差点を斜め左へ約2.0q行くと右手の森の中にあります。軽井沢駅から散策しながら歩いていくのが良好ですが50分ほど要します。 サイクリングがお勧めです。

「入場料・駐車場」

 入場料400円、9時〜17時(入館は16時半まで)

 駐車場は旧三笠ホテルから100mほど白糸の滝方面にいった所にあり、無料です。

 

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1F廊下全景
西側より


個室の様子
1F西棟より撮影