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残暑35度
台風の影響からか8月も終わろうとしているのに、もう昼前で35度に達してしまった。ここ数日こんな気温で、寝苦しい夜でもある。
少し大きめのスカートをはいた老女が日傘をさして歩いてくる。手にはハンカチを持ち、ときどき額の汗を拭いながら・・・。とある事務所の前で止まり、一息ついて中に入る。
「こんにちは。」
「はい、いらっしゃいませ」
何か書き物をしていた工藤綾が、顔をあげ、癖なのか左手で眼鏡の縁をさわりながら言った。そして、立ち上がり応接テーブルへと案内する。
「私、昨日お電話した絹川サトといいます。実は滞納賃料の件で相談にまいったのですが」
「はい、社長から聞いています。今、呼びますから少しお待ちください。」と工藤綾がいい、社長を呼びにいった。
しばらくして体格のいい矢吹五郎が入ってきて挨拶をする。工藤綾が冷たいものをおいていく。
絹川サトは、冷たい飲み物に一口つけて淡々と話はじめた。
「実は店舗として私が所有している3階建てのビルの1階の101号室を菊地真由美に貸したのが約5年前です。ところが、ここ1年と半年は賃料を支払ってくれません。それで困って入居斡旋をした不動産業者にお願いをして催告してもらったのですが、全然支払ってくれません。そして、その不動産業者からは、あとは貸主の私が対応してくださいといわれてしまったのです。」
「ほー、そうですか。ところで、その不動産業者はどんな方法で催告をしたのですか?」
「何でも、普通の郵便で催告書を2回送ったが、郵便は届いているはずなのに、連絡がないとのことなんです。」
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小説 矢吹五郎の不動産事件簿 VOL.02
(サンプル)

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