任脈(Conception Vessel Meridian (略:CV))

任脈(イラストはつぼツボから)

 

任脈が病になると
男性では様々な疝気(せんき:腰や腹の筋肉が引きつれて痛む)に悩まされる。
女性では帯下(たいげ:こしけともいい女性生殖器の異常な分泌物)等女性の疝気に悩まされる。
任脈は『前に任ず』、つまり「身体の前面のことを引き受ける」という意味です。

もともと任脈は、女性の妊娠と密接な関係にあり、特に婦人科疾患に大変よく効くツボが並んでいるのが特徴です。古典に『任は姙なり、腹の中を流れ、婦人姙(はら)んで、子を生養するもとたるなり』とあります。女性によくみられる内結(ないけつ)という症状は、任脈経に沿ってお腹の中に固いしこりができるもので、現代的に言えば白線、つまり臍から恥骨に下る線上の部分が非常に固くなったり、腸内ガスが多くなる症状のことです。これらの症状は女性の不妊症や、生理異常などのときに起こる症状ですが、任脈はこれらの症状を取り除く際に非常に効果があるツボです。

 

任脈国際表示:Conception Vessel Meridian (CV)
会陰(えいん)国際表示:(CV1)
このツボは、会陰部にあるために会陰という名が付いています。 任脈、督脈、衝脈の三脈が起こるところです。
筋肉:浅会陰横筋 血管:会陰動脈 神経:会陰神経

取穴法

主 治

鍼灸法

男性では陰嚢と肛門の間、女性では後陰唇交連と肛門の間 痔疾、腟炎、尿道炎、月経不順、子宮脱 直刺5分〜1寸
曲骨(きょくこつ)国際表示:(CV2)
このツボは、恥骨の正中部にある故にこの名が付いています。 別名に、回骨、屈骨端、尿胞などがあります。
筋肉:白線 血管:浅腹壁動脈、下腹壁動脈 神経:腸骨鼠径神経、肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上の臍の下五寸で、恥骨結合の上方 遺尿、排尿困難、白帯過多、子宮収縮不全 直刺1〜2寸
中極(ちゅうくょく)膀胱経の募穴国際表示:(CV3)
中は、なか、あたるの意味です。極は、むね、むなぎ、たかし、遠し、きわむ、はて、かぎり、物事の最終または最上、最も正しき道、くるしむ、はなはだし、とりとどむ、せまる、はなつ、つかれる、天の御位、さかい、きまり、きわめなどの意味です。任脈経の腹部におけるツボにあたる意味があります。 別名を、気原、気魚、玉泉、膀胱募などがあります。
筋肉:白線 血管:浅腹壁動脈、下腹壁動脈 神経:腸骨鼠径神経、肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、臍の下4寸 泌尿生殖器系の疾患 直刺1.5〜2.5寸
関元(かんげん)小腸経の募穴国際表示:(CV4)
  このツボの別名に、次門、下記、丹田、大中極、小腸募などがあります。古典の素問に、「上記は胃也。下記は関元也。」とあります。丹田は精神を蔵するところ。丹田とは心主の安在所。人身に丹田三あり。脳が上丹田、心が中丹田、関元が下丹田にあたります。このツボは小腸募で、小腸は心に属します。関元を治療に使う症状は大変多く、その中でも特に、精力減退とか痩せすぎ、高血圧、不眠症、冷え症といったものから、ニキビ、じんましんなどに効果があります。本来任脈は、男女の性器と密接な関係にあり、特に、陰部からヘソまでの下腹部にあるこのツボは、性器疾患の治療によく効きます。
筋肉:白線 血管:浅腹壁動脈、下腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、臍の下3寸 腹痛、下痢症、月経不順、月経痛、白帯過多、骨盤腔炎、閉尿、頻尿、尿道痛、蛔虫症 直刺1.5〜2.5寸
石門(せきもん)三焦経の募穴国際表示:(CV5)
石は、いし、山の骨、おも、はかり、いしぶみ、堅きものの形容などの意味があります。門は、病邪出入りの所の意味です。 別名を、利機、精露、丹田、命門、三焦募などがあります。
筋肉:白線 血管:浅腹壁動脈、下腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、臍の下2寸 腹部膨満感、水腫、排尿困難、不正子宮出血、無月経、白帯過多 直刺1.5〜2.5寸
気海(きかい)国際表示:(CV6)
このツボは、原気の海という意味があります。 古典の難経図翼に、「肓の原也、男子生気の海となす」とあります。古典の霊枢に、「肓の原は気海に出づ」とあります。
筋肉:白線 血管:浅腹壁動脈、下腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、臍の下1.5寸 腹部膨満感、腹痛、月経不順、不正子宮出血、ノイローゼ 直刺1.5〜2.5寸
陰交(いんこう)国際表示:(CV7)
このツボは、陰の交わるところの意味があります。 古典の外台秘要には、「任脈、衝脈、少陰の会」とあります。別名に、丹田、横戸、少関などの意味があります。
筋肉:白線 血管:浅腹壁動脈、下腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、臍の下1寸 尿道炎、子宮内膜症、月経不順、産後の腹痛 直刺1.5〜2.5寸
神闕(しんけつ)国際表示:(CV8)
このツボの名は、古典の外台秘要に、はじまる、神は心に蔵される。闕は宮城の門観である、とあります。故に神闕は神の出入りする門の意味です。 このツボは、温灸療法での治療を行うのが、一番良いとされています。別名に、臍中、気舎、闕会、維会などがあります。
筋肉:白線 血管:浅腹壁動脈、下腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

臍の正中 慢性腸炎、慢性下痢症、腹部膨満感、水腫、腹痛、 鍼灸療法はしない
水分(すいぶん)国際表示:(CV9)
このツボの名は、水を分けるところという意味です。水は腎に属す故に、腎と膀胱に関します。 このツボの部位は、小腸の下口にあたり、清濁を泌別して、水液は膀胱に入り、残りは大腸に入る。故に、水分といいます。別名に、分水、中守などがあります。
筋肉:白線 血管:上腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、臍の上1寸 排尿困難、水腫、腹鳴、下痢 直刺1〜2.5寸
(げかん)国際表示:(CV10)
  胃の下口、小腸の上口にあたります。水穀是に於いて入るとあります。別名を幽門といいます。
筋肉:白線 血管:上腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、臍の上2寸 胃痛、消化不良、胃下垂症、腸炎 直刺1〜2.5寸
建里(けんり)国際表示:(CV11)
建は、たつ、おく、おこす、はじめる、こぼす、くつがえすなどの意味があります。里は、さと、道程の意味です。  
筋肉:白線 血管:上腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、臍の上3寸 胃痛、嘔吐、消化不良、水腫、腹膜炎 直刺1〜2.5寸
(ちゅうかん)胃経の募穴国際表示:(CV12)
は、管也。胃の腑のこと、胃の水穀を受くるもの、これをという。胃の中央にあるので中という意味です。 古典の鍼灸甲乙経に、「胃の募、手の太陽、少陽、足の陽明の生ずる所、任脈の会」とあります。どのような症状に効き目があるのか、このツボが胃の中心に位置しているところから、胃に関する病気にはもちろん、下痢、便秘、じんましん、めまい、耳鳴り、ニキビ、精力増強などに使われます。このツボは、三焦の一つで消化吸収をつかさどる中焦の原穴としても重要です。
筋肉:白線 血管:上腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、臍の上4寸 胃炎、潰瘍性疾患、腹部膨満感、嘔吐、下痢、便秘、消化不良、高血圧、ノイローゼ、精神科疾患 直刺1.5〜2.5寸
(じょうかん)国際表示:(CV13)
は、管也。胃の腑のこと、胃腔上口にあたります。 上焦の病につかさどります。別名を、上管、胃管、胃などがあります。
筋肉:白線 血管:上腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、臍の上5寸 胃炎、潰瘍性疾患、腹部膨満感、嘔吐、吃逆 直刺1〜2寸
巨闕(こけつ)心経の募穴国際表示:(CV14)
闕とは、宮城の門観、人身に於ける宮城は心であるという意味です。 古典の鍼灸甲乙経に、「巨闕は心の募」とあり、心の主治穴で、心兪、厥陰兪と相関します。このツボは、中をずっと上がって、みぞおちの所にありますが、東洋医学ではこの部分のかたさや胸苦しさを、「心下の痞硬」と呼び、身体の健康度を測るバロメーターとしています。このあたりが何となくかたいようなら、はっきりとした目に見えるような症状がなくとも、心臓にかなりの負担がかかっている証拠ですから、できるだけ休養をとるべきでしょう。そのほかにも、慢性胃病とか生理異常にも良く効くツボです。また、排気ガスによる喘息症状にも大変効果があります。
筋肉:白線 血管:上腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、剣状突起の下1寸、臍の上6寸 動悸、心悸亢進、胃痛、嘔吐 下へ向けて1寸斜刺
鳩尾(きゅうび)国際表示:(CV15)
このツボは、胸骨剣状突起が鳩の尾状を呈するために付けられた名です。  
筋肉:白線 血管:浅腹壁動脈、上腹壁動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

剣状突起の下で、臍の上7寸 心痛、胃痛、嘔吐、吃逆、精神科疾患 下へ向けて5分〜1寸斜刺
中庭(ちゅうてい)国際表示:(CV16)
このツボは宮殿の中庭にあたるというように解して付けられた名です。心、肺の居るところが宮殿と解されます。  
筋肉: 血管:内胸動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上第五肋間と水平で中穴の下1.6寸 喘息、咳嗽、嘔吐 斜刺3〜5分
(だんちゅう)心包経の募穴国際表示:(CV17)
は、はだをぬぐ。中という時は心臓の下にある隔膜をいいます。 中は上焦の中点、上焦の気の合いするところ、上焦の気は宗気、宗気は心・肺の臓の主る所。中は心肺、臓の調気のツボです。別名を、上気海といいます。
筋肉: 血管:内胸動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

両乳頭の間で、前正中線上、第四肋間と同じ高さにある 咳嗽、喘息、胸内苦悶、胸痛、乳腺炎、乳汁分泌不足、肋間神経痛 上あるいは下に向け、5分〜1寸横刺。乳根穴への透刺は乳部疾患。華蓋穴への透刺は喘息に有効。
玉堂(ぎょくどう)国際表示:(CV18)
このツボは、立派な殿堂の意味です。心を君主としてその座所の尊称です。 別名を、玉英といいます。
筋肉: 血管:内胸動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、中穴の上1.6寸で、第三肋間と同じ高さにある 気管支炎、喘息、胸膜炎、嘔吐 斜刺3〜5分
紫宮(しきゅう)国際表示:(CV19)
このツボは、大帝の居、心臓上部の大切な部を意味します。支那帝王の居城を紫禁城といい、紫とは高貴、大切などの意味がある色です。  
筋肉: 血管:内胸動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、中穴の上3.2寸で、第二肋間と同じ高さにある 気管支炎、肺結核、胸膜炎 斜刺3〜5分
華蓋(かがい)国際表示:(CV20)
肺は五臓の華蓋にして第三椎に付着するとあります。このツボがこの部にあるが故に付いた名です。  
筋肉: 血管:内胸動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、胸骨柄と胸骨体の接合部 咽喉炎、喘咳、胸痛 斜刺3〜5分
(せんき)国際表示:(CV21)
は、玉についで美しい石のことです。は、玉をちりばめた美しい宮殿のことです。も共に美しい高貴の珠玉の意味があります。  
筋肉: 血管:内胸動脈 神経:肋間神経

取穴法

主 治

鍼灸法

前正中線上、天突穴の下1寸 喘咳、胸痛、咽喉腫痛 斜刺3〜5分
天突(てんとつ)国際表示:(CV22)
天部の刺突点。 別名を、玉戸といいます。
筋肉:左右胸鎖乳突筋間 血管:下甲状腺動脈 神経:頸横神経、副神経

取穴法

主 治

鍼灸法

胸骨柄上縁の凹陥部 喘息、気管支炎、咽頭炎、甲状腺肥大、嘔吐 2分直刺
廉泉(れんせん)国際表示:(CV23)
廉は、いさぎよし、かど、側辺などの意味です。泉は、経脈流通に密接な意味です。 別名を、舌本、本池といいます。
筋肉:正中甲状舌骨靱帯 血管:上甲状腺動脈 神経:頸横神経

取穴法

主 治

鍼灸法

喉頭隆起上方の凹陥部 気管支炎、咽喉炎、舌炎、喘息 5分〜1寸斜刺
承漿(しょうしょう)国際表示:(CV24)
口中の漿(唾液)を受けるツボの意味です。  
筋肉:下唇下制筋 血管:顔面動脈 神経:三叉神経第3枝、顔面神経

取穴法

主 治

鍼灸法

頤唇溝中央の凹陥部 顔面神経麻痺、歯痛、頭頂の強ばり 斜刺3〜5分