督脈(Governor Vessel Meridian (略:GV))

督脈(イラストはつぼツボから)

督脈が病に罹ると
下腹部からだんだん昇って心臓を衝(つ)いて痛む。
大便と小便が思うように出ない。
疝気(せんき:腹・腰などの筋肉が引きつれて痛む病気)を病む。
婦人では不妊症となる。
尿閉・痔疾・遺尿症、口渇になる。
背中が強ばり、折れるように痛む。
東洋医学では、人間の身体には奇経八脈と言って十二の経絡の中を流れる経水のエネルギーが過不足なく五臓六腑を流れるように、常に調節している経脈がある考えられています。この経脈は、人体を流れている十二の正経脈を、縦に横に斜めにつないで、エネルギーの流れをうまく調節する重要な機能の役割を果たしています。督脈と任脈は、東洋医学で言う三焦の機能に影響を持つエネルギー循環を調節する大事な経脈です。

督脈は『後ろに督す』。つまり「後ろで監督する、見張る、取り締まる」という意味で、背中の真ん中を走る正中線を縦に貫いています。

督脈の経脈の機能が弱ると、様々な症状がおきます。特に頭部、性器の障害、消化器系、呼吸器系など、多種多様の症状が現れます。下腹からみぞおちにかけて突き上げるような激しい痛み、のぼせて急に刺すような痛み、咽がかわいて痛む、また夜尿症や閉尿、そして不妊症などの症状が現れる傾向があります。

 

督脈国際表示:Governor Vessel Meridian (GV)
長強(ちょうきょう)国際表示:(GV1)
長は、ながし、たけだけし、おくふかし、つね、いつまでも、あまる、むだ、すすむ、等の意味です。強は、つよし、心または身体の力がすぐれて強い、すこやか、等の意味です。このツボは、生命を長く、かつ身体を強く保つという意味があります。 背中がこわばって身体が曲がりにくいとか、便秘や痔、子どもの引きつけ、小便の出が悪い、そして淋病に大変効果があるといわれています。その中でも、頭痛と痔については、百会という頭のてっぺんにあるツボと併用すると大変効果があります。東洋医学では同じ頭痛でも、この督脈の経路に沿って前頭から後頭にかけて痛むのを督脈頭痛といい、この場合は、百会から長強まで、この経脈に沿ってよく調べ、ツボを決めていきます。東洋医学には、「上は下で治す、下は上で治す」つまり上下病という上半身と下半身に、はっきり別れて出た症状については、上半身の症状には下半身のツボで、下半身の症状には上半身のツボで治すことがあります。
筋肉: 血管:下直腸動脈 神経:下直腸動脈

取穴法

主 治

鍼灸法

後正中線上で、尾骨先端の下5分 痔疾、脱肛、腰背痛 膝胸位の姿勢をとり、上方へ向け1〜1.5寸斜刺
腰兪(ようゆ)国際表示:(GV2)
腰は、こしの意味です。兪は、邪気の注ぐところの意味です。このツボは、腰に注ぐ腰の兪穴の意味です。 腰戸、腰柱等ともいい、腰部の症状のツボの意味です。別名を髄空、髄孔、髄兪、髄府といいます。
筋肉: 血管:下殿動脈 神経:仙骨神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

p仙骨と尾骨とが接合するところで、仙骨管裂孔の中にある 腰仙部疼痛、月経不順、痔疾、脱肛、下肢麻痺 やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
陽関(ようかん)国際表示:(GV3)
陽は、陰陽の陽の意味です。関は、門の要会、出入りの所の意味です。このツボは、陽気の出入りするところの意味です。 腰の陽関と足の陽関とは相対します。陽関は人体下部の陽気を導く関門と解すれば陽気缺弱、下元虚冷、所謂腎虚の証のツボを現しています。
筋肉: 血管:腰動脈 神経:腰神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第四腰椎棘突起の下 腰仙部疼痛、下肢麻痺、月経不順、慢性腸炎、下痢 やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
命門(めいもん)国際表示:(GV4)
このツボは、命の門ともいい、先天の元気が宿るところとされています。人間の生命力の一番の中心であるということから、このツボの名が付いています。 またの名を、「腎間の気」「先天の元気の座」などとも呼ばれ、両方の腎臓の間にあります。人間が生まれながらにして持っている体質、体力を丈夫にするツボということで、昔から虚弱体質や腰痛によく使われています。そしてまた、精力減退からくる耳鳴り、頭痛、婦人の生理異常、おりものなどにもよく効くツボです。スタミナ作りに使われるツボとして、命門と共に、先天の座といわれる腎兪、後天の元気の座といわれる三焦兪、元気に関するツボといわれる任脈の関元を併用すると大変効果を発揮します。
筋肉: 血管:腰動脈 神経:腰神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第二腰椎棘突起の下 腰痛、遺尿、遺精、白帯、子宮内膜炎、頭痛、耳鳴り やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
懸枢(けんすう)国際表示:(GV5)
懸は、関係のあるという意味です。枢は、人身の枢要なる部の意味です。 このツボは、三焦兪の中央にあります。三焦は後天の元気の入る門、人身の枢要なる部です。懸枢は人身の枢要(三焦)に懸かるツボ(関係ある意味)です。天枢、中枢共に相関します。
筋肉: 血管:腰動脈 神経:腰神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第一腰椎棘突起の下 腰背痛、消化不良、腸炎、下痢 やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
脊中(せきちゅう)国際表示:(GV6)
このツボは、背骨の中点の意味です。 別名に、神宗、背兪があります。
筋肉: 血管:第11後肋間動脈 神経:胸神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第十一胸椎棘突起の下 癲癇、黄疸、下痢、小児の脱肛、痔疾 やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
中枢(ちゅうすう)国際表示:(GV7)
   
筋肉: 血管: 神経:

取穴法

主 治

鍼灸法

第十胸椎棘突起の下 腰背痛、胃痛、食欲不振、視力減退 やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
筋縮(きんしゅく)国際表示:(GV8)
このツボは、筋の縮まるところの意味です。筋の弛緩を引き締めるのに効果があるツボの意味があります。 筋は肝に属し、筋縮というツボは、肝に属する総ての病に用いられます。このツボは肝兪の中央に当たります。背筋がこわばって身体の曲げ伸ばしがうまくないときに用いると効果的です。
筋肉: 血管:第9後肋間動脈 神経:胸神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第九胸椎棘突起の下 腰背痛、胃痛、ノイローゼ、癲癇、ヒステリー やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
至陽(しよう)国際表示:(GV9)
このツボは、陽に至る部の意味です。 古典の素問に「七椎の下問、腎熱を主る」とあります。人身上を陽となし、下を陰となす。膈兪、膈関、至陽以上を人身の陽となす。
筋肉: 血管:第7後肋間動脈 神経:胸神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第七胸椎棘突起の下 肝炎、胆嚢炎、胃痛、肋間神経痛、腰背痛 やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
霊台(れいだい)国際表示:(GV10)
霊は、心の意味です。神霊の宿るところ、心の付着する第五椎の下、心の台に当たる部という意味です。 心とか霊というツボは、すべて神の座である心の臓の治療のツボです。特に、心の臓の生理的機能面よりも精神情緒面での失調に使用するツボです。
筋肉: 血管:第6後肋間動脈 神経:胸神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第六胸椎棘突起の下 喘息、気管支炎、腰背痛、胃痛 やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
神道(しんどう)国際表示:(GV11)
東洋医学では、神は心の臓に宿る、つまり人間の性格も能力も健康も心の臓が支配しているとしています。その神に通じる道にあるのが、この神道というツボです。 神道というツボは、心兪と共に使用すると、循環系の障害に対して効果があります。つまり、上半身がほてり、首や肩がこる、動悸がする、息切れがするといった症状に大変効果があります。軽い狭心症の症状を取るときにも、威力を発揮するツボです。また、自律神経失調症といわれる情緒不安や、対人恐怖症、赤面症のような場合にも効果のあるツボです。
筋肉: 血管:第5後肋間動脈 神経:胸神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第五胸椎棘突起の下 ノイローゼ、脊背痛、咳嗽、肋間神経痛、小児の引きつけ やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
身柱(しんちゅう)国際表示:(GV12)
身柱は別名、「散り気」と言って、「集まり募った邪気をはらうツボ」とされ、特に乳幼児の体力を高め、身体を丈夫にするツボとして知られています。「散り気の灸」と言えば、今もなお、子どもの保健強壮灸として有名です。 このツボは、頭、うなじ、首、肩から背中にかけての、こりや痛みを取るためにもよく使われます。古典の和漢三才図会には「智利介」と訓じ、智の利を介ける(たすける)と解して健脳の灸ツボとしいます。
筋肉: 血管:第3後肋間動脈 神経:胸神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第三胸椎棘突起の下 気管支炎、肺炎、胸背痛、精神科疾患、小児の引きつけ やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
陶道(とうどう)国際表示:(GV13)
陶は、開くという意味があります。道は、みちの意味です。道がひらく、督脈(陽脈の海)開場する所、陽気の発揚する所の意味です。  
筋肉: 血管:頸横動脈 神経:胸神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第一胸椎棘突起の下 頭痛、頸背の強ばり痛み、精神科疾患 やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
大椎(だいつい)国際表示:(GV14)
このツボは、第一椎を称美した語で、大きな椎(骨)という意味です。 陽の経絡が全部このツボに会します。すなわち、膀胱、小腸、胆、三焦、胃、大腸の各経が来て大椎に会するわけです。一名を百労といいます。このツボは、首から肩にかけて非常にこりの強いときによく使われます。
筋肉: 血管:頸横動脈 神経:頸神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第七頸椎棘突起の下 発熱疾患、頸項の強ばり、背痛、気管支炎、喘息、精神科疾患 やや上方に向けて5分〜1寸斜刺
(あもん)国際表示:(GV15)
は、言語を発し得ざる病の、邪気の出入りするところの意味です。一名を、舌横、舌厭といいます。  
筋肉: 血管:外頸動脈の枝 神経:頸神経後枝

取穴法

主 治

鍼灸法

第一・二頸椎棘突起の間で、後髪際の正中線から5分入ったところ 脳性麻痺、頭痛、癲癇、聾唖、精神科疾患 1〜1.5直刺(上向きに斜刺することは厳禁)
風府(ふうふ)国際表示:(GV16)
このツボは、風邪の集まるところの意味です。 風の義には風邪寒骨を指す場合と中風を指す場合とがありますが、ここでは両者を含んでいます。別名を、舌本、鬼穴といいます。
筋肉: 血管:後頭動脈 神経:大後頭神経

取穴法

主 治

鍼灸法

後正中線上で後髪際から1寸、後頭隆起直下方の凹陥部 感冒、頭痛、頸の強ばり、精神科疾患、脳卒中 直刺5〜8分
脳戸(のうこ)国際表示:(GV17)
このツボは、脳の戸口の意味です。 経絡は風府より入って脳に属し、脳戸に出て、強間、後頂に至ります。
筋肉: 血管:後頭動脈 神経:大後頭神経

取穴法

主 治

鍼灸法

風府穴の直上1.5寸で、後頭隆起の上方に当たる 頭と頸の強ばり痛み、眩暈 斜刺5〜8分
強間(きょうかん)国際表示:(GV18)
強は、心身の強健、すこやかの意味です。間は、あいま、ところ、転じて安ず、しずか、ゆるやか、やすむ、転じて癒の意味です。 健脳の治療のツボを表示した意味があります。
筋肉: 血管:後頭動脈 神経:大後頭神経

取穴法

主 治

鍼灸法

脳戸穴の直上1.5寸 頭痛、頸の強ばり、眩暈、嘔吐 斜刺5〜8分
後頂(ごちょう)国際表示:(GV19)
このツボは、前頂に対しての意味です。  
筋肉: 血管:後頭動脈 神経:大後頭動脈

取穴法

主 治

鍼灸法

強間穴の直上1.5寸 頭痛、頸の強ばり、眩暈、後頭痛 斜刺5〜8分
百会(ひゃくえ)国際表示:(GV20)
このツボは、もろもろの義で、百脈合するという意味があります。 古典の和漢三才図会に「督脈、足の太陽、手足の少陽、足の厥陰、共に之に会す。故に三陽五会等という」とあります。督脈、膀胱、三焦、胆、肝経の五脈の会です。百会は、足の太陽、手足の少陽が集合するところなので一身の陽気を整える重要なツボです。また、百会のツボのすぐ前約3cmのところにある前頂、すぐ後ろ約3cmのところにある後頂というツボは、頭痛にもよく効きます。本来、頭が痛く重いというのには二通りあり、頭痛と共に、目や鼻などに色々な症状がある場合と、もう一つは、何か物をかぶったような頭の重さに加え、後頭部の神経痛、首のこり、肩、背中のだるさやこりがあるときです。そこで前頭部の症状、頭痛に伴い、眼が疲れてかすむとか、鼻が詰まる、耳鳴りがするといったときは、百会と前頂を、また、後頸部、肩のこりに頭痛が伴いどうしようもないときは、百会と後頂を合わせて使うのが東洋医学の原則です。
筋肉: 血管:後頭動脈と前頭動脈の交わる部 神経:大後頭神経と前頭神経の交わる部。三叉神経第3枝の耳介側頭神経とも交わる

取穴法

主 治

鍼灸法

後正中線上で後髪際から7寸、頭頂正中線の両耳の先端を結ぶ線との交点に当たる 頭痛、眩暈、脱肛、子宮脱、ノイローゼ、 5分〜1寸斜刺
前頂(ぜんちょう)国際表示:(GV21)
このツボは、百会を頂点として前後のツボが、前頂と後頂です。  
筋肉: 血管:前頭動脈 神経:前頭神経

取穴法

主 治

鍼灸法

百会穴の前方1.5寸 頭頂痛、眩暈、顔面赤腫、小児の引きつけ 斜刺5〜8分
(しんえ)国際表示:(GV22)
会とは、頭蓋骨の会う処の意味です。 別名を、上、門、頂門などがあります。
筋肉: 血管:前頭動脈 神経:前頭神経

取穴法

主 治

鍼灸法

百会穴の前方3寸 頭痛、眩暈、鼻閉、鼻出血、小児の引きつけ 斜刺5〜8分
上星(じょうせい)国際表示:(GV23)
このツボは別名、鬼堂、明堂、神堂といいます。 鬼の字の付くツボは、精神鎮静のツボとして精神病等に使われます。手には少商(鬼信)、太淵(鬼心)、三里(鬼邪)、曲池(鬼臣)、隠白(鬼壘・鬼眼)、尺沢(鬼堂・鬼受)、労宮(鬼路)等があります。足には三里(鬼邪)、申脈(鬼路)、間使(鬼路)、太谿(鬼心)等があります。また、百会(鬼門)、会(鬼門)、水溝(鬼宮・鬼客庁・鬼市)等があります。
筋肉: 血管:前頭動脈 神経:前頭神経

取穴法

主 治

鍼灸法

後正中線上で、前髪際から1寸 頭痛、眼痛、鼻炎、鼻閉、鼻出血 斜刺5〜8分
神庭(しんてい)国際表示:(GV24)
神は、精神の意味です。庭は、にわ、直しの意味です。  
筋肉: 血管:前頭動脈 神経:前頭神経

取穴法

主 治

鍼灸法

後正中線上で、前髪際から5分 前頭痛、眩暈、鼻炎、癲癇、不眠症 斜刺5〜8分
(そりょう)国際表示:(GV25)
素は、もと、鼻のもと、鼻尖を指している意味です。は、角すみの意味です。鼻のすみにあるツボという意味です。 一名を、面主ともいいます。
筋肉: 血管:顔面動脈 神経:眼神経

取穴法

主 治

鍼灸法

鼻の先端 鼻閉、鼻出血、鼻炎、ショック 直刺2〜3分
水溝(すいこう)別名:人中(じんちゅう)国際表示:(GV26)
このツボは、沸水の溝部近くにあるツボの意味です。 古典の老子釈略に、「鼻を天門となし、口を地戸となす。天地の間、人中これなり。」とあります。別名に、鼻人中、鼻宮、鬼客庁、鬼市、人中等があります。
筋肉: 血管:顔面動脈 神経:三叉神経第2枝、顔面神経

取穴法

主 治

鍼灸法

人中溝中で上1/3のところ ショック、日(熱)射病、(意識)昏迷、急性腰椎捻挫、ヒステリー 上に向け3〜8分斜刺
兌端(だたん)国際表示:(GV27)
兌は、変わるという意味です。端は、はしの意味です。上唇部の皮膚と粘膜の 兌端部にある意味です。  
筋肉: 血管:顔面動脈 神経:三叉神経第2枝、顔面神経

取穴法

主 治

鍼灸法

上唇の先端で、粘膜部と皮膚との移行部 歯痛、口臭 斜刺2〜3分
齦交(ぎんこう)国際表示:(GV28)
齦は、歯根の肉の意味です。交は、まじわるの意味です。歯根部の肉の左右交叉する様に見える部にあるツボの意味です。  
筋肉: 血管:顔面動脈 神経:三叉神経第2枝

取穴法

主 治

鍼灸法

上唇小帯と歯肉との接合部 歯肉腫痛、口腔潰瘍、鼻閉、鼻炎 直刺2〜3分