| 症候:各経脈の是動と症状 |
| 症候 |
| 十二経脈を流れている気血は経脈により気血が多気少血のもの、少気多血のもの、或いは倶に多いものなどがあり、此の気血の流れが変動することを是動(ぜどう)と称し、各経脈が病気になることを所生病(しょせいびょう)と言っているようである。 |
| 秦(しん)の時代に出た扁鵲(へんじゃく)が素問霊枢の内容を敷衍(ふえん)したといわれている難経の二十二難に、「邪気あれば気是がために動ず、邪血あれば生ずるところの病を生ず」と解釈し、是動は気の症状であり、所生病は血の症状であると解いている。 |
| この症候は、現代のように科学万能な時代で、医学についても科学的諸検査がなされ、数値や画像で優れた診断がなされ、日進月歩というより秒進分歩とでもいうような、発達を遂げています。 |
| そのような時代に、いかにも古くさく、三千年とも四千年ともいわれる太古の易学や哲学、それに積み重ねられた経験に基づいて、鋭い観察力と鋭敏な指で、観察や触察などの結果編み出された貴重な財産で、臨床上では大いに参考になり、的を得ていることが多い。 |
| 参考:難経二十二難 |
| 二十二の難に曰く、経に言う、脈に是動有り、所生病あり、一脈変じて二病となるものは何ぞや。然るなり、経に言う。 |
| 是動とは気なり。所生病とは血なり。邪、気にあれば気是がために動ず。邪、血にあれば生ずる所の病を生ず。 |
| 気は之をあたたむることを主り、血は之を濡(うるお)することを主る。 |
| 気留って行(めぐ)らざれば気先づ病むことをなす。血壅(ふさが)って漏さざれば血後に病むことをなすなり。 |
| 故に是動を為すことを先にし、所生を後にす。 |
| 手の太陰肺経(Arm Greater Yin Lung Meridian (略:LU)) |
| 肺経を流れている正常な気血は、多気多血と言われている。 |
是が変動すると |
肺経に属する経脈が病気になと |
| 肺が張るような感じがする。 | 咳嗽がよく出る。 |
| よく咳嗽をする。 | 気が逆上する。(のぼせる) |
| 缺盆の中即ち肺尖が痛む。 | 息をするのが苦しくなる。 |
| 両手を組んで胸に当て、悶え苦しむことがある。 | 口がよく乾く。 |
| 心悸亢進を来すこともある。 | |
| 胸が苦しい。 | |
| 肺経の走路に沿った上腕、前腕の前内側が痛んで冷える。 | |
| 手掌がほてってくる。 | |
| 邪気が実すると肩や腕が凝って痛む。 | |
| 寒くても汗が出る。(盗汗) | |
| 風邪を引き易くなる。 | |
| 小便に再々行きたくなるが、小便の量が甚だ少ない。 | |
| 気が虚すると肩や背中が痛んで、寒えるような感じがする。 | |
| 呼吸気量が少なくて呼吸が苦しい。 | |
| 小便の色が変わってくる。 |
| 肺ならびに肺経の機能が弱ってくると、どのような症状が現れるのか。 ・顔がのぼせる ・口がかわく ・胸苦しくなる ・咳が出る ・動悸や息切れがする というような症状が出てきます。さらに、腕から手首にかけて、痛みやしびれを感じ、手のひらがほてってきます。声を聞いても、何となくか細く、かん高い声になります。特に『サ・シ・ス・セ・ソ』のサ行音の歯切れが悪くなります。また、皮膚もカサカサで艶がなく、白くなります。当然、大気を身体に取り入れる肺が弱るため、気力もなくなり、人からは頼りないように見られます。嗜好も油濃いものよりも、魚のようなあっさりとしたものに変化してきます。そして、特に辛いものを好むような傾向があります。 このような症状を自覚したら、まず肺の働きが弱っているとみてよいでしょう。そこで肺経にあるツボを治療することによって、肺経の流れをよくし、これらの症状を取り除くのです。 |
| 手の陽明大腸経(Arm Yang Brightness Large Intestine Meridian (略:LI)) |
| 大腸経を流れている正常な気血は、具に多く、多気多血と言われている。 |
是が変動すると |
大腸経に属する経脈が病気になと |
| 歯が痛い。 | 目が黄ばむ。 |
| 頸が腫れる。 | 口が乾く。 |
| 水鼻や鼻血が出る。 | |
| 喉頭が痺(しび)れたような感じがする。 | |
| 肩から上腕にかけて痛む。 | |
| 示指が痛む。 | |
| 邪気が実すると大腸経が熱ぽくて腫れる。 | |
| 気が虚すると寒気がして慄(ふる)えが止まらないことがある。 |
| 大腸経は肺経と密接な関係にある経脈です。肺が病むと栄養が悪くなり、皮膚の色が透き通ったようになりますが、呼吸器系の機能がどうもよくないというようなときにも、この栄養失調のような状態になります。こんな時には、消化をつかさどる大腸の機能を整えると、おのずと体力が回復し、肺の機能も元に戻ってきます。 現代医学で大腸といえば、小腸に続いて肛門に終わる長さ1.5mの消化管で、盲腸・結腸・直腸の三部からなっていると説明されています。これを東洋医学では、臍の上3cmの任脈の水分というツボの所で小腸に続き、たたみ重なること16曲がりして直腸を経て肛門に終わると記載されています。そして水分で水とかすに分けられ、このかすを体外に伝導する器官が大腸だというわけです。この大腸と大腸をめぐる経脈に異常があると、目が何となく黄ばむ、歯が痛む、鼻が詰まる、時々鼻血が出る、口がかわく、咽が腫れ痛む、頸が痛む、肩から腕特に人差し指にかけて痛みが走り、痛んで使えなくなることもあります。こんな時注意してみると、臍の両側で少しはなれた天枢というツボと、大腸兪というツボに、硬い筋張った感じがし、独特の感じがしてくるはずです。これらの症状がしつこく続くようだと、それは大腸の赤信号ですから治療が必要です。 |
| 足の陽明胃経(Leg Yang Brightness Stomach Meridian (略:ST)) |
| 胃経を流れている正常な気血は、倶に多く、多気多血と言われている。 |
是が変動すると |
胃経に属する経脈が病気になと(所生病) |
| 寒気がして慄(ふる)える。 | 気狂(きちが)いじみて来る。 |
| よく呻(うめ)く。 | 間歇熱の出ることがある。 |
| 欠伸(あくび)がよく出る。 | 多汗となることもある。 |
| 顔色が黒みがかってくる。(五行説では土〈胃〉が水〈腎〉に剋つ、腎は黒であるから従って顔色が黒くなる意) | 鼻水や鼻血が出る。 |
| 病が重くなると恐人症や恐火症になる。 | 口が歪む。 |
| 木声を聞くと驚き心が乱れて来る。 | 唇がただれてかさぶたができる。 |
| 心が動揺して陰気になると戸や窓を閉めて独りぽっちになって鬱病のような症状に呈する。 | 胃経の経穴である胸部の膺窓、乳中、乳根、鼠径部の気衝、大腿前側の伏兎、、胃経の通っている脛骨外側、足背の上などが痛む。 |
| 心の動揺が激しくなり陽気になると、高いところに上がって歌を歌い、時には脱衣して走ろうとする。 | 邪気が実すると胃経の通っている身体の前面が皆熱があるように感じる。 |
| 腹の中が大きく鳴って腹が脹って来て鼓腸を呈する。 | 上胃部に水腫が見られる。 |
| 膝が腫れて痛む。 | |
| 頸が腫れる。 | |
| 足の第二指が痛んで動かすことができない。 | |
| 喉頭が痺れたような感じがする。 | |
| 胃の働きが過ぎると穀物をよく消化するが却って飢えを感じる。 | |
| 小便の色が黄色くなる。 | |
| 気が虚すると身体の前面が皆寒気がして慄える。 | |
| 胃中が寒えるときは胃が脹ってくる。 |
| 胃経の機能が弱ってくると、非常に身近にみられる身体の不調、たとえば頭痛、特に前頭部から目、後頭部にかけての痛み、また鼻詰まり、時には鼻血、胃の悪いときできる口の縁のただれ、喉の腫れ、頸の痛み、腹部の腫れ、大腿から膝そして下腿から足の甲の2番目の指にかけてのしびれ・痛み・だるさなどの症状が出てくる傾向にあります。 顔や皮膚に何となく艶がなく、黒ずんでいるかあるいは黄ばんでいる。唇は荒れて縦じわがあり痩せている。話し声は明るくリズムカルですが、アイウエオ、カキクケコ、ワイウエヲの発音がはっきりしない。また、くよくよしやすく、夏ばてしやすい。甘いものが好きだが、しつこいものよりあっさりとしたお茶漬けの類を好みます。そして、少しでも立ってい足り、長く座っていたりするとすぐに足の筋がつまる。このような人が多い傾向にあります。 直立して左右の両腕を両脇に付けたときの両肘の高さが第十二胸椎といわれています。その背骨の場所を両手で押してみて、かたまり状のしこりや痛さを感じることがあれば、胃に異常がある証拠です。 |
| 足の太陰脾経(Leg Greater Yin pleen Meridian (略:SP)) |
| 脾(現在の膵臓を指す)経を流れている正常な気血は、多気少血と言われている。 |
是が変動すると |
脾経に属する経脈が病気になと(所生病) |
| 舌の根本が強(こわ)ばる。 | 舌の根本が痛む。 |
| 食べると嘔吐する。 | 身体中が痛んで動かすことができなくなる。 |
| 胃部が痛む。 | 食物の嚥下(えんげ)が苦しくなる。 |
| 腹が脹る。 | 心悸亢進がみられる。 |
| よくげっぷが出る。 | 鳩尾(みぞおち)の激しい痛みがある。 |
| 大便とガスが出ると気持ちがよくなる。 | 水様便を下痢する。 |
| 身体中が重苦しくだるくなる。 | 腹にしこりができて、よく下痢する。 |
| 小便の出が悪くなる。 | |
| 黄疸が現れる。 | |
| 横になって寝ても、よく眠れなくなる。 | |
| 長く起立していると大腿や膝の内側に水腫が現れ、冷えてくる。 | |
| 足の拇指が動かなくなる。 |
| 脾経とは「脾の臓」を巡る経脈のことですが、この脾の臓とは、現代医学では膵臓のことです。膵臓は胃のすぐ後ろに木の葉のように横たわる「へ」字形わした灰黄色の臓器で膵液を分泌しています。 東洋医学では、こういう脾の働きを、五臓を温め、胃の上を重く覆って、常によく動いて、胃の中の水や穀物を消化する働きをしていると解釈しています。消化された水や穀物は、胃から脾に行き、脾から五臓六腑に配られ、一身を養い、皮毛、肌肉を満たすものだといっています。いわば、脾臓を陰、胃を陽とみなし、この陰陽の臓器が表裏一体となって、消化・吸収という働きを促進していると考えたわけです。 脾経の働きが弱ると、まず舌がこわばるとか、みぞおちや胃の当たりが重苦しく痛んだり、吐き気がしたり、ゲップが出たりします。さらには飲みくだしがうまくできなかったり、下痢・便秘に苦しむようになります。そのうえ、足が冷えたり、長く立っていると股や膝の両側が浮腫んでくる、身体がだるく節々が痛んだり、不眠の症状に苦しんだりする傾向にあります。 |
| 手の少陰心経(Arm Lesser Yin Heart Meridian (略:HT)) |
| 心経を流れている正常な気血は、多気少血と言われている。 |
| 是が変動すると | 心経に属する経脈が病気になと(所生病) |
| 咽が乾く。 | 目が黄ばむ。 |
| 心痛する。 | 腋窩部から脇腹が痛む。 |
| 咽が乾いて水が飲みたくなる。 | 心経の経脈の走っている上肢の内側が痛んで冷える。 |
| 手掌がほてって痛む。 |
| 心即ち心臓は、肺の下、横隔膜の上にあって、まだ開ききらない蓮の花のような形で、背骨の五番目の胸椎にしっかりとついているというのが東洋医学の説明です。この心の臓を養うエネルギーの循環系を心経、心の経脈といいます。 この心経の働きが弱ると、目が非常に充血しやすくなる、喉がかわく、みぞおちが痛んだり、上腕から肘そして前腕の手のひら側の小指の方にかけて冷えたり痛んだりしびれたりします。ときには手のひらがほてって痛むといった症状が起こる傾向にあります。このような症状は、心臓に何か異常がある証拠です。 上記のような症状をもつ人は、いつものぼせたようにほてった顔をしていて、側頭から頸、手首、腹、足背などの所の脈が非常に強く現れます。話し方はどちらかというと明るいのですが、タチツテト、ナニヌネノ、ラリルレロの発音がはっきりせず、そして非常に向こう意気が強く感情に走りやすい一方、人の喜びは素直に喜び、人の憂いは一緒に心配し、思いやりの深い人が多いようです。 このようなタイプの人は、夏になるとバテやすく、食べ物は焼いたものや干物類を好みます。このような傾向の人は、みぞおちの所にある巨闕、肩甲骨の間の心兪に痛さを感じたりしこりがあるといった症状を必ず持っています。 |
| 手の太陽小腸経(Arm Greater Yang Small Intestine Meridian (略:SI)) |
| 小腸経を流れている正常な気血は、多血少気と言われている。 |
| 是が変動すると | 小腸経に属する経脈が病気になと(所生病) |
| 咽が痛む。 | 耳が聞こえにくくなる。 |
| 顎が腫れて頸が回らなくなる。 | 目が黄ばむ。 |
| 肩が抜けるような、腕が折れるような激しい痛みを感じる。 | 頬が腫れる。 |
| 頸や顎(あご)、肩、上腕、肘、前腕など小腸経の流注部位が痛む。 |
| 小腸の働きを東洋医学の古典では、『小腸の長さ三丈二尺、左に曲がりたたみ積むこと十六曲がり、胃の下の口は小腸の上口なり。臍の上二寸にあり、水穀ここよりはいる。臍の上一寸を水分の穴となす。すなわち小腸の下の口なり。ここに至って清濁を弁別して、水液は膀胱にはいる。』と解説している。これを分かりやすく言えば、臍の上約3cmの所にある水分というツボの所で小腸は終わり、大腸につながっている。そして、水は膀胱に行き、かすの部分は大腸を通って肛門に運ばれると言うことになります。 小腸経の機能が弱ると、目が黄ばむ、耳の聞こえが悪くなる、頬が腫れる、喉が痛む、頭が重い、上腕から肘前腕にかけて痛みしびれるというような症状が現れる傾向があります。この様なときは、ベルトのかかる両側の腰の骨の内側で、背骨と腰骨との間のくぼみにある小腸兪や、臍の下約10cmの所にある関元というツボに痛みやこりが出やすくなります。 |
| 足の太陽膀胱経(Leg Greater Yang Bladder Meridian (略:BL)) |
| 膀胱経を流れている正常な気血は、多気少血と言われている。 |
| 是が変動すると | 膀胱経に属する経脈が病気になと(所生病) |
| 頭が激しく痛む。 | 痔疾を患う。 |
| 目が抜けるようにひどく痛む。 | 間歇熱が出る。 |
| 項も抜けるように痛い。 | 喜怒常ならず精神が錯乱したような症状を現すこともある。 |
| 背中が痛み、腰が折れるように痛む。 | 頭、大泉門や項の激しい痛みがある。 |
| 股関節も曲がらなくなる。 | 目が黄ばみ、涙がよく出る。 |
| 膝窩が結ばれたように痙縮する。 | 鼻水や鼻血の出ることもある。 |
| 腓腹筋が裂かれるように痛む。 | 項、背中、腰、臀部、膝窩、腓腹筋、足など膀胱経の流注に沿って痛む。 |
| 足の小指が痛んで動かせない。 |
| 東洋医学で古くから考えられていきた膀胱は、胃から小腸に行った食物が十分に消化され、吸収された後のいらなくなった水、つまり東洋医学で言う水液が、小腸からしみ出て貯まるところであるといっています。 膀胱経は頭から肩、背中、腰、仙骨部から臀部、大腿、下腿の後ろ側から足の小指にかけての非常に長い経脈なので、その症状も多種多様です。 この膀胱経の機能の働きが弱ると、疲れ目からくる頭痛、頭重、特に頭のうっ血で血液の循環が悪く皮膚をつかむとブヨブヨした様な感じがし、鼻血、鼻づまり、経脈途中にある筋肉や関節の痛み、坐骨神経痛、こむらがえり、痔などの症状が現れる傾向があります。さらに膀胱経には、六臓と六腑の兪穴が並んでいるので、呼吸循環、消化吸収、泌尿排泄などの系統の病気と直接関係深い経脈なので、一つ一つの症状や、臓腑の病気(内科的疾患)の時は、頭から足先まで、ひと続きの大きな道筋である膀胱経のツボをよく調べて様子をみます。 この経脈に病気があるかどうかを診るには、恥毛の生え際にある中極(任脈)と、仙骨の両側にある膀胱兪を軽く圧して、痛みとかこりがあれば膀胱や膀胱経に異常があるということになります。 |
| 足の少陰腎経(Leg Lesser Yin Kidney Meridian (略:KI)) |
| 腎経を流れている正常な気血は、多気少血と言われている。 |
| 是が変動すると | 腎経に属する経脈が病気になと(所生病) |
| 空腹になっても食欲がない。 | 口中に熱をもつ。 |
| 顔が漆のように黒くなって痩せる。 | 舌が乾き、咽が腫れる。 |
| 咳をしたり、唾を吐くときに血が交じる。 | 邪気が逆上すると咽が乾いたり痛んだりする。 |
| 気が逆上してハアハアいって息苦しくなる。 | 黄疸がみられることもある。 |
| 腎が陰虚になると座位から起き上がろうとするとき、立ちくらみがして何も見えなくなる。 | 心悸亢進して心臓が痛むことがある。(腎経は心包経に連絡するため) |
| 心が動揺し鳩尾が空虚になったような気がして空腹感を覚える。 | 下痢をしたり下血することもある。 |
| 腎は志を蔵す関係上気が不足すれば善く恐れをなし、心がいつもビクビクしていて、人が来て逮捕されるのではないかとの不安感に襲われる。 | 腎経の経路に当たる脊柱や、大腿内側面の後隅が痛む。 |
| 両脚が痺れて利かず、而(しか)も冷える。 | |
| いつも横になって臥(ね)たがる。 | |
| 足底がほてって痛む。 |
| 東洋医学で言うところの腎臓は、現代医学で言う副腎を指しています。そして、東洋医学では生まれながらに持っている生命力の宿るところとされていて、人間の身体全体の機能を絶えずコントロールする機能を持ち、気候や気象の移り変わり、人間関係から起こるストレスによる身体の機能をコントロールし、常に健康で過ごせるように調節しているのです。 腎経の経脈の機能が弱ると、空腹になっても食欲がない、顔が漆のように黒くなって痩せ、咳をしたり、唾を吐くときに血が混じり、気が逆上して息苦しくなる、腎が陰虚になると座位から立ち上がろうとするとき立ちくらみがして何も見えなくなる。また、腎は志を蔵す関係上、気が不足すると恐れをなし、いつもビクビクしていて不安感に襲われます。 そしてまた、口中に熱を持つ、舌がかわき、咽が腫れ、邪気が逆上すると咽がかわいたり痛んだりし、心悸亢進して心臓が痛むことがあります。そして、黄疸がみられたり、腎経の経路に当たる大腿内側が痛んだり、いつも横になって寝たがったり、足底がほてって痛んだり、下痢をしたり下血するという症状が出てくる傾向があります。 |
| 手の厥陰心包経(Arm Absolute Yin Pericardium Meridian (略:PC)) |
| 心包経を流れている正常な気血は、多血少気と言われている。 |
| 是が変動すると | 心包経に属する経脈が病気になと(所生病) |
| 手掌がほてって熱くなる。 | 心悸亢進を起こす。 |
| 前腕や肘が痙縮して指を伸ばすことができにくくなる。 | 心臓が痛む。 |
| 腋窩が腫れる。 | 掌中がほてる。 |
| 気血の流れが甚だ悪くなると、胸から側胸部にかけて圧迫感があって苦しくなる。 | |
| 強度の心悸亢進の起こることもある。 | |
| 顔色が赤くなる。 | |
| 目が黄ばむ。 | |
| よく笑ってその笑いが止まらない。 |
| 東洋医学で言う心臓は、五臓六腑の中でも最も重要な臓器の一つで、この心臓を囲む膜が心包なのです。この心包をめぐり、これを司っているのが心包経という経脈で、漢方で言う五臓六腑の中に心包は入っていないのです。心包がなぜ一つの臓器として数えられないのかというと、それは固有の形、固有の機能を持たない臓器で、人身の中枢機関である心臓を包み、保護する期間とし、また、心臓の命旨を実行する機関として大切なのです。したがって、厥陰心包経と少陰心経のそれぞれの経脈の適応症状群は大体同じです。 心包という経脈は、実は本経ではなく、枝分かれした経脈と言うことになっています。腎経から別れた経脈は、さらに横隔膜を貫いて下がり、上 心包経の経絡の機能が弱ると、顔がのぼせる、動悸がする、目が黄ばむ、胸から腹にかけて痛む、手のひら側の上腕から前腕にかけてひきつるような痛みやしびれを感じ、手のひらがほてるという症状が出てくる傾向があります。 |
| 手の少陽三焦経(Arm Lesser Yang Triple Energizer Meridian (略:TE)) |
| 三焦経を流れている正常な気血は、多気少血と言われている。 |
| 是が変動すると | 三焦経に属する経脈が病気になと(所生病) |
| 耳が聞こえにくくなる。 | 汗がよく出る。 |
| 耳鳴りがして騒々しい感じがする。 | 目の外眼角が痛む。 |
| 咽が腫れる。 | 頬が腫れる。 |
| 喉頭が痺れるような感じがする。 | 耳の後ろから肩、上腕、肘、前腕の外側である三焦経の走路が痛む。 |
| 薬指が使えなくなる。 |
| 東洋医学では、三焦は『後天の元気の入るところ』つまり、人間が生まれて天の気(大気)、地の気(穀物の類)を身体に取り入れ、これを呼吸・消化により五臓六腑に循環して、生まれながらに父母から受け継いだ先天の元気をうるおし、補っている器官であると言っています。三焦とは、三つの熱源という意味を現しています。三焦は『名前ありて、形無し』ともいわれるように、独立した器官名ではありません。首の根元からみぞおちまでが上焦、みぞおちから臍までが中焦、臍から恥毛の生え際のところまでが下焦と言うことになっています。 上焦は呼吸循環系、中焦は消化呼吸系、下焦は泌尿排泄系とに大きく分けられます。この三焦の機能を調節する大切なツボは、上焦が 三焦経の経脈の機能が弱ると、耳の聞こえが悪くなる、目尻が痛む、頬が痛む、咽が腫れて痛むなど、顔を中心とした痛みや、首から下顎、肩から上腕・肘・前腕の手背側から親指にかけて痛むなどの症状が出てくる傾向があります。 三焦経を調べ身体の健康状態を調べるには、みぞおちから臍までの筋肉が固いと、胃・膵臓・肝臓等の働きが弱っている証拠です。臍より下の筋肉が固ければ、婦人科の疾患か虚弱体質を疑います。 |
| 足の少陽胆経(Leg Lesser Yang Gallblabladder Meridian (略:GB)) |
| 胆経を流れている正常な気血は、多血少気と言われている。 |
| 是が変動すると | 胆経に属する経脈が病気になと(所生病) |
| 口中が苦く感じる。 | 偏頭痛がする。 |
| よく溜息をつくようになる。 | 下顎部が痛い。 |
| 心窩部から脇腹にかけて痛み易い。 | 目の外眼角も痛み易い。 |
| 胆経は側脇部を通っているので、側臥が苦しくなる。 | 鎖骨上窩の缺盆が腫れて痛む。 |
| 気血の変動が激しくなると顔に艶が無くなり、汚れたきたない感じがする。 | 胆経の走路に沿った胸・脇・肋の側脇部、膝の外側、下腿の外側、外果、それに諸関節が痛むことがある。 |
| 身体に栄養が不足して脂気がなくなり皮膚に艶が無くなる。 | 頸部に瘰癧の一種や頸瘤のようなものができることがある。 |
| 下腿の外側、外果や足の外縁がほてる。 | 一寸したことでも汗がよく出て、寒気がする。 |
| 時には寒熱が往来することがある。 | |
| 胆経の通っている脇の下が腫れてくることがある。 | |
| 足指の第4指が動かせない。 |
| 胆経は広い範囲をめぐっているので、その効用も大変広い範囲に渡っています。 胆の腑や胆経の機能が弱ると、目が青みがかったような状態で、トロンとして話し方がかん高く、カ行の音『カ・キ・ク・ケ・コ』の発音がはっきりしません。また春の木の芽時になると身体の調子が崩れやすく、食べ物では酸っぱいものや、天ぷら、中華料理のような油物を好む傾向があります。さらに、みぞおちから肋骨に沿って下った、第九肋骨先端の下にある日月のツボと、背中の第十・十一胸椎間の左右両脇にある胆兪を軽く圧してみると痛みがあり、奥の方に筋状のこりがあれば、胆の腑や胆経に異常がある証拠です。 古典の文献には『胆の腑はその臓ひさごの如し。肝の臓の葉の間にかくれ居る。背の第十椎に附く。精汁を包むこと三合、その精汁味にがし。胆は肝の附にして木に属す。』とあります。つまり、肝とともに五行の木に属し、「肝胆相照らす」というように肝と表裏一体をなして肝の働きを助けているのです。 |
| 足の厥陰肝経(Leg Absolute Yin Liver Meridian (略:LR)) |
| 肝経を流れている正常な気血は、多血少気と言われている。 |
| 是が変動すると | 肝経に属する経脈が病気になと(所生病) |
| 腰痛が起こりやすくなる。 | 胸が苦しくなる。 |
| 強項のため下を向いたり、上を向いたりすることが苦しくなる。 | 嘔吐が激しくなる。 |
| 男性は生殖器の疾患や、腸疝痛を起こしやすくなる。 | 消化不良になって下痢を伴いやすくなる。 |
| 女性は下腹部が腫れてくることがある。 | 小便の出が悪くなる。 |
| 気血の乱れが激しいときは咽がよく乾き、顔色が塵垢で汚れたようにきたなくなり、色艶もなくなり青ざめて来る。 | 夜尿症をすることがある。 |
| 尿閉の疾患にもかかりやすくなる。 |
| 東洋医学で言う肝の臓は、西洋医学の肝臓といささか趣を異にします。東洋医学では、『肝の臓は第九椎につき、色青く、形木の葉の如し、左の脇に三葉がたれ、右の脇に四葉がたれる。肝の臓は胆、木に属し、謀慮の臓器なり。』と説明されています。そしてまた、人間の生命全体としての機能を保つ上で、重要な役割を果たしているのが肝の臓です。 肝経の経絡の機能が弱ってくると、表れる症状は、肉体・精神の多岐に渡ります。顔が何となく薄汚れたような感じ、咽がかわく、胸苦しい、吐き気がする、下痢しやすい、足の爪先の第三指にかけて痛む、寒気がする、熱がある、女性では腰痛を訴える、夜になると尿が出にくい、鼠径部から陰部にかけて痛む、または下腹部に緊張感がつきまとう、さらにイライラや決断力不足など感情・意志にも深い関係が出てきます。 特に肝経は、男性・女性の性器をめぐると言うことから、性器の症状が現れる傾向があります。 |
| 督脈(Governor Vessel Meridian (略:GV)) |
| 督脈が病に罹ると |
| 下腹部からだんだん昇って心臓を衝(つ)いて痛む。 |
| 大便と小便が思うように出ない。 |
| 疝気(せんき:腹・腰などの筋肉が引きつれて痛む病気)を病む。 |
| 婦人では不妊症となる。 |
| 尿閉・痔疾・遺尿症、口渇になる。 |
| 背中が強ばり、折れるように痛む。 |
| 東洋医学では、人間の身体には奇経八脈と言って十二の経絡の中を流れる経水のエネルギーが過不足なく五臓六腑を流れるように、常に調節している経脈がある考えられています。この経脈は、人体を流れている十二の正経脈を、縦に横に斜めにつないで、エネルギーの流れをうまく調節する重要な機能の役割を果たしています。督脈と任脈は、東洋医学で言う三焦の機能に影響を持つエネルギー循環を調節する大事な経脈です。 督脈は『後ろに督す』。つまり「後ろで監督する、見張る、取り締まる」という意味で、背中の真ん中を走る正中線を縦に貫いています。 督脈の経脈の機能が弱ると、様々な症状がおきます。特に頭部、性器の障害、消化器系、呼吸器系など、多種多様の症状が現れます。下腹からみぞおちにかけて突き上げるような激しい痛み、のぼせて急に刺すような痛み、咽がかわいて痛む、また夜尿症や閉尿、そして不妊症などの症状が現れる傾向があります。 |
| 男性では様々な疝気(せんき:腰や腹の筋肉が引きつれて痛む)に悩まされる。 |
| 女性では帯下(たいげ:こしけともいい女性生殖器の異常な分泌物)等女性の疝気に悩まされる。 |
| 任脈は『前に任ず』、つまり「身体の前面のことを引き受ける」という意味です。 もともと任脈は、女性の妊娠と密接な関係にあり、特に婦人科疾患に大変よく効くツボが並んでいるのが特徴です。古典に『任は姙なり、腹の中を流れ、婦人姙(はら)んで、子を生養するもとたるなり』とあります。女性によくみられる内結(ないけつ)という症状は、任脈経に沿ってお腹の中に固いしこりができるもので、現代的に言えば白線、つまり臍から恥骨に下る線上の部分が非常に固くなったり、腸内ガスが多くなる症状のことです。これらの症状は女性の不妊症や、生理異常などのときに起こる症状ですが、任脈はこれらの症状を取り除く際に非常に効果があるツボです。 |