公害対策基本法(抜粋)


昭和四十二年八月三日  法律百三十二号
 

第一章 総則

(目的)
 

第一条 この法律は、国民の健康で文化的な生活を確保するうえにおいて公害の防止がきわめて重要であることにかんがみ、事業者」、国及び地方公共団体の公害の防止に関する責務を明らかにし、並びに公害の防止に関する施策の基本となる事項を定めることにより、公害対策の総合的推進を図り、もつて国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的とする。
 

(定義)

第二条 この法律において「公害」とは、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第九条第一項[環境基準の設定]を除き、以下同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。
 

2 この法律にいう「生活環境」には、人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその成育環境を含むものとする。
 

(事業者の責務)

第三条 事業者は、その事業活動に伴って生ずるばい煙、汚水、破棄物等の処理等公害を防止するために必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する公害の防止に関する施策に協力する責務を有する。
 

2 事業者は、物の製造、加工等に際して、その製造、加工等に係る製品が使用されることによる公害の発生の防止に資するように務めなければならない。
 

(国の責務)

第四条 国は、国民の健康を保護し、及び生活環境を保全する使命を有することにかんがみ、公害の防止に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
 

第二章 公害の防止に関する基本的施策
 

第一節 環境基準

第九条 政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
 

2 前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型をあてはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、政府は、当該地域又は水域の指定を都道府県知事に委任することができる。
 

3 第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改訂がなされなければならない。
 

4 政府は、公害の防止に関する施策を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように務めなければならない。
 

航空機騒音に係る環境基準について  (昭和48年12月 環告 154号)

 公害対策基本法(昭和42年法律第132号)第9条の規定に基づく騒音に係る環境上の条件のうち、航空機騒音に係る基準について次のとおり告示する。
 

 公害対策基本法第9条による騒音に係る環境上の条件につき、生活環境を保全し、人の健康の保護に資するうえで維持することが望ましい航空機騒音に係る基準(以下「環境基準」という。)及びその達成期間は、次のとおりとする。
 

第1 環境基準

1 環境基準は、地域の類型ごとに次表の基準値の欄に掲げるとおりとし、各類型を当てはめる地域は、都道府県知事が指定する。

(注) Tをあてはめる地域は専ら住居の用に供される地域とし、Uをあてはめる地はT以外の地域であって通常の生活を保全する必要がある地域とする。
 

2 1の環境基準の基準値は、次の方法により測定・評価した場合における値とする。

(1)測定は原則として連続7日間行い、暗騒音より10デシベル以上大きい航空機騒音のピークレベル(計量単位 デシベル)及び航空機の機数を記録するものとする。
 

(2)測定は、屋外で行うものとし、その測定点としては、当該地域の航空機騒音を代表すると認められる地点を選定するものとする。
 

(3)測定時期としては、航空機の飛行状況及び風向等の気象条件を考慮して、測定点における航空機騒音を代表すると認められる時期を選定するものとする。
 

(4)航空機騒音の評価は、(1)のピークレベル及び機数から次の算式により1日ごとの値(単位 WECPNL)を算出し、そのすべての値 をパワー平均して行うものとする。
  

(5)測定器は、日本工業規格C1502に定める指示騒音計若しくは国際電気標準会議pub/179に定める精密騒音計又はこれらに相当する測定機器を用いるものとする。この場合において、聴感補正回路はA特性とし、また動特性は緩(SLOW)とする。

3 1の環境基準は、1日当たりの離着陸回数が10回以下の飛行場及び離島にある飛行場の周辺地域には適用しないものとする。
 

第2 達成期間等

1 環境基準は、公共用飛行場等の周辺地域においては、飛行場の区分ごとに次表の達成期間の欄に掲げる期間で達成され、又は維持されるものとする。

 この場合において、達成期間が5年をこえる地域においては、中間的に同表の改善目標の欄に掲げる目標を達成しつつ、段階的に環境基準が達成されるようにするものとする。

備考 @既設飛行場の区分は、環境基準が定められた日における区分とする。

    A第二種空港のうち、Bとはターボジェット発動機を有する航空機が定期航空運送事業として離着陸するものをいい、AとはBを除くものをいう。

    B達成期間の欄に掲げる期間及び各改善目標を達成するための期間は、環境基準が定められた日から起算する。

2 自衛隊等が使用する飛行場の周辺地域においては、平均的な離着陸回数及び機種並びに人家の密集度を勘案し、当該飛行場と類似の条件にある前項の表の飛行場の区分に準じて環境基準が達成され、又は維持されるように務めるものとする。

3 航空機騒音の防止のための施策を総合的に講じても、1の達成期間で環境基準を達成することが困難と考えられる地域においては、当該地域に引き続き居住を希望する者に対し家屋の防音工事等を行うことにより環境基準が達成された場合と同等の室内環境が保持されるものとする。
 

(住宅の防音工事の助成)

四条 国は、制令で定めるところにより自衛隊などの航空機の離陸、着陸などのひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が著しいと認めて防衛施設庁長官が指定する防衛施設の周辺の区域(以下「第一種区域」という。)に当該指定の際限に所在する住宅(人の居住の用に供する建物又は建物の部分をいう。以下同じ。)について、その所有者又は当該住宅に関する所有権以外の権利を有する者がその障害を防止し、又は軽減するため必要な工事を行うときは、その工事に関し助成の措置を採るものとする。


WECPNLについて


WECPNL(Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Level 加重等等価継続感覚騒音レベル)とはICAO(国際民間航空機構)で提案及びその成分、ひん度、発生時間帯、継続時間などの諸要素を加味し、夜間及び深夜における重みづけを行った航空機騒音の評価単位である。

W.E.C.P.N.Lを略説すると次のとおりである。

W 重みづけ1日のうちで同じ大きさの航空機騒音でも時間帯によって心理的にうるさく感ずる度合いが異なるとして、午前7時から午後7時の間に発生する騒音の回数を1とした場合、午後7時から午後10時までの1回は3倍に、午後10時から翌朝7時までの1回は10倍にそれぞれ評価している。

 

E 等 価   1日総騒音量を求めて24時間で平均(等価)すること。

 

C 継 続   その平均等価的騒音値が1日継続することを表したもの。

 

P 感 覚   騒音の周波数成分を考慮し、大きさだけではなくうるささの程度に重きN 騒 音を置いて評価したもの(通常簡便方式としてPNL=dB(A)+13が用いL レベルられる。)

 

WECPNL=dB(A)+10logN−27

      ただし、dB(A):1日に発生した航空機騒音レベルのパワー平均値

        N:時間帯ごとに補正された発生回数で次式により求める。

         N=N2+3N3+10(N1+N4)

     N1 :  0:00〜 7:00の発生回数

     N2 :  07:00〜19:00  〃

     N3 : 19:00〜22:00  〃

     N4 : 22:00〜24:00  〃

 

WECPNLコンター

 コンター(contour)は等高線、海岸線のことをいい、WECPNLコンターは、等WECPNL線のことで、上式で求めたWECPNL値の同一値を結んで作るもので、第一種区域、第二種区域及び第三種区域の基となる線である。