『白保メール』 No.91〜100
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V..v 白 保 メ ー ル│\ Jul.31.2009
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//転載歓迎//
・・・100号にあたって、今思うこと(その1)・・・
<樹を育てるように、島の未来を育てたい> 谷崎樹生
私が子供の頃は、昭和三十年代から四十年代にかけての高度経済成長期でした。新
幹線ができ、高速道路ができて、少年雑誌には「21世紀の世界はこうなる!」とい
った内容の近未来予測記事がよく載ったものでした。
林立する超高層ビルの谷間を縫うように空中に架けられた高速道路は、なんとプラ
スチック舗装で、滑らかな路面をエアカーというタイヤのない車が飛ぶように、滑る
ように走っているといった荒唐無稽のバカバカしい近未来図がカラーで掲載されてい
ましたが「そんな街には住みたくないなぁ・・・」というのが当時の私の感想でした。
21世紀になってみて、あらためて世界を見渡してみると、相変わらずあちこちで
戦争をしていますし、飢えや貧困に苦しんでいる人もたくさんいます。こんなはずで
はなかったのではないでしょうか?いったい何が、どこが、間違っていたんでしょう?
おそらく所得倍増政策や高度経済成長といった異常な社会的興奮が、バラ色の未来
を予感させ、過大な期待を抱かせ過ぎたようです。一種の集団ヒステリー状態の中
で、舞い上がってしまった大衆が「21世紀は、かくあるに違いない」と、思い込ん
でしまっていたのでしょう。
現在の、この島の状況は、あの頃の日本と、よく似ています。温暖化も気候変動も
食糧危機も世界恐慌も、そしてオイルピークの問題さえもとりあえず考えないで、新
空港以後にバラ色の未来図を描いているかのようです。ところが、現実には、石油問
題は既にポストピーク時代に突入しています。食糧とエネルギーの地産地消を今すぐ
に、徹底して進めないとやがて地獄を見ることになるはずです。
地域で再生可能なエネルギーを巧く活用するシステム作りが必要です。農地の生産
性を高め、沿岸海域の生産性を高めることが必要です。かつて島人が島の自然によっ
て生かされて生きていた頃のように、植物達と巧く付き合っていく生き方を取り戻す
ことが絶対に必要なのです。
具体的には、ゴミとして処分されている有機物を資源として利用することでしょ
う。畜舎廃水を発酵させてメタンを利用するという方法もありますが、今に家畜など
飼っておれない深刻な食糧危機が起こるはずです。大規模な畜産は産業として成り立
たなくなるはずです。畜舎廃水以外の有機物ゴミといえば生ゴミと雑草、そして、現
在島中で立ち枯れが進んでいるモクマオウやリュウキュウマツです。このような放っ
ておけばゴミにしかならない有機物を、堆肥化したり、木質チップに加工して発電燃
料として利用するシステムなら、何もハイテクノロジーは必要ありません。すでにあ
るローテクだけを組み合わせれば今すぐにでも実現できます。
自動車は、ハイブリッドではなく電気で走らせなければなりません。島の中で使う
車ですから一回の充電で100kmも走れなくていいし、高速で走れる性能も必要あり
ません。充電ステーションを島中に整備すればローテク・ローコストの電気自動車は
すぐにでも導入できます。高性能で高価なハイブリッド車ではなく、更にハイテクノ
ロジーが必要な燃料電池車や水素自動車の実用化を待っている時間も無いのです。
戦後盛んに植林されたモクマオウやリュウキュウマツは、今伐って使わなければ朽
ち果てて土に戻ってしまうだけです。効率良く伐り出しては植林をして、森を樹の畑
として管理するためには、森の中に小さな管理用道路を整備せねばなりません。これ
まで補助事業で整備されてきた大規模な林道では森が荒れてしまうばかりです。四輪
駆動の軽ダンプが一台通れる程度の小さな管理用道路なら森に大きなダメージを与え
ずに整備できるはずです。木質チップ発電で作った電気で充電して走る電気自動車が
島の未来を明るい方へと導いてくれそうです。
実は私は昨年からフクギの農地防風林作りに取り組んでいます。島中の農地をフク
ギの農地防風林で囲ってしまいたいのです。今後20年で島の風景を一変させてしま
う計画です。島中の農地を囲うフクギの農地防風林のネットワークが、文字通り網の
目のように島中を覆い尽くす、そんな風景を20年後には実現させるつもりです。こ
うすることで土地生産性は飛躍的に向上し、環境の多様性も高まってより安定した環
境が作られるはずです。
質よりも量を問題視しがちな工芸作物の代表とも言えるサトウキビ農業を永年続け
てきた農家には、一畝でも多く作付けしたいので防風林に農地を取られることを嫌う
方もいらっしゃいます。防風林が育つことで陽当たりが悪くなって収量が減ることを
心配なさる方もいらっしゃいますが、台風による壊滅的な被害による減収に比べれ
ば、畑の周囲のわずか1m幅の土地を防風林に提供してもメリットは大きいはずで
す。陽当たりの悪いところでは、日陰を好む作物を栽培すればよいのです。百種類の
職業をこなし、百種類の作物を栽培するのが百姓ですから、その程度のこまめさは持
ち合わせていなければなりません。
現在、行政主導でも農地防風林作りが始まっていますが、防風ネットや防風柵、防
草シートなど、苗木以外の物に金をかけすぎています。私は、どうすれば費用をかけ
ず、楽に、確実に、そして楽しくフクギの農地防風林を作ることができるか、この一
年で少しだけフクギの勉強をさせていただきました。その結果、おそらくこれしかな
い、この方法ならきっと成功するだろうという画期的な方法にたどり着くことができ
ました。今シーズンはその全く新しい方法で大規模に実証試験を進める予定です。興
味のある方はぜひご連絡、ご協力下さい。
根拠の無い思い込みを妄想といいます。このような時代にこそ、冷静に現実を見据
えて、よけいな思い込みを排除し、妄想に陥らないよう心がけねばなりません。
Think globally,Act locally. 視野は常に広く、活動は地道に! を心がけたい
ものです。
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# ようやく100号に到達しました。長い間、またこのところは、長い間隔にもお
付き合いくださり、ありがとうございます。
記念に発行者3人で書くことにしました。
2回に分けて掲載します。今回は、谷崎樹生です。
♪ 『白保メール』ホームページ
http://www1.ocn.ne.jp/~shiraho/
♪♪送信がご迷惑な場合は、遠慮なくお知らせ下さい。
すぐに止めるようにします。
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白保メール NO.100 09.7.31
発行者 鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
shiraho@estate.ocn.ne.jp
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V..v 白 保 メ ー ル│\ Jan.31.2009
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//転載歓迎//
<視界不良> 谷崎樹生
6年前、息子の小学校の卒業式で、たまたまその年PTA会長をやっていた私はこ
んなお話しをしました。ちょっと長いですが、以下全文引用します。2003年3月20日
の真喜良小学校の卒業式でのお話しです。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽
皆さん、本日は卒業おめでとうございます。
先生方、子供達が本当にお世話になりました。
お父さんお母さん方、やっとここまで来ましたね。
お互い、次は中学校を無事卒業させるまでを目標に
もう少し頑張りましょう。
さて、卒業生の皆さん、いまから12年前、君達が生まれた頃に
湾岸戦争という戦争がありました。
そして、今また、イラクで戦争が始まろうとしています。
12年前と同じことをしようとしているわけです。
君達はこの12年間で、こんなに大きく成長したのに、
世界の大人達は、少しも成長していません。
相変わらず憎み合い、罵り合って、殺し合おうとしています。
お恥ずかしい限りです。
今の大人達が作った世界は、残念ながら、この程度のものでしかありません。
君達は今後、いろんな失敗体験を積んで、もっともっと賢くなって、
人生のコツをつかんで、もっとましな世界を作って下さい。
これからの10年は、時代の変わり目ですから、これまでの経験が役に立たないよ
うなとんでもない事件がたくさん起こる、そんな時代になるはずです。
何が起こっても慌てず、冷静に状況を判断して、
適切な処置が出来る能力が求められます。
それが本当の「生きていく力」というものでしょう。
ただし、人を出し抜いて、自分だけ得をしたり、
自分の国の利益のためなら、よその国でたくさんの人が死んでも良いというような
間違った判断をする大人になってはいけません。
自分の幸せが全体の幸せに繋がるような、そんな生き方が出来る、いい大人になっ
て下さい。
世界中の人がそうなれば、こんな戦争は起こらないようになるはずです。
小さな美しい島で育った君達には、大きな世界のことを考えられる広い心と、
目先のことだけではなく、未来を見通せる目を持った大人になっていただきたいと
思います。
君達の未来に大いに期待しています。
本日はご卒業おめでとうございます。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽
最近の私は、自然観察会や草刈りやフクギの防風林作りに夢中で、白保メールは1
年以上サボっていました。久しぶりに硬派の文章を書くことになったので、脳味噌の
リハビリの必要を感じ、以前書いたものを読み返していて、6年前のこの原稿を見つ
けたわけです。
あれから6年経って、私は成長したのだろうか? そんなことを考えさせられる時
の流れではあります。「これまでの経験が役に立たないような、とんでもない事件が
たくさん起こる、そんな時代になるはずです。」という予測は当たっていたようで、
今後さらに大きな変動が様々な分野で起こりそうです。
「何が起こっても不思議ではない」とか「100年に一度の大事」と言われるほど
先行き不透明な、視界不良の時代に突入してしまいましたが、こんな時はどうすれば
いいんでしょう?
「歴史に学ぶ」とはよく言われますが、歴史から何をどう学ぶかが問題です。先の
世界恐慌の時には、大規模な公共工事や社会主義的な経済政策などで景気回復を図ろ
うとしましたが、まさか今度も同じことをしようというのではないでしょうね。先の
世界恐慌による大混乱は、結局第二次世界大戦で世界がリセットされるまで収拾が着
かなかったのですから、過ちは二度と繰り返さないようにしたいものです。
見通しが悪い時には、無理に突き進まない方が良いでしょう。見える範囲で正確な
情報を集めて、冷静に判断すれば、自ずと進むべき道は見えてくるはずです。
この期に及んでグローバリズムを有り難がっているようでは、混乱の渦に巻き込ま
れて沈没してしまうのが落ちでしょう。これまでの経験は役に立たないはずですから、
この際、先ずは食糧とエネルギーの地産地消を突き進め、慎ましくても安全に安心し
て暮らせる「小さな地域ブロック経済」のシステムを完成させるべきでしょう。
地域循環型産業の創出、地産地消、地域バイオマスの活用、地域通貨といった地域
に根ざしたキーワードが、この危機を乗り切り、この危機をきっかけにもっとましな
世界を創るための道しるべになるはずです。
久しぶりの「白保メール」なので、怠けていた脳味噌はまだ充分に機能を回復して
いないようですが、たぶん間違ったことは言っていないと思います。
寒い夜には、薪ストーブを焚きながら、島中で立ち枯れていくモクマオウやリュウ
キュウマツのことを考え、薪発電で充電して走る電気自動車の夢を見ています。
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# また半年間ご無沙汰し、その上、新しい年に入りました。大変失礼しました。
99号をお届けします。今年も白保メールをよろしくお願いします。
なお、前号の続きは、次号以降に回しました。
##谷崎樹生は昨年9月からブログ「自然日記」 http://yaeyamanature.ti-da.net/
を始めました。
1月16日の記事「太陽の缶詰」http://yaeyamanature.ti-da.net/e2240812.html
を見ていただくと、谷崎が薪ストーブを焚きながらどんなことを考えているか、
よく解っていただけるでしょう。
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白保メール NO.99 09.1.31
発行者 鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
shiraho@estate.ocn.ne.jp
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V..v 白 保 メ ー ル│\ Jul.31.2008
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//転載歓迎//
<八重山のいま>(その1) 鷲尾雅久
筆者が八重山に移住してほぼ10年が経ちました。特にこの5、6年の移り変わり
は激しく、今また新たな時代に入りつつあるように見えます。やや私的な感想に傾く
かもしれませんが、しばらくお付き合いください。最初は、主に島の社会をめぐる話
題です。
[困難な時代へ]
▽ブームは去ったか△
ここしばらく、八重山はブームに沸いていたようです。観光客は増え、移住者によ
ると考えられる人口の社会増(転入−転出)が続いていました。それを当て込み、リ
ゾートホテルや都市型ホテルの計画が相次ぎ、アパート・マンションの建設ラッシュ
が起きました。西表島はもちろん、小さな離島にまで観光客が押し寄せ、いわば、自
然を消費する観光が行われていました。島の社会も脅かされるに及び、鳩間島では島
を守るための憲章が作られました。
状況が変わったのは2、3年前からのようです。観光関連産業に携わる方々から、
売上げが伸びないという声が聞かれるようになりました。先ごろ発表された「八重山
観光の動態・波及効果調査」(2007年度)の結果では、前回調査(02年度)から入域
客数は1.3倍になったが、消費単価の下落で総消費額は1.28倍にとどまり、所得への
波及効果も伸びが小さくなっています。八重山を初めて訪れた人が5年前の54%か
ら63%に増えていますが、これは団体客の増加を示すものでしょう。こうしたこと
は関係者の実感を裏付けるものです。
そして、昨年10月からは、実際に前年同月比の観光客数が減少に転じました。減
少は、クルーズ船の入港が多かった月を除き、6月まで続いています。数をたのむ観
光の時代は、終りを迎えたように見えます。リゾート計画が依然実現の時期をうかが
う一方で、ホテルが廃業したり、外資系企業に買収されるケースも増えています。
アパート・マンションは空室が目立ち、供給過剰がはっきりしてきました。関係機
関によると、移住についての相談受付件数も明らかに少なくなっているそうです。移
住ブームは沈静化しつつあるようです。
▽先行き不安△
一方、島の農業の中核をなすサトウキビ栽培で、買い入れ価格を国際価格に近付け
ることと経営の大規模化を図る国の新制度が導入され、多くの農家が先の見えない状
態に置かれています。飼料価格高騰のあおりを受けた肉用牛(子牛の販売)の価格低
迷などの影響も出てきており、島の産業をめぐる情勢も、ますます厳しくなっていま
す。
原油価格の高騰は、離島航路や路線バス・タクシーなどの運賃値上げをもたらし、
航空運賃の値上げは観光客の足を遠のかせることにつながっているようです。沖縄全
体の観光客数が増加を続ける中で八重山や宮古では減少していることは、これを裏付
けるものです。輸送コストの増大は、資材や生活物資の価格高騰をもたらし、長期的
に島の生活や産業に影響を与えることになるでしょう。
八重山は困難な時代に入りつつあるように見えます。
[波乱を含みつつ進む新空港計画]
▽スケジュールの遅れ△
八重山の将来にとって必要不可欠だとして開始された新石垣空港事業をめぐる状況
をご説明しましょう。
先日開かれた建設工法モニタリング委員会などでの沖縄県の説明によれば、新石垣
空港の昨年度(今年3月まで)の工事の工期は、一部を除きいずれも8月まで延長さ
れたとのことです。約半年の遅れです。
用地については、6月末の時点で契約済用地と取得確実な公的機関所有地の合計が
170ヘクタール弱、全体面積の87.1 %に当たるとのことです。土地収用について沖
縄県は、8月に事業認定(収用の対象事業として認められること)が行われる見込み
だと県議会で答弁していますが、当初のスケジュールより遅れていることは確かです。
▽予測のつかない自然△
こうした中、6月7日未明の大雨で濁水が周辺海域や牧草地に流出し、問題となり
ました。前者は、現場内のA1、E洞窟からの湧水は現場外の雨水が地下を通って出
て来るものであるので、直径1.1メートル延長200メートルの管により現場外の排水
路へ導くことになっていましたが、管の呑(のみ)口が破損して雨水を吸い込めず、海
域に流出したものです。後者は、現場内に降った雨水を浸透池から地下に浸透させる
ことになっていましたが、浸透しきれなかった雨水が現場外の牧草地にあふれ出たも
のです。
牧草地への流出の原因は当初、滑走路などの滞水を防ぐため速やかに地下への浸透
を図るドレーン層から浸透池に流れ込む雨水が予想を超えたためとされていましたが、
6月30日に開かれた第3回新石垣空港建設工法モニタリング委員会では、3時間降水
量が146ミリと想定の10年確率降雨(10年に1回ある大雨)123ミリを超えていた
ことが報告されました。同委員会では、これへの対策が話し合われましたが、これは
環境影響評価の問題でもあるはずです。当初の想定が覆されたわけですから、見直し
が必要です。
なお、同モニタリング委員会で、滑走路下などの空洞対策が工法と経費の点で現実
的な問題点となっているらしいことが分かりました。
7月3日に開かれた第4回新空港小型コウモリ類検討委員会では、各洞窟で確認さ
れる数の増減は洞窟間移動をする習性によるもので工事の影響とは言えないという見
解が示されました。建設用地と周辺の洞窟から島内のほかの洞窟へ移動したとみられ
る時期が、3種でそれぞれ異なっているのが理由だそうですが、コウモリの種類によ
って行動が違うのかもしれません。コウモリに聞いてみなければ分からないことです
が、問題は学問的厳密さではなく、工事の影響が考えられるかどうかです。その可能
性があるのなら、慎重な対応が必要でしょう。人工洞についても、少量の糞の発見を
根拠に、いずれは利用されるはずだと、楽観的な見通しでした。
▽持ちこされた問題△
ターミナルビルは第3セクターによる運営が決まっていますが、出された計画では、
概算事業費68億円という大きな規模となっています。2021年度の需要予測(旅客数
259万7000人、貨物1万3736トン)をもとに設定されたもののようですが、今後も
利用者減が続いた場合は過大な施設となり、他の多くの第3セクター同様、赤字化と
税金投入のおそれが出てくるでしょう。
新空港と市街地を結ぶアクセス道路は、経由地の集落間で意見が食い違い棚上げさ
れていましたが、ようやく方針が決まりました。今の道路では街の中心部と港から新
空港への距離が14キロメートルとなるところを10キロメートルに短縮できるとの
ことです(現空港は4キロメートル程度)。しかし、順調にいっても供用開始は2016
年度となり、13年3月とされている新空港供用開始に間に合わないことになります。
観光客や特に離島住民の負担がさらに増えることになります。
このように多くの問題を抱えながら、若干の遅れをはあるものの造成工事は進んで
います。これで、「もの」としての新空港はできるのかもしれません。しかし、日本
の人口が減少に向かっている今、さらに、燃料高騰のあおりを受けて地方航空路線の
休止廃止が相次ぐ中で、新空港が新たな需要を呼ぶものとなりうるのか、楽観的な見
通しを持てる人がどのくらいいるでしょうか。
筆者は、新空港建設により八重山は大きな負債を負うことになるのではないかと危
惧しています。そして、ここに住む者のひとりとして、それをどう返済していくかが
現在の課題となると考えています。 (次号につづく)
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# 半年間ご無沙汰し、大変失礼しました。100号を目前に足踏みしてしまいまし
たが、98号をお届けします。
♪ 『白保メール』ホームページ
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白保メール NO.98 08.7.31
発行者 鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
shiraho@estate.ocn.ne.jp
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V..v 白 保 メ ー ル│\ Jan.31.2008
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//転載歓迎//
<カンムリワシのこと>
カンムリワシ・リサーチ 小林 孝
新年に因んで、カンムリワシのお話をしましょう。カンムリワシがなぜ新年と関連
するのかは、おいおいご説明いたします。
[カンムリワシとは]
学術的に書けば、以下の通り。
・中央アジアから東南アジアに生息する中型の猛禽類で、日本では我が八重山諸島
(主に石垣島と西表島)だけに生息している。
・国(日本)指定特別天然記念物であり、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保
存に関する法律」つまり種の保存法で国内希少野生動植物種とされている。
・環境省が作成したレッドデータブック2002や見直し版2006(日本の絶滅のおそれの
ある野生動植物)では、絶滅危惧1A類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険
性が極めて高いもの)に、また沖縄県が作成した、沖縄県の絶滅のおそれのある野生
動植物:レッドデータおきなわでは、絶滅危惧種だとされている。
・また石垣市の市鳥に指定されている上、八重山では、食物連鎖の頂点に立つ生物で
もあり、さらに、宴席などのめでたい場で、座開き(ざびらき)の唄と舞(これから
宴が始まりますよという出し物)の定番でもある「鷲の鳥節」に歌われているのが、
このカンムリワシなのです。八重山の象徴とされるものの中でも、存在感が高い生物
だというわけです。
[鷲の鳥節]
いまや全国的にも知れ渡った八重山民謡の、なかでもとりわけ「めでたい歌」であ
る鷲の鳥節の詩の意味は、「大きな山に大きなアコウの木がある。その木にかんむり
わしが巣を作り、卵を産み、雛が孵(かえ)り、正月の朝早く、東に太陽が昇ると、
それを目指して綾羽(あやぱに・カンムリワシのこと)が飛び立っていった(三木健
氏の資料から引用)」ということで、子孫繁栄の意味と、その子たちが新しい年に新
しい世界に飛び立つという、明るくめでたい意味が表現された歌・踊りです。
石垣生まれの三木氏はこの解説の中で、「異郷に暮らして四十年もたつ私なども、
正月にはやはりこの歌を聞かぬと、正月を迎えた気分にはなれない。なんだか落ちつ
かないのである」と表白していらっしゃいます。それほど八重山の人々にとって、欠
くべからざる存在が、カンムリワシといえるでしょう
[カンムリワシをめぐる状況]
それほどこの島々では象徴的な扱いをされているカンムリワシですが、レッドデー
タブックに絶滅危惧種として掲載されるほど、生息数は僅かです。
1998年に財団法人日本野鳥の会八重山支部が実施した生息数調査で、石垣島と西表
島での一斉調査で目視確認できた個体数は、それぞれの島で100羽弱でした。合計200
羽弱。
生態学の専門家たちによれば、ある種の生息個体数が400を割ったら、もう絶滅に向
かってまっしぐら、いやいや2,000個体いてももう駄目、などといわれていますが、八
重山のカンムリワシの個体数は調査では200を割っているのです。ただし、この調査で
は目視できた個体だけをカウントしていますから、実際はもう少し多いでしょう。そ
れぞれの島で200羽ずつ、合計400羽がいるとみても良いのではないか、というのが、
識者の見方です。いずれにしても、希少です。でははるか以前はもっとたくさんのカ
ンムリワシがいたのでしょうか。彼らが必要とするテリトリーの面積(それなりに大
きな面積を必要とする)を鑑みると、それぞれの島に200個体というのは、大体勘定が
合うのではないか、と考えることもできます。つまり、もともとこの八重山には、こ
の程度の数のカンムリワシしか生息できる環境がなかった、と考えることもできるの
です。島々は小さいのです。
そのカンムリワシの生息環境が、近年、著しく破壊されてきました。
新石垣空港がやっとできることになりました、ということが発表されてから、これ
まで沈静化していたリゾート開発計画が島中でうごめき始め、また沖縄離島ブームに
よって移住者が増え、それを狙い撃ちした業者などによって、カンムリワシにとって
居心地が良い地域での宅地開発が進められ、さらには、そうした経済的社会環境の変
化によって、カンムリワシたちが路上で餌をとっている早朝の時間帯にも、自動車が
活発に、しかもこの島では不釣合いだとも思える高い速度で走行し、ロードキル(要
するに跳ね飛ばし事故)が頻発するようになりました。
ロードキルは以前からあったのかもしれませんが、このところの頻発ぶりは異常で
す。
カンムリワシは、もともと食物連鎖の頂点に立っている種ですから、つまりピラミ
ッド構造の頂点にいる種ですから、個体数が少ないのがいわば当たり前。充分な自然
淘汰の試練を受けて生きている、そういうグループです。その彼らに対して、新たな
脅威が加わると、本当に種を維持していくことさえ危ぶまれます。「絶滅危惧種」で
あることの意味が、改めて理解できる事態になりつつあるのです。
そうした事態に危機感を覚え、この状況に何とか改善策を打ち立てたいと思った八
重山に暮らす、私たち野鳥好きが集まって、佐野 清貴 を代表にした「カンムリワシ・
リサーチ」なるグループを発足させました。現在のメンバーは二十人弱です。
[カンムリワシ・リサーチ]
「カンムリワシが今後いつまでも八重山で生き続けられるよう、科学的なデータを
とりまとめ、カンムリワシ保護についての喚起を市民へ働きかけること」(概要)を
目標に決め、カンムリワシ・リサーチが発足したのは、2006年の2月でした。
先ずは、ロードキルが多発する場所を特定し、何故そこで事故が多く起きるのかを
調べたところ、その一帯が彼らの餌場になっていること(自動車に轢かれたカエルや
ヘビなどを路上であさっている)、走行車輌の速度が高くなりやすい場所であること、
などが判りかけてきましたから、石垣島のある団体から助成金を戴き、ドライバーに
走行スピードを抑えるよう呼び掛けるチラシを配布しました。
この調査の中には、陸生のカニやカエルが路上に大量に登場する時期(産卵期、繁
殖期、雨天時、など)に、島のどのあたりでどの程度の数のカニ、カエルが確認でき
るのか、といったことも含まれています。
また、交通事故などで負傷し、リハビリを受けて、無事に野生に戻せる状態に回復
したカンムリワシに、小型の発信機を装着させてもらって、放鳥後の動きを追い掛け
る、ということもやっています。
そういった活動から得られた情報(いろいろなことが判りかけてきました)をもと
に、「カンムリワシ重要生息地マップ」を作成するということが、活動の重要な柱の
ひとつになっています。
これは、開発業者にとって都合のよい、もっともらしい環境アセスメントによって、
この島の乱開発が促進されることに歯止めを掛けたいという願いを込めた、いわば対
抗策のひとつだと考えています。
これらの活動は、環境省との協力が不可欠です。現在、環境省のグリーンワーカー
事業と位置付けされ、石垣市や沖縄県も取り込み、相互に協力しながらの作業を継続
しているところです。
このほかにも、活動内容はさまざまです。カンムリワシ・リサーチのHPアドレスは、
http://ryukyu-serpent-eagle.txt-nifty.com/blog/ です。
[カンムリワシ週間]
さて、鷲の鳥節に話が戻ります。歌の中では、正月の東の太陽に向かってカンムリ
ワシの若鳥が飛び立つ様子に、島の人々はさまざまな思いを込めているわけです。こ
の歌に因んで、カンムリワシ・リサーチでは、旧正月の一週間を「カンムリワシ週間」
と定め、人々にカンムリワシのことをもっと知って頂くための手助けをしたいと考え
ています。
今年のカンムリワシ週間は、2月7日(旧暦の一月一日)から13日。10日の日
曜日にはカンムリワシ観察会のほか、八重山高校の郷土芸能部のみなさんによる「鷲
の鳥節」の舞踊の披露、観察会参加記念品(カンムリワシペーパーモデル)の配布、
その他の内容で実施する計画です。地元の新聞紙上で告知をいたしますから、注目し
ていただければ幸いです。
人々に、カンムリワシのことだけでなく、この島の今のありようについて考えてい
ただく手がかりになれば喜ばしいかぎりです。
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# [カンムリワシとは]の部分で「絶滅危惧1A類」と表記しましたが、正式には
「1」はローマ数字が使われています。読者の受信環境により正しく表示されない場
合があるので、アラビア数字で代用しました。
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<新石垣空港 この1年>
鷲尾 雅久
新石垣空港の設置許可がされてから12月19日でちょうど2年、起工式が行われ
てからでも1年以上になります。新石垣空港のこの1年を振りかえってみました。
[土地収用手続きの開始]
3月28日、土地収用法に基づく事業説明会が石垣市民会館大ホールで行われまし
た。1000人以上入る会場に傍聴者を含め参加者は90人ほど、空港整備事業の説明に
目新しいものはなく、法律で開くことが決められているから開いたというだけのもの
のようでした。用地交渉を始めて1年足らずの時点で土地収用手続きに入るのは、異
例です。沖縄県は、任意交渉も続けるとしましたが、そうだとすれば、収用するぞと
脅しをかけて交渉を有利に進めようとしていることを自ら認めたようなものです。
その後、県は7月31日、国(沖縄総合事務局)に事業認定を申請し、9月29、
30日には那覇と石垣で公聴会が開かれました。
静岡空港の例では、用地買収交渉を始めてから8年後に事業認定を申請しています
が、新石垣空港では1年半に満たない時点です。静岡空港の場合、収用の対象は全面
積の2%でしたが、新石垣空港は21%です。地権者数は、静岡空港が4人に対し、
新石垣空港は共有地を除いて62人です。今回はあまりに早い時期の認定申請だと言
えます。
この時点での地権者は、共有地を除いて、相続等により増えて200人余り、その
うち140人ほど70%弱が契約済みであるに過ぎません。国土交通省の「適期申請
ルール」では、概ね権利者の数で80%契約済みとなった時点から準備をし、大体1
年かかって事業認定申請をすることとされているので、これからも外れています。
買収価格、代替地提供の点で地権者の納得が得られず、交渉が進まないという実態
が一方にあり、他方で事業の終期は決められていることから、早目に土地収用をしよ
うということのようですが、常軌を逸したやり方と言わざるを得ません。
[4委員会の開催と新洞窟の発見]
6月から7月にかけて、小型コウモリ類検討委員会、建設工法モニタリング委員会、
建設工法検討委員会、事後調査委員会と、4つの委員会が続けざまに開かれました。
その中で「施工計画の変更」の説明がありましたが、浸透ゾーンに関するものは、
かなり大きな変更です。「詳細設計による形状の決定、現地での大型透水試験(直径
600mm)による透水係数の変更により、必要容量、有効水深の変更を行った。浸透ゾ
ーン3は、トムル層の水係数が低かったため、有効水深の増加のほか、透水性の高い
砂層に置き換えることにより対応した」とされています。特に、浸透ゾーン1では、
必要容量7,524立方メートルが13,197立方メートルへと75%増、有効水深0.4mが
0.6mへ5割増となっています。
県は、環境影響評価で、濁水が発生しても「全量地下浸透」させるため、海域への
影響を考慮する必要はないとする「裏技」を使ったのですから、「全量地下浸透」に
ついての的確な予測評価がされなければ、この論理が崩壊することになるはずです。
実験をやり直す度に数字が変わるのでは、どれを信用すればいいのか分りません。
また、空港南端部の外側に仮設調整池を設置する計画を、用地造成勾配の関係で分
割して設置することとし、「計画より広域となるので、浸透方式による濁水処理とし
た(濁水処理に要する費用を軽減した)」という説明もされました。
評価書では機械処理したうえ轟川に放流することとなっていましたから、地下浸透
がどの程度可能かいうことと、その影響についての予測・評価が必要でしょう。さら
に、この部分の地下浸透については、前処理の有無が明確でありません。その他の地
域では、200mg/L以下にしてから地下浸透させることになっています。
建設工法検討委員会は那覇で開かれたため傍聴できませんでしたが、新聞報道によ
ると「は滑走路の中心から75メートル以内の地下にある空洞保全に向けて対策を講じ
る必要性を県側が説明。空洞上部にアーチ型コンクリートなどを設置し、空洞を保全
する方針を示した」とのことです。以前は、空洞対策の必要はないとされていたはず
です。
調査報告では、小型コウモリ類検討委員会で、2007年1月(冬眠期)にヤエヤマコ
キクガシラコウモリがC、D洞窟で大幅に減少したことが報告されました。同じ時期
カグラコウモリはC洞窟で大幅に増加、D洞窟洞で大幅に減少しています。この時期
両洞窟の近くでは掘削工事が行われていたとのことですが、事後調査委員会では、音
の影響を調べたがほとんど届いていないと説明されました。しかし、現に大きな変化
があったということは、何らかの影響があったとみて、原因を探る方が科学的態度で
はないでしょうか。人間の測定器とは別の感じ方をする動物がいても、不思議ではあ
りません。コウモリが感じることを理解しようとしない限り、せっかく作った人工洞
窟を彼らに使ってもらうことも難しいように思います。
10月24日突然、県八重山支庁は、空港計画地内で新たな洞窟が見つかり、その
内部にヤエヤマコキクガシラコウモリ約70頭とカグラコウモリの糞を確認したと発
表しました。場所は計画地の北西側、浸透ゾーンの部分です。全長は約300メート
ルで、そのうち約95メートルが計画地に含まれます。高さ6〜7メートルのホール
も確認され、C洞窟とつながっている可能性もあるとのことです。県は周辺の作業を
一時中断し、小型コウモリの利用状況や洞窟の構造について調査を続けて、来年3月
までに、洞窟の保全策をまとめたいとしています。
なぜ、次々と新たな洞窟が見つかるのでしょうか。当初はA〜Cの3洞窟だったの
が、DとEが増え、さらにE1などが増えました。上記滑走路付近の空洞も含め、調
査が不十分だったか、そもそも十分な調査自体が困難だということでしょう。今後も
洞窟や空洞が見つかる可能性はあると考えた方がよさそうです。
環境影響評価での宿題や工事内容の具体的内容について検討するため、こうした委
員会が設置されたはずですが、事業をスケジュールどおりに進めるという大前提のも
と計画が大きく見直されることはなく、小手先の対応に終始しているように見えます。
実際の工事で「思いもよらぬ」事態が発生する危険性は残されているでしょう。
[新空港問題の今後]
沖縄県土木建築部は8月1日、25日に実施予定だった新空港用地造成工事の入札
を、参加する共同企業体(JV)の数が少なかったという理由で延期しました。予定
されていたのは、今年度の用地造成工事9工区のうち6工区で、それぞれ切土約20
万立方メートルと盛土約20万立方メートル、赤土流出防止対策工事1式で構成され、
発注額は6工区合わせて20億円程度だそうです。経営規模により決まる県の格付け
で、特Aクラス1社とAクラス1社のJVによる一般競争入札とされていました。入
札希望は、工区ごとに8〜15JVで、これが「少ない」のかどうか分りませんが、
県のコメントで「より多くの地元業者が参加できるようにする必要がある」とされた
のが実質的な理由のようです。
今年度の工事は規模が大きいため、細分化は県の事務上の都合からできず、また一
般競争入札という契約の原則が厳密に適用されるようになったため、JVによる一般
競争入札という形が取られたようです。それでも、八重山には特Aは5業者しかない
(Aは47業者)ため、JVに入るAの業者は八重山に限定されているとのことです。
しかし、地元業界は以前から地元優先発注を求めており、前年度の試験盛土工事は指
名競争入札とされたことから期待がふくらんでいたのに、あてが外れ不満も出されま
した。
沖縄県は当初の入札参加資格が厳しかったため地元業者の参加が少なかったと見て、
要件を緩和したうえで後日入札を行ったそうです。JVに入るA業者を地元に限るこ
とも含めそれなりに地元への配慮はしているということでしょう。地元でも、不満は
ありながら、出されたものに甘んじるしかないというところに落ち着いたようです。
こうした事態は、最初から予想されたことです。これだけ大きな工事でしかも事業
者が沖縄県であれば、地元以外の業者を排除するわけにはいきません。工事による地
元への「経済効果」は限定的のようです。
その後工事は、多少の遅れはあるかもしれませんが、進行しているようです。しか
し、後回しにされてきた大きな問題があります。
一つはアクセス道路ですが、通過地である白保集落と宮良集落の意見が合わないた
めルートの決定が先送りされています。沖縄県は、意見の相違がない市街地から宮良
までの区間を先行して整備する方法も検討する必要があるとしています。もし、開港
までにルートが決まらなければ、住民や観光客は、宮良、白保集落の中を通り、遠回
りとなるルートで新空港と市街地を往復するということになり、集落内の交通が輻輳
するという問題も起こるでしょう。
空港ターミナルビルについても、先送りされています。建設の主体が決まらないか
らです。最近は、PFI即ち公共施設等の建設・維持管理・運営等を民間に委ねるや
り方が採用されることもありますが、沖縄県はこれには否定的なようです。PFIは、
ある程度の条件は付けられるにせよ、地元とは関係のない企業に下駄を預けてしまう
ものであり、運営も地元とは関わりなく行われるおそれのあるものでしょうから、こ
の判断自体は妥当でしょう。
しかし、県の考えている、公的分門と民間の双方が出資する第3セクター方式にも
問題があります。その設立自体が資金集めなどをめぐって難航しているようですが、
本当の問題は、ターミナルビルが建ってからでしょう。借入金の金利や維持管理費の
負担に耐えられるかどうかを予め予測しなければ、施設の規模が決められません。今
までの需要予測を白紙に戻して考え直すのでなければ、全国で相次ぐ第3セクター破
綻の例に一つを付け加え、県や市からの追加出資という羽目に陥ることになるでしょ
う。
ターミナル地区のほとんどは、石垣市風景計画では自然風景域の内の八重の山並み
地区に含まれ、建物の高度は7メートルまでに制限されます。土地利用の変更に伴い
風景計画の変更もありうるでしょうが、周囲の自然景観と調和した、この島のサイズ
に見合った控え目な規模の建築とすることが、採算上も成り立つ施設とすることにつ
ながると思います。
新空港さえできれば観光客が増え農産物の出荷も増やせるということは、多分起こ
らないでしょう。それは、別の経済的社会的要因により決まる部分が大きいと思うか
らです。そろそろ夢からさめ、新空港のもたらすものを考えなければならない時期に
来ています。ターミナルビルの経営問題は、そのきっかけとなりうるものです。もっ
とも、よく考えたら、新空港はいらなかったということになるのかもしれませんが。
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<悪しき循環>
谷崎 樹生
若者が一生懸命勉強したり、様々な困難を克服する努力をするのは当たり前のこと
です。それが若さなのだと思うのです。「若い頃の苦労は買ってでもせよ」といいま
すが、そもそも、何か大きな目標にチャレンジしている当事者の若者はその努力を
「苦労」と感じているものなのでしょうか?
集中力が足りない人は、よそ見ばかりしていますから、自分の回りに楽をしてヘラ
ヘラと生きている人を見つけると自分の「努力」を「苦労」だと思い込み、愚痴ばか
り言うものです。「あいつはあんなに楽しているのに、なんで自分だけがこんな苦労
を・・・」といった調子です。
具体的な目標に向かって努力している人は、その努力を「苦労」ではなくむしろ自
分の成長を実感できる「楽しみ」と感じるものです。
若い頃にいろんなことにチャレンジすることは人生の楽しみを増やしてくれるもの
です。
「経験こそが人生の宝」「若い頃の苦労で無駄になったものは一つもない」と言う
大人の中で育った私は、人生とはそういうものだと思っていました。
ところが、私が沖縄に来て、特にこの島に来てから、ご年配の方々からいささか気
になるお話しを聞くことが多くなりました。
「自分は若い頃大変苦労をしたので、子供達にはあんな苦労はさせたくない」と、
おっしゃる方が非常に多いのです。
よくよく聞くとたいてい子供の頃家が貧しかったので、欲しいものを買ってもらえ
なかったと、結局お金の問題になってしまいます。
ということは「自分は若い頃お金が無くて欲しい物が手に入らなかったから、子供
にはなんでも買い与えたいし、子供には楽をして高収入を得られる仕事について、お
金持ちになってもらいたい」ということなのでしょう。
実際ここまでストレートに表現される方はいませんが、本質的にはそういうことな
んでしょう。
こういう考え方は間違っていますね。お金がないなら知恵と時間を使って工夫すれ
ばなんとかなるものです。あれも欲しい、これも欲しいと、果てしのない物質的な豊
かさを追い求め、欲望を満たすために突き進むならその先に待っているのは破滅だけ
です。
子供の頃から「家の仕事の手伝いはしなくていいから、しっかり勉強して、いい学
校を出て、いい仕事に就きなさい」と言われ続けてきた人が、「いい仕事」に就いて
いることが多いものです。ここで言う「いい仕事」とは、「楽に稼げる仕事」に他な
りません。
楽に稼ぐための手段として仕事をしている人が増えると、仕事の質は落ちるばかり
で、本当の意味での質の高い「いい仕事」はできなくなってしまいます。
仕事というものは本来、人のためにするものです。ところが、最近、自分のために
だけ、働く人が多くなっています。収入を得るために、自分の時間を切り売りするだ
けの仕事しかしない人が増えてくると、社会が正常に機能しなくなってきます。自分
のためにしか働かない人には、他の人が見えず、人のために何をどうすれば喜んでも
らえるかなどということは考えることもありません。こんな人が増えてくると、社会
は非常にドライなギスギスしたものになってしまいます。
私達が子育てをするときに一番参考になるのは、親が自分にしてくれたことです。
が、このような仕事観しか持ち合わせていない大人に育てられ、楽に稼げるいい仕事
をしている人達は今、いったいどんな子育てをしているのか?と考えると、この社会
の未来に暗澹たるものを感ぜずにはおれません。
極論すれば「どうしようもない子供が、そのままどうしようもない大人になって、
どうしようもない子育てをし、どうしようもない社会を作っている」というのが現状
でしょうか。
「群衆の間に蓄積されるのは常識ではなく愚かさである」という欧州の格言は残念
ながら的を射ています。
では、いったいどうすればいいのでしょう?
昔は「家貧しくして孝子出づ(いづ)」(貧しい家庭に親孝行な子供が育つ)と言
われていましたが、最近では貧しさが非行の原因になり「家貧しくして孝子出ず(で
ず)」という状況になっていることも多いようです。「金持ち=幸福」で「貧乏=不
幸」という「ものさし」しかない家庭で育った子は幸せにはなれないでしょう。「心
貧しくして孝子でず」ということです。
解決策はただ一つ、本当の豊かさを測れる「ものさし」を取り戻すことだけです。
そしてそれは、本人の心がけ次第で達成できることなのです。
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<白保村に暮らして 〜村づくりと風景づくりの今後〜(その2)>
柳田 千晶
今年6月に石垣市は風景計画を策定し、風景づくり条例を施行しました。そこで、
風景づくりという観点から、今の白保を見てみたいと思います。白保では条例施行を
待つまでもなく、ゆらてぃく憲章にこう謳われています――『石垣、赤瓦、福木を愛
し、きれいな街並みをつくります。』 しかし、この文言を盛り込むことへの根強い
抵抗があったことも確かです。石垣にはハブがくる、赤瓦の屋敷は維持費がかかる、
福木は実が落ちて掃除が大変、等々。しかしそれでもこの文言が残るべくして残った
のは、住民自身がそうした古くからの屋敷に強い愛着を持っているからであり、それ
を示すかのように、昨年の台風で被害があったときも、赤瓦の屋敷を自力で修復する
姿があちこちで見受けられました。私は石垣島の景観を考える市民会議のメンバーと
して、市の風景計画と風景づくり条例のガイドライン作りに携わりましたが、終わっ
てみて個人的に得た結論は、風景とは設計してできるものではなく、愛着から生みだ
されるものだ、ということでした。赤瓦が残る白保の街並みと、建築協定でできた名
蔵の獅子森*の赤瓦の街並みとは、本質的に違っているのです。
* 名蔵の獅子森:名蔵にある45区画の新興住宅地で、不動産会社が開発時に街並
建築の一人協定を結んだ上で分譲したため、赤瓦で統一されている。
そうした観点から今後の白保の風景づくりを考えると、一番大事なのは規制ではな
く、住んでいる人が、「白保に戻ってくると落ち着く」とか、「福木を通る風が涼し
い」とか、「与那岡(ユナムリィ*)からの景色はすばらしい」とか、あるいは「白
保で獲れる米はおいしい」「プーリン(豊年祭)でガーらんと気が済まない(ガーる
=ガリ踊り**をする)」と感じることであり、そこから「どうして落ち着くんだろ
う?」「この住環境を守りたい」「ずっとおいしいお米を食べ続けたい」「毎年、ガ
ーリたい」など、疑問や願いを持つことのように思えます。疑問を持つことから村を
見直したり、願いを持つことから村に愛着を感じたり――そうした心の働きが、白保
の風景を作っていくのでしょうし、あるいはだからこそ現に40名余りの方が、“白
保学講座”に来て、より深く白保を知ろうとされているのでしょう。1年間の講座が
終了したあかつきには、受講生のあいだでどのような感想がもたれ、次にどのような
村づくりのステップが踏めるのか、楽しみにしています。こうした村の中での新たな
芽生えを、憲章推進委員として、白保でのよりよい風景づくりに関わる者として、大
切にしていきたいと思います。
* ガリ踊り:豊年祭で旗頭を迎える時に、「ガリ、ガリ」という掛け声のもと、女
性達が旗頭を囲んで踊るシンプルな踊り。
**与那岡(ユナムリィ): 白保集落の後背地にある高台で、白保の農地や牧場、
新空港予定地、さらに水平線までが一望できる。明和の大津波(1771年)以降の一
時期、この近辺に村(上の村=ウイヌムラ)がつくられ、与那岡は村人が集会する
場所だったという。八重山古典民謡の真謝節には“与那岡に登って見下ろせば、稲
粟の稔りが豊かで泰平である”と謡われている。
今後、白保地区は、御嶽(オン)や戦跡など重要な史跡の指定や、伝統的な赤瓦の
屋敷の維持に補助金が出されるようなシステムの創出や、景観地区*の指定等が目指
されます。それは、白保に住む人たちの郷土への愛着の上に成り立つものでなくては
なりません。さらに、集落外の農地以外の地域は、風景づくり条例の規制はかかりま
すが、それさえクリアすれば何を建ててもかまわない白地地域**です。つまり新空
港建設にともなう変化にさらされる可能性がある地域が海沿いに広がっており、サン
ゴ礁の海や与那岡からの眺望に今後影響が出ないか心配です。まだまだ議論すべきこ
とは山積していますし、地域の決め事には時間がかかることも、これまでの活動の中
で学びました。でも、市の風景づくり条例、風景計画にしろ、白保ゆらてぃく憲章に
しろ、感情的には「もう手遅れ」と、諦め半分で始めたことです。それが今、同じよ
うな思いを持つ人たちの力で条例ができ、多くの市民の支持するところとなり、現に
市は、条例を盾に開発業者に対応しています。ゆらてぃく憲章が多くの村民の支持す
るところとなるのはまだまだこれからですが、「どんなに遅くともやらないよりはマ
シ!」と自分に言い聞かせながら、私はここ白保村での暮らしを愛し、愛し続けられ
るような村づくりに、これからも関わっていきたいと思います。 (完)
* 景観地区:景観計画区域(石垣島では全島とサンゴ礁海域)よりも、より積極的
に景観の形成や誘導を図りたい場合に都市計画として定められる区域のことで、建
築物の形態意匠等について制限できる。
**白地地域:都市計画区域(石垣市全域)のうち用途地域の指定のない地域。
<<白保ゆらてぃく憲章>>
与那岡(ゆなむりぃ)から見渡す田園風景、魚湧く海、
赤瓦、福木、石垣の残る集落
その中で受け継がれる伝統芸能、
白保村の先輩たちが守り伝えてきた
豊かな自然とともにある暮らしを守り、
若者たちが夢と誇りを持って次世代を担うことのできる、
海と緑と心をはぐくむ、
おおらかな白保
を目標とした ゆらてぃく白保村づくり を推進します。
* ゆらてぃくとは *
白保村を代表する民謡"白保節"に謡われる「ゆらてぃく」という言葉は、「寄って
らっしゃい」「ともに集おう」など、歓迎の意や村人の和を表すものと解釈できます。
「ゆらてぃく」は、白保節を最も印象づける歌詞であり、かつ、白保人気質(さぶ
ぴぃとぅかたぎ)を表した言葉でもあることから、本憲章の冠名として位置づけまし
た。
白保人は、古来より勤勉であり、村人の団結心は強く、様々な行事や村事(むらご
と)に一致結束して取り組み乗り越えてきた歴史があります。特に友人・同級生など
は固い絆と友情で結ばれています。
その一方で、白保人は、外来者や移住者を受け入れてきた寛容さや友好さを併せ持
っています。白保古来の文化風習を守りつつ、外来文化を取り入れ独自の文化へと昇
華させてきた進取の気質と文化的感性のある集落でもあります。
このように白保人は、勤勉・寛容さ・友好さ・文化的感性・団結心・友情心などに
富んだ特有の気質があり、この白保人気質はこれまで世代を超えて受け継がれており、
将来も守るべき精神的遺産といえます。
そこで、本憲章では、白保人の気質・精神性を白保節の歌詞に因んで「ゆらてぃく
の心」または「ゆらてぃく精神」と表現することとします。
《白保村づくり七箇条》
一、白保の文化を守り、未来につなげます
一、世界一のサンゴ礁を守り、自然に根ざした暮らしを営みます
一、石垣、赤瓦、福木を愛し、きれいな街並みをつくります
一、恵まれた自然を活かし、村を支える地場産業を育成します
一、地域の教育力を高め、次世代を担うたくましい子どもを育てます
一、スポーツや健康づくりに励み、心と体の健やかな長寿の村をつくります
一、ゆらてぃくの心で団結し、平和で、安全な世界に誇れる白保村をつくります
《具体的な施策》(細目は省略)
一、白保の文化を守り、未来につなげます
◆白保固有の芸能の保存・継承
◆芸能の集落の継承・発展
◆白保の風習・祭事の保存・継承
◆白保の文化遺産の整備・保存
◆白保文化の創造・発信
一、世界一のサンゴ礁を守り、自然に根ざした暮らしを営みます
◆身近な自然環境の保全
◆環境の復元・改善
◆自然の持続的な利用
一、石垣、赤瓦、福木を愛し、きれいな街並みをつくります
◆景観の保全・創造
◆文化遺産としての家・屋敷の保全、
◆新築住宅と集落景観の調和
◆字白保の広域的な景観保全
一、恵まれた自然を活かし、村を支える地場産業を育成します
◆農村集落として農業の継承・発展
◆魚湧く海を活用した地域産業育成
◆あらたな地場産業と地域内での雇用創出
一、地域の教育力を高め、次世代を担うたくましい子どもを育てます
◆地域の教育力の向上
◆青少年の健全な育成
一、スポーツや健康づくりに励み、心と体の健やかな長寿の村をつくります
◆心と体の健康づくりの推進
◆命どぅ宝の精神の普及・啓発
一、ゆらてぃくの心で団結し、平和で、安全な世界に誇れる白保村をつくります
◆ゆらてぃくの心の継承
◆新規住民の白保自治活動への参加
◆協力の仕組み構築
◆安心・安全な村づくり
◆防犯の推進
◆防災の推進、
◆交通安全の推進
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# 前号に続き、白保村の柳田千晶さんに書いていただきました。
『白保ゆらてぃく憲章』の全文は、近く白保魚湧く海保全協議会のホームページ
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V..v 白 保 メ ー ル│\ Sep.3.2007
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//転載歓迎//
<白保村に暮らして 〜村づくりと風景づくりの今後〜(その1)>
柳田 千晶
白保メールですので、白保の住民として白保のことについて書きたいと思います。
そして、今年6月に施行された石垣市の風景づくり条例のガイドライン作りに関わっ
た関係から、今とこれからの白保での風景づくりについても最後に触れたいと思いま
す。
住民といっても私は、白保にお墓があるわけではなく、2000年の秋、ちょうど白保
村が新空港のカラ岳陸上案の受け入れを決議した年に石垣島に移住し、翌年春から白
保村の住民となりました。ですから、それ以前の、空港問題で対立していた頃の白保
のことは、書物で読んだり、人から話を聞いたりするのみで、リアルタイムでの関わ
りはありません。ただ、引っ越した当時の白保は、まるで誰もが物申すまいとしてい
るかのように感じるほど、表面上は静かな村であったように記憶しています。今、思
い返してみると、それは、「空港建設を受け入れたのだから、しばらくはそっとして
おいて」という静かな意思表示だったのか、と思えるほどです。しかしそうとは知ら
ない私は、「海があって、緑があって、人々の静かな営みがあって。ここに住まわせ
てもらっているだけでシアワセ!」と単純に感じていた、無知で調子のいい移住者だ
ったと思います。
ところが、その海が危機的状況にあり、緑は削り取られるためにあり、静けさの裏
に人々の苦渋があることに気づくのに、そう時間はかかりませんでした。白保のサン
ゴは、轟川沿いの田畑から流れ出る赤土などが原因で、2000年以降急激に減少してい
ることが報告されていましたし、保育園の送り迎えで通る県道沿いの緑は、日に日に
削り取られ、新しい建物が建っていきます。新聞紙上を賑わす、“新空港建設こそが
夢の実現”“いよいよ着工!”という浮き足立った記事とは裏腹に、ご近所では誰も、
諸手を上げて喜んでいるふうには見えません。そんな現実に、白保に住むということ
は、実のところ自然破壊を目近に見続けていくことなのか、というある種の絶望感に
襲われたり、空港問題で翻弄され続けた村の傷跡の深さを垣間見て、畏れおののき、
途方に暮れたりもしました。
しかし、それでもなお、この島の海はすばらしく、緑は深く潤い、人々は対立を乗
り越えて村の神事・祭事を受け継ぎ、伝統芸能に興じ、自然に根ざした暮らしを営ん
でいて、そのことは感動的ですらありました。それはここ、白保に暮らし、婦人会な
ど地域活動に関わって初めて見えてきたことです。移住者には“静けさ”をまとって
いるように見えた白保村でしたが、地域に関わっていくにつれ、“村の息吹”を感じ
られるようになり、逆に自分が元気づけられ、勇気づけられる、というこれまでにな
い体験もさせてもらいました。こうした中から心に沸々と湧いてくるのは、自然、芸
能、人々のおおらかさを含めたこの村の在り様そのものが、できればこのままの姿で
あり続けてほしい、という願いでした。
2007年2月、白保村ではこれからの村づくりの指針を示す、“白保ゆらてぃく憲章”
が制定されました。この憲章づくりが始まったのは《ゆらてぃく白保村体験2004》
という、離島・過疎地域ふるさとづくり支援事業の導入がきっかけとなっています。
このとき、運営委員会の中に「地域の状況を調査し、課題を整理して、白保の望まし
い将来像をとりまとめる」という趣旨で次世代プラン班が設置され、私もメンバーに
入れていただいたのです。これを機に、私は“白保の村づくり”に関わらせていただ
くようになります。まずは、村人全員にアンケートをとったり、古老や子供たちに白
保のことを聞いて絵地図を作ったりして、白保を見つめなおす作業から始め、最終的
には、この事業の総仕上げとしての“ゆらてぃく祭り”で、憲章の元となる村づくり
の基本方針を発表することにしました。(このとき作った絵地図は、白保小のバス停
前、郵便局前、船着場入り口に設置されていますので、白保においでの際はぜひご覧
ください。)
さらに、一年を通して村づくりに関わるテーマ別座談会を定期的に開き、広く意見
の聴取を行いました。このように書くと、着々と憲章が出来上がっていったかのよう
ですが、実際はそうではありませんでした。座談会への呼びかけに応じて会場に足を
運んでくれる人は大抵はわずか数名。主催する側としては心細い限りでした。奇しく
も、白保メール主宰の小林氏が、2005年12月発行の白保メールNo.73に“白保の現状”
としてこう書いています。『住民の多くは、「もう公民館決議で新空港受け入れは決
定した。あとは受け入れの条件として掲げた19項目の要望が、一つでも多く実現す
ることを望むばかり。不要ないざこざは真っ平御免」という諦観の境地にあるかのよ
うです。』まさにそのような淀んだ空気が確かに白保を覆っているようでした。それ
でも、参加されたみなさんは自分の思いを熱心に話され、様々な提案やアイデアが出
てきたことは救いであり、諦めずに座談会を開き続けた次世代プラン班の先輩や仲間
の存在は大きな励みでした。こうして、細い糸を手繰り寄せながら取りまとめた村づ
くりの基本方針が“第1回白保ゆらてぃく祭”で発表されました。
支援事業は年度末で終了しましたが、そのあとも次世代プラン班は独自に活動を続
け、アンケートや座談会で出された意見をもとに具体的な施策まで盛り込んだ“白保
ゆらてぃく憲章”案を作成。2006年度の公民館総会で承認されたのを受け、“第2回
白保ゆらてぃく祭”で記者発表されました。ここで次世代プラン班は解散すると同時
に、新たに憲章推進委員会が発足しました。その名の通り委員は、憲章が絵に描いた
餅にならないよう施策を実践・推進する役目を負っています。と、書くと、ここでも
またいかにもスイスイと事が運んだかのようですが、2004年から始まって丸々3年の
歳月が流れているわけですから、本当に「やっとこさ」という思いです。時には、憲
章を作っていることがなかなか住民に浸透せずに苛立ちを覚えたり、このままでは島
ごと開発の波にさらわれてしまうかもしれないという危機感を、まわりの人とうまく
共有できず、しんどい思いをしたこともありました。また、この村の姿がこのままで
あってほしいという願いは、調子のいい移住者の傲慢なのかと悩むこともありました。
それでも村として憲章制定に漕ぎつけたのは、“ゆらてぃく祭り”や“座談会”など
で、白保に住む人たちのあいだで「いろいろあったけど、やっぱり白保が好き」とい
う思いを確かめ合う機会が多少なりとも増え、白保村を包んでいた諦めの空気が時を
経て前向きに転じたこと、そしてもともとある白保の地域力によって、ようやく機が
熟したからだと言えると思います。
それが証拠に、憲章推進委員会が事務局となって今年度開級している石垣市教育委
員会主催の成人学級“白保学講座”には、白保の住民40名以上の受講があり、熱心
に耳を傾ける老若男女の姿が見られます。これまで5回行われた講座では、村内の史
跡めぐりをして古老に話をうかがったり、白保海域が海中公園になったことを受けて、
身近な海を知るために環境省の方やWWFジャパンしらほサンゴ村のスタッフから話
をうかがったり、次回は、白保のアオサンゴを広く世界に知らしめた南山大学の目崎
茂和氏に、“白保の風水”についてお話をうかがいます。そのあとは、石垣市市史編
纂室の得能壽美氏による“古文書に見る白保村”の講義へと続きます。
(以下次号)
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# 島の古い集落に住む方々は、その地域を様々な思いを込めて、村と呼びます。
今号と次号の2回にわたり、本土から白保村に移住した柳田千晶さんに、白保村
での生活、地域づくり、風景づくりについて書いていただきました。
“白保ゆらてぃく憲章”は、スペースの関係で、次号に掲載します。
♪ 『白保メール』ホームページ
http://www1.ocn.ne.jp/~shiraho/
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白保メール NO.93 07.9.3
発行者 鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
shiraho@estate.ocn.ne.jp
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V..v 白 保 メ ー ル│\ Jul.23.2007
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//転載歓迎//
<サンゴ礁の持続的な利用と地域の活性化に向けて(その2)>
白保魚湧く海保全協議会 事務局長 上村 真仁
2.垣の復元と地域での体験学習への取り組み
(1)垣の復元完成
白保で40年ぶりに復元作業を開始した垣は、昨年9月の台風13号により大きく
崩されました。そこで、何とか年内に完成させようと10月に入ってすぐに、地域の
石工の皆さんや小中学生、PTAの皆さんの動員を図り修復作業を行い、10月7日
に完成しました。協議会では完成を祝い、記念式典と祝賀会を開催しました。記念式
典では、魚湧く海への回復を祈りながら白保小学校1年生と復元作業に参加した白保
中学生によるマクブ(シロクラベラ)の稚魚の放流を行いました。また、祝賀会には
多くの地域住民の皆さんにお集まりいただき、完成の喜びを分かち合いました。
(2)体験学習での利用
11月20日復元された垣において白保小学校の全校児童が参加する体験漁が計画
されました。朝6時に浜にPTAの有志が集合し、まだ夜が明けきらない内にPTA
会長の操船する船で、垣の開口部に網をかける作業を行いました。朝8時半、第1校
時には体育館に全校児童が集合し、垣漁についての講義を受けました。あいにく講義
の途中から激しい雷雨となりました。講義終了後、雨は上がっていましたが、雷が鳴
り響いていたことから体験漁は中止となりました。結局、網を外しにいったPTA役
員の皆で魚を追い込み9匹の魚を捕まえました。石積みが終了したばかりで石に海苔
がついていなかったために魚があまり入っていなかったようです。
今年4月19日には白保中学校の全校生徒が参加する体験漁が行われました。この
日はサニズ(浜下り)ということもあり、白保のおじぃやおばぁも大勢竿原(ソーバ
リ)の浜に集まり、垣で捕れた海の恵みを味わいました。この日捕れた魚は19匹で
した。
また、6月1日には白保小学校が体験漁を行いました。昨年度、雷雨で中止になっ
たことから小学生が垣漁を体験するのはこれが初めてです。早朝5時から協議会と学
校の先生で網を仕掛け午後の干潮に備えます。1年生から6年生までおよそ100名
あまりが魚を追いかけ捕まえて64匹の魚が捕れました。
復元後、時間が経つに従いだんだん魚が寄り付くようになってきました。協議会で
は、子どもたちの体験学習として漁を実施する他、捕れた魚の種類や体長、重量など
を記録しモニタリングを行っています。
※ サニズ(浜下り):白保ではサンゴチサニチとも言われる旧暦3月3日の女の節
句。一年で日中最も潮が引く日といわれ、古くはこの日に女性は海に下りて海水で身
を清めた。現在は、家族や友人同士で浜に出て貝や魚などをとり海の恵みを楽しむ日
となっている。
(3)垣の復元効果
サニズに浜に訪れたお年よりたちから、垣を見て昔の記憶と重ね合わせて様々なア
ドバイスをいただきました。その多くが、石積みの構造についてでした。まだまだ、
復元した垣では石の間の隙間が多いようです。また、垣の高さが揃っていないために
魚が逃げ出すのではないかとの指摘もいただきました。
しかし、何よりも白保の海で魚捕りを楽しむ多くの中学生と一緒に浜で魚汁を炊い
て食べるおじぃやおばぁの顔はみんな笑顔で楽しそうでした。
日頃あまり海で遊ぶことの無い中学生達もこの日は白保の海を満喫したようでした。
多くの生徒達が感想文で、浜で食べた魚汁のおいしかったことを書いていたそうです。
垣を復元することで集落の人々が海と接する機会を増やし、海への愛着を更に深めて
もらいたいという復元の目的の一つは充分に達成されたようです。
海での体験を行った児童や生徒達が白保のサンゴ礁を守る担い手になることを期待
しています。
3.サンゴ礁保護に向けた新しい挑戦
平成19年度白保魚湧く海保全協議会では、新しい事業に着手しました。それは赤
土流出対策としての月桃のグリーンベルト植栽を行うというものです。名付けて“グ
リーンベルト大作戦”です。白保は石垣島一番の農村集落です。サンゴ礁の保全と農
地にとって大切な土を守る事業として、白保中学校の生徒達と協力しながらできるだ
け多くの白保の農地へ月桃のグリーンベルト植栽を行おうというものです。
農地も海もともに白保の人々の誇りです。地域を挙げて海も陸も守りたい。そうし
た地道な活動を続けていくこととしています。
5月12日に第1回として白保ヤモレの農地に700本の苗を植えつけました。今
後徐々に農地を拡大していく予定です。
※ 白保ヤモレ:カラ岳の西方にある。この畑は、宮良川上流のアラカチカーラ(河
川の名称)流域にあたる。
4.活動上の課題
白保魚湧く海保全協議会は、地域の有志の集まる任意団体です。こうした団体が策
定する自主ルールは、法的な拘束力ももたずその実効性は未知数です。今後、外部か
ら白保サンゴ礁域での観光へ参入する事業者が出てきた場合、法に基づく権利を主張
されたりしてトラブルになる可能性もあります。
しかし、法的な規制が無いからと言って無制限に事業を拡大することは環境保全上
好ましくないことは明らかです。また、行政が規制を行わないのであれば、このサン
ゴ礁海域と長い歴史をともにして来た地域コミュニティが取り組みを行うしかないの
ではないでしょうか。
今、何らかの規制や利用者間の調整を行っていかなければいずれは取り返しのつか
ない状況になることは容易に予想されます。このルールを広く皆さんに周知し、認め
てもらうとともに、理解と協力を得る必要があります。また、多くの皆さんに賛同し
ていただくためには、協議会加盟事業者自らがルールを厳しく遵守し、率先した保全
活動や地域への貢献活動をしていかなければならないでしょう。まずは、協議会が中
心となり白保地域が結束してサンゴ礁保全と持続的な利用に取り組んでいくことが必
要だと言えます。まだまだ活動は始まったばかりですが、地域の理解を深め、一歩ず
つ取り組みが進んでいくことと思いますので温かく見守っていただければ幸いです。
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# 白保魚湧く海保全協議会の活動についての事務局長上村真仁さんの報告、後半を
お届けします。前号からひと月あまりも経ってしまいました。お詫び申し上げます。
垣の復元の経緯については、白保メール No.82「石垣島白保での海と人との新た
な関係―垣の復元事業―」をご覧ください。
♪ 『白保メール』ホームページ
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白保メール NO.92 07.7.23
発行者 鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
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V..v 白 保 メ ー ル│\ Jun.8.2007
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//転載歓迎//
<サンゴ礁の持続的な利用と地域の活性化に向けて(その1)>
白保魚湧く海保全協議会 事務局長 上村 真仁
何百年にもわたりサンゴ礁の海辺に繰り広げられた白保集落の暮らし。飢饉の時も
戦争で畑仕事が出来ない時も、海の恵みは人々の命をつないできました。この海はま
た、神聖な場所として村の人々の深い精神文化と結びついた大切な場所でもあるので
す。
しかし、現在赤土の流出や陸域の開発、ライフスタイルの変化による環境負荷の増
大により年々サンゴが減っています。
白保村の貴重な財産とも呼べるこの海が失われるかもしれないという危機感から、
白保村の人々によって設立されたのが“白保魚湧く海保全協議会”です。
昨年5月に小林さんから設立経緯を、また、7月には私から“垣”復元プロジェク
トの報告をさせていただきましたので白保メールの読者の皆さんはご存知の方も多い
と思います。(白保メールNo.79、80「白保魚湧く海保全協議会のこと」、No.82
「石垣島白保での海と人との新たな関係―垣の復元事業―」)
協議会は、その後も様々な活動を積み重ね集落内や島内で注目・評価される存在と
なっています。
今回は、白保魚湧く海保全協議会のその後の活動を皆さんにご報告させていただき
ます。
1.白保魚湧く海保全協議会の観光ルール策定
(1)白保集落における観光の状況
協議会設立の数年前からサンゴ礁観光を目的として白保を訪れる観光客が急増して
います。夏のピーク時などは、一つのポイントに6〜7隻の船が出て100名近いお
客さんがシュ ノーケルをするという状況も見られるようになりました。
その結果、それまで白保船着場から満潮の時間帯に合わせて船を出していた事業者
の中にも、潮時に左右されずにサンゴめぐりが出来るよう別の場所から発着するツア
ー業者も現れました。干潮時に浅瀬となって通ることの出来ないワタンジを避けてサ
ンゴ群落のより近くから船を出すためです。
観光客の増加がもたらしたのは、サンゴの劣化や生態系のかく乱です。狭いポイン
トで一度に多くの人数がシュノーケルを行うことは、不注意や技術不足によりサンゴ
を踏みつけたり、フィンで蹴飛ばして折ってしまうなど観光被害を増大させます。特
に、干潮時のシュノーケルはサンゴとの接触の可能性が高く参加者にとっても危険な
場合もあります。中には、餌付けをする業者も出てきました。魚肉ソーセージによる
餌付けなどは生態系のバランスを壊してしまうことにもつながります。
また、民宿やシュノーケルツアー業者の増加により、村の人々の暮らしへの影響が
出始めました。水着で集落内を歩く人、民家や拝所などへ入り込むことなど、村人の
間から治安や風紀について心配する声が聞こえるようになっていました。
外から観光で訪れる皆さんにとっては、白保は魅力的な観光地かもしれません。し
かし、集落に住む人たちにとっては日常の暮らしの場所なのです。
(2)観光ブームに対する協議会の考え方と観光ルールの策定
設立当初より重要課題として取り上げられたものに『観光問題』があります。ここ
であえて『問題』と書かせていただいたのは、協議会の目標とするサンゴ礁保全と持
続可能な地域の発展を考えた場合、現在の八重山の置かれた状況は『問題』であると
考えているためです。
沖縄県、石垣市ともに観光が地域の主要産業であり、経済振興策の中心に観光振興
を位置付けています。石垣島、八重山への入域観光客数は堅調な伸びを示しており、
今後も増加していくことが期待されています。
しかし、このままの状態で観光誘致だけを進めていって本当に良いのでしょうか。
自然環境への配慮はもちろんのことですが、観光産業についても地元優先の発想が無
いと何のための発展なのか分からなくなってしまいます。本土資本の進出や、観光産
業への就職を目当てにした移住者の増加は、島の人々にとって本当に望ましいものな
のでしょうか。
協議会では、サンゴ礁を守ることはもちろんのこと白保で暮らしてきた人々の生活
を守ることも同じように大切だと考えています。そこで、設立からの半年をかけて
「観光客の皆さんへのお願い」を取りまとめるとともに、「サンゴ礁観光事業者のル
ール」を作りました。
自主ルールや決まり事は、白保サンゴ礁が集落の皆の財産であり、祭事や神事、お
かずとりなどの伝統的な集落民の利用を優先することを基本的な考えにしています。
観光業は、将来的に大きなポテンシャルを有する産業であると言えますが、かといっ
て過剰利用を行うとサンゴ礁環境が悪化し、集落にとっても大きな損失となります。
そのため総量規制や利用方法の調整を行いながら持続可能な範囲と方法での観光受入
を行っていくための約束事として機能することが期待されています。
(3)サンゴ礁の利用と保護のゾーニングに向けて
2006年6月14日の協議会定期総会で、「観光事業者のルール」は承認されました。
しかし、利用調整を図り総量規制を行うためには、集落内の既存事業者の皆さんに賛
同してもらうことはもとより、集落内外、島内外に広く情報発信をすることが必要で
す。このルールを知ってもらい、守ってもらう必要があるからです。
そのため協議会では、加盟観光事業者を中心に海浜清掃や廃油ボールの回収に取り
組み、小中学校の海の学習支援に取り組みました。また、昨年ご報告した伝統的な定
置漁具“垣”の復元もそうした協議会の活動を周知し、地域の信頼を得るための重要
な事業の一つとなっています。
地域での活動が認められたことで、昨年10月31日には白保公民館運営審議委員
会において「観光事業者のルール」と「観光客の皆さんへのお願い」が承認されまし
た。これを受けて協議会では、11月20日これら観光関連のルールについての記者
発表を行いました。
ついで、今年に入って2月4日には、石垣市消防本部の協力のもと救急救命講習会
を開催し、3月10日には海上での救助法の勉強会を実施しています。さらに、白保
魚湧く海保全協議会のホームページ(http://www.sa-bu.com/)を開設し、広く情報
発信も行うようになりました。
白保魚湧く海保全協議会では、白保サンゴ礁保全・管理の自主ルールとして、観光
事業者のルールに加えて、観光・レジャー利用者のルール、漁業者・採捕者のルール、
研究者のルールを策定するとともに、白保サンゴ礁海域の利用と保護に関するゾーニ
ングを行う予定です。
<<白保サンゴ礁観光事業者の自主ルール:概要>>
◆ルール策定の目的
本協議会は、白保サンゴ礁を今後とも大切に使いながら次の世代へ継承していくこ
とを目的として、この海を利用する際のルールを関係者の総意によって定めるものと
します。
◆基本的な考え方
(1)白保サンゴ礁環境は、白保の人々が代々守り・育んできたものであり、白保集
落が豊かに暮らして行くために必要不可欠なものです。
(2)白保の人々が伝統的に営んできた海藻や貝の採取など海とともにある生活を将
来にわたり続けていくために、この海を白保集落の共有の財産であるとし、サンゴ礁
環境の保全・管理を自ら行うこととします。
(3)観光、レジャー、漁業など白保の海を利用する全ての人たちが賛同、理解、協
力しこの海を次世代へ継承していきます。
(4)既存の法令や条例を遵守することはもとより、さらにより一層の保全と適切な
利用を進めるために自主的に守るべきルールを定め、これを守ります。
(5) 議会が定めるこの海の保全・管理に関するルールを広く周知し、その徹底を
図ります。
◆ルールの構成
1.白保サンゴ礁海域で観光業を新たに営む際のルール
2. 白保サンゴ礁海域での観光事業者のルール
2-1.安全確保のためのルール
2-2.サンゴ礁環境保全のためのルール
2-3.観光事業者の意識・技術を高めるためのルール
[各ルールの内容は http://www.sa-bu.com/rules/rules.html をご覧ください。]
<<ゆらてぃく白保村へおこしの皆さんへ:観光客の皆さんへのお願い>>
石垣や赤瓦が残り、フクギの緑が美しい石垣島・白保集落。ここは古くからの農村
集落であり「観光リゾート」ではありません。世界一のアオサンゴ群落で有名なサン
ゴ礁の海も「指定海水浴場」ではありません。
皆さんが白保に魅力を感じて遠くから来ていただいたことは、白保に暮らす私たち
にとっても、とても嬉しいことです。しかし、その一方で、日々の暮らしの場に見ず
知らずの多くの方が入ってこられることに不安を感じていることも事実です。
私たちの昔ながらの静かな暮らしを守るとともに、白保集落におこしいただいた皆
さんに快適に気持ちよく滞在していただくために集落内でご注意いただきたいことを
まとめました。
皆さんの白保での滞在がよい思い出になることを願います。
◆白保で注意していただきたいこと
◆祭のときに注意していただきたいこと
◆海で注意していただきたいこと
[各項目の詳細は http://www.sa-bu.com/message/message3.html#shiraho をご覧く
ださい。]
(次号につづく)
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白保メール NO.91 07.6.8
発行者 鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
shiraho@estate.ocn.ne.jp
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