万物の寿命

万物にはすべて初めがあり、そして終わりがある。言い換えれば寿命を持っている。宇宙の始まりは137億年前であった。ビッグバンと呼ばれている。今、宇宙は猛烈に膨張しているところである。膨張を続けるこの宇宙はどうなってしまうのだろう。太陽系は約50億年前に生まれた。地球もほぼ同様である。太陽は今、青年期にあるが、あと50億年後には膨張して拡散し、消滅する。この時は当然のことながら、地球は太陽に飲み込まれてしまい、やはり消滅する。地球の余命は50億年である。地球上の生命は36億年前に誕生したと考えられている。哺乳類が生まれたのは5千万年前、ヒトは200万年前である。わが国では縄文以後の歴史は確認されている。旧石器時代の日本列島がどうなっていたのかは、よく解っていないが、縄文以後の歴史は確認されている。江戸期は封建社会の頂点であった。明治以後、列強に追いつけと富国強兵の政策がとられ、一定の成果を見、アジアの大国にのし上がった。しかし、第二次大戦で敗戦国の悲哀を味わうことになる。昭和23年、わたくしは生まれた。進駐軍が闊歩していた時代であった。当時、ひとびとは生きることに精一杯であった。「りんごの歌」や「上海帰りのリル」を口ずさみながら、闇米買いを続けた。わたくしは、スクーター(そのころ、子供用のスクーターがあった)に乗り、社宅一周を日課としていた。しかし、戦後、わが国は着実に復興を遂げた。高校時代、アメリカの映画を見て、アメリカの消費生活の豊かさに驚嘆したものだった。その後も日本は経済発展を続けた。1980年代には<Japan as No.1>ともてはやされるまでになった。その勢いも今や昔の語り草となっている。わが国でもターニングポイントを迎えている。一方、地球も折り返しの時期に入っている。50億年後には地球は消滅する。つまり地球の歴史でも、そして日本の歴史でも、今がその頂点なのだ。その時代をわたくしは生きている。これを僥倖と言わずして何と言おう。わたくしの人生も50年を経過し、折り返しに入った。しからば、残された命を阿修羅のごとく、突っ走るしか、手はないじゃないか。この世に思い残すことがなければ、死は彼岸そのものとなろう。