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今年度芸術祭参加『菅原洋一リサイタル・日本ポピュラー音楽考』である。 昭和初年から日本に入り、すでに日本人の血脈となった ポピュラー音楽の流れを追っての構成。 熱のこもった台本で意欲のほどがよくわかる。 たんなる曲の羅列に終らせまいという姿勢は、 じゅうぶんに評価できるのである。 だが、その意欲が、じゅぶんに生かされていたかどうか。 大きなテーマであるだけに、どうしてもこちら側に欲が出てくる。 たとえば『センチメンタル・ジャーニー』が欲しかったナ、 というぐあいである。 これはしかたがない。 有限の時間のなかで、おおむね50年のポップス史をやるのだから、 曲はある程度切り捨てを余儀なくされるのだ。 しかし、たとえばP・P&Mのフォークソングなどは、 現在のニューミュージックに与えた影響などから考えても、 省略してはならないものではなかったろうか。 曲の合間を、ナレーションでつなぐのだけれど、 これがいかにも“原稿を読む”かんじなのは興をそぐ。 構成者・野鈴章の肉声が聞こえてこないのだ。 その暗い思い出と、それだけにつのる思い入れは、 むしろこの構成者自身が、ナマの声で客席に、 そして菅原洋一にも語りかけるべきではなかったか。 いつもよりむしろ控え目なサウンドづくり。 これが菅原の歌を前面に押し出す結果を生み、 まさにプロの作業といってよかった。 このリサイタルを成功とするならば、 この東海林編曲の貢献度は高く評価されなければならない。 そして、このテーマには菅原洋一こそがふさわしかった。 仕上がり満点とはいいがたい。 ゲストのキャスティングにも問題は残る。 しかし、このテーマはこれから先も練り直しながら、 公演を重ねていくべきものであろうかと思う。(音楽評論家・伊藤強) |