昭和52年度芸術祭大衆部門優秀賞受賞作品

ニ枚組 \2300.each.

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結論からいこう。とても気持ちのいいリサイタルだった。
今年度芸術祭参加『菅原洋一リサイタル・日本ポピュラー音楽考』である。
昭和初年から日本に入り、すでに日本人の血脈となった
ポピュラー音楽の流れを追っての構成。
熱のこもった台本で意欲のほどがよくわかる。
たんなる曲の羅列に終らせまいという姿勢は、
じゅうぶんに評価できるのである。
 だが、その意欲が、じゅぶんに生かされていたかどうか。
大きなテーマであるだけに、どうしてもこちら側に欲が出てくる。
たとえば『センチメンタル・ジャーニー』が欲しかったナ、
というぐあいである。
これはしかたがない。
有限の時間のなかで、おおむね50年のポップス史をやるのだから、
曲はある程度切り捨てを余儀なくされるのだ。
しかし、たとえばP・P&Mのフォークソングなどは、
現在のニューミュージックに与えた影響などから考えても、
省略してはならないものではなかったろうか。
 曲の合間を、ナレーションでつなぐのだけれど、
これがいかにも“原稿を読む”かんじなのは興をそぐ。
構成者・野鈴章の肉声が聞こえてこないのだ。

かつて、ポピュラー音楽が抑圧されていた時代にこの人は生きてきた。
その暗い思い出と、それだけにつのる思い入れは、
むしろこの構成者自身が、ナマの声で客席に、
そして菅原洋一にも語りかけるべきではなかったか。

 それにしても、圧巻は東海林修の編曲である。
いつもよりむしろ控え目なサウンドづくり。
これが菅原の歌を前面に押し出す結果を生み、
まさにプロの作業といってよかった。
このリサイタルを成功とするならば、
この東海林編曲の貢献度は高く評価されなければならない。

 いずれにせよ、いつかは試みられなければならなかったリサイタルのテーマであった。
そして、このテーマには菅原洋一こそがふさわしかった。
仕上がり満点とはいいがたい。
ゲストのキャスティングにも問題は残る。
しかし、このテーマはこれから先も練り直しながら、
公演を重ねていくべきものであろうかと思う。(音楽評論家・伊藤強)