大中珍道中
GermanオプトメトリーにProsit(乾杯)
JOAジャーナル 1992 Vol10 No.2
今枝 大・中村尚広

 平成4年2月28日から3月16日まで、私達はドイツを中心にヨーロッパを約20日間、大きなリュックサックと共に駆け巡りました。
 今年は、私達がちょうどキクチ眼鏡専門学校を卒業するということもあり、その卒業旅行を兼ねてこの旅行の計画を進めました。
 第一候補として選んだ旅行先はあこがれのヨーロッパ・・・・・・。
 そこでヨーロッパに行くなら『本場のドイツのビールとソーセージ!』・・・おっとまちがえた。
 『本場のドイツの光学機器の工場などを見てみたい!』ということで学校の戸村教授に相談したところ、こころよく話にのって下さり、今回のカールツァイス社、マルヴィッツ社、アーレン眼鏡専門学校、光学博物館、ドイツ眼鏡店「オプティカルベソュケ」の見学が実現しました。

<3月2日(月)>
 日本からドイツ・フランクフルト市まで飛行機で約15時間、そこから列車で4時間程のアーレンという小さな街にカールツァイス本社・光学機器工場があります。

 到着と同時に駅のホームで、通訳のミュッ久氏が私達を迎えてくださいました。(通訳といってもドイツ語から英語の通訳ですが・・…・)
 アーレンという街は美しい山間にあり、日本の工場のイメージとは少し異なり土地が広いせいもあると思いますが、多少ののどかさを感じました。
 本場ドイツの工場なのでさぞやすごい設備かと想像してはいたのですが、日本の工場とさほど違いはなかったように思います。
 そんな中でいかにもドイツらしいサファイアレンズの話が出ました。
 このレンズは人工サファイアが使用してあるレンズで、通常のレンズと比べると規則正しい結晶構造をもつため、強度に優れ、屈折率1.77、アッべ数72という驚異的なしンズに仕上がるそうです。
 しかし素材が素材ですから、価格も1枚140万円也で普通の高級品では物足りない超高級品を求める人のために、1年に何枚かの注文を受けるとのことでした。
 その後、カメラのレンズや直径5mほどの世界最大級の天体望遠鏡のレンズの研磨風景などを見学して工場を後にしました。

 次に同じ街にある眼鏡学校を訪問しました。
 この 学校は1982年に開校した4年制の高等専門学校でした。
 ちょうど春休みということで、学生はほとんどいませんでしたが、そんな中でもコンピュータを前にして必死にレポートをやっている学生を数人見かけました。
 言葉の壁のため、はっきりとした内容はわかりませんでしたが、レンズを立体的にインプットして、そのポイントポイントにおけるひずみについての研究をしていたのではないかと思われます。
 その他、案内の先生によるとメガネ加工の実習ではレンズもフレームもそれぞれ原形から手作りするそうです。
 我校でもメガネを加工しますが、この学校のようにレンズまで磨くということはおこなっていません。
 その他検眼実習設備も充実しており、ドイツという国の視科学に関する教育レベルの高さに感激しました。

 ひと息ついてから、私達は光学の歴史を展示してある光学博物館を見学しました。
 ここにはカールツァイス社によって現在までに製造された顕微鏡や天体望遠鏡、各種光学機器、そして人類初の月面着陸時に持っていかれたカメラなどが並べられており、またメガネに関しても1300年頃にペニスで作られた鋲どめメガネをはじめとする鼻メガネ、フランクリンメガネなどが時代の流れに沿いながら展示されていました。
 どれを見ても珍しく、初めて見るものばかりで・・・。
 そんな数多い展示物を見ながら驚いたのは、日本の品物が以外にも多かったことでした。

<3月3日(火)>
 この日はまずシュトッツガルト市にあるマルヴィッツ社の眼鏡フレーム工場の訪問か始まりました。

 メタルフレームをはじめポイントフレーム・オプチルフレームの製造工程を順番に見学する中で、国内向けフレーム・輸出用のフレームと作り分けられているとのことでした。
 そんな中、顔のつくりが平坦な日本人向けのフレームは、,あてのところを細かいところまでフィッティングできるようにするため、多少コスト高になってしまうとおっしゃっていました。
 また、この工場でのプラスチックフレームは、ほとんどがオプチルで、日本で多く用いられるセルフレームについて尋ねてみると、『燃えやすい』という点からほとんど使用されないとのことでした。
 デザインにおいても、普段日本でみかけるものとはだいぷ違っていたようで、今思うと、ドイツの街でみかけたメガネは、非常におしゃれでカラフルで、きれいで・・・・・・。
 これは国民性の違いもあるとは思いましたが、それでも大人から子供までメガネのかけ方がうまい!「よく似合ったメガネをかけているなあ」と感じました。

 最後に私達が訪ずれたのが「オプティカルベシュケ」というところです。
 ここも同じシュトッツガルト市内にある眼鏡店でコンタクトレンズも取り扱う店でした。
 日本の店舗とは少し異なり、店内のディスプレイは少なく要所が展示してあるのみで、その中には弱視の人のための弱視レンズセットやオプチスコープ(拡大像映設備)もおいてあり、月に1台ぐらいの割合で売れていくとのことでした。
 また、フレームデザインの変更も同店でおこなっており、オーダーメイドのメガネ作製ができるのだそうです。

 以上、ここまでが、正式に訪問したドイツでした。
 その後はシュトッツガルト市に別れを告げて、オーストリア・スイス・フランスを旅して帰国しました。
 旅の途中、私達はきれいに飾られたセンスの良いウィンドディスプレイをいくつも見ました。
 それは眼鏡店に限らず洋服屋さんやおもちゃ屋さんなどでも同じで、とにかく夜は、店は閉まっていてもウィンドウだけは明かりがついており、それを見て歩くだけでも楽しくて"これぞ本当のウィンドウショッピング"などと2人でぐるぐる街中を歩き回ったことが思い出されます。

ヨーロッパですごした約20日間、列車を使っての旅だったので、重い荷物をかかえての移動など大変なことも多々ありましたが、私達にとって、おそらく一生に一度しかできないだろうといえる旅行にすることができたと思います。
 ヨーロッパのドイツにおけるオプトメトリーに関してもほんの少し自分なりに理解できたし、第三者的立場から日本の現状を見つめることができたので自分自身の刺激にもなりました。(完)