片田舎のオプトメトリー啓蒙
JOA Journal Vol18 No.2 2000
中村尚広(尚時堂株式会社 専務取締役)

流れ

 キクチ眼鏡専門学校を卒業後、研究員課程を経て、九州の実家に帰郷する。
 メガネを乱売するという風潮がある昨今、お客様に「視機能の重要性」を一緒にご理解いただくのは非常に難しく、アイデアが必要となる。
 そんな中私は「スポーツビジョン」を通してみずから勉強し、お客様に情報提供している。
 帰郷して5年ほどたった頃からテレビでのコマーシャルをはじめた。
 このコマーシャルは5〜6社のスポンサーで構成されており、「○○名店街アワー」といった感じの内容である。
 自社の持ち時間はわずか30秒で、この中に宣伝したいことを盛り込むのは至難の業である。
 コマーシャルの内容は主に、@オプトメトリストのことA視機能の重要性のことB特殊商品のことの3点で構成されている。

長崎日大高校との出会い

測定風景
日大高校にて

 テレビのコマーシャルを続けて2年目になるとき、すばらしい出会いがあった。
 地元長崎の甲子園常連校「長崎日大高校」のトレーナーからご連絡をいただき、「是非お話がしたい」ということであった。
 それから高校野球選手のスポーツビジョン検査が始まった。
 仕事の傍らにおこなう検査で、一度にた「くさんの選手の眼をみることは出来ず、週に1回、2〜3人のペースで検査を行った。
 最初は特別な検査をするのではなく、まず211項目検査を軸として、フリッパーによる調節効率、ブロックストリング、眼球運動チェック(saccade,rotation)などの検査を行い基礎データを収集した。
 
 やはり甲子園レベルの選手ということで全体的にその能力は高かった。
 しかしチームの中に何人か気になる選手を発見した。
 右投右打セカンドをするT君は視力右0.15左0.6でプレーをしていた。
 ピッチャーの投げるボールが見づら<、仕方がないのでオーブンに構えて打っていたそうである。
 このような選手が2名ほどおり、早速コンタクトによる矯正を行った。
 選手達は以外に視機能の検査をしっかりと受けておらず、初めての検査に興味をもって対応してくれた。
 もうーつ気になったのが、眼球運動の不自然な選手が多い事であった。
 どう考えても両眼視が不完全なのではと思われる選手を発見し、更に選手の能力を高める上で、チームの視機能チェックの重要性を認識した。
 その後、このようなことが余程珍しかったのだろう、新聞社と地元テレビでの取材をうけた。
 これがきかっけとなり、多方面の方からいろんな質問を受け、お客様との会話の中にも視機能の重要性の話題がよくでてくるようになった。

スポーツビジョンネットワーク

 スポーツビジョンという分野に携わり、いろんな先生方と出会い知り合うことが出来た。
 「眼で考えるスポーツ」の著者内藤OD.をはじめ、大阪の「視覚情報センター」の田村先生、そして「愛知工業大学」の石垣教授など、実際にお会いすることができいろんな相談にのっていただいた。
 各師、非常に熱心にご指導いただき、心より感謝している。

測定機器「シンガン」
田村式眼力ボード

 そんな中、大阪の「視覚情報センター」の田村先生より「シンガン(心眼)」という測定機器を導入した。
 この機械はスポーツビジョン測定において非常に効果的である。
 眼と手の協調性の測定をはじめ、正確な判断力、慎重性の測定、眼球運動トレーニング、両眼視状態のチェックなど、組合せにより多数の検査が可能である。
 現在、店頭に設置しているが、最近ではお客様をはじめ、近くの高校の生徒が競ってチャレンジしてくれている。
 小さな子供さんから大人まで気軽にスポーツビジョンに触れていただいているようである。
 また、それ以外にも田村先生より、自作の機械をお譲り受けし、楽しく測定している。

「オリック・スブルーウエーブ」視機能検査に同行

オリックス検査風景
オリックス川越選手

 2000年1月、思いもがけない検査に同行することが出来た。
 プロ野球のオフシーズンに「オリック・スブルーウエーブ」の視機能チェックを体験させていただいた。
 これは大阪の田村先生のお誘いをうけて実現したものである。
 田村先生は10年以上前、「オリックス」が「阪急プレーブス」の時より選手の眼を測定され、現在に至られている。
 正常な視機能について、ブロの選手に堂々とご指導なさる姿はとても印象的だった。
 田口選手をはじめ一流選手の眼の状態をみることが出来たのは、非常に感動的であった。

今後の展望・目標
 現在は、地元の女子ソフトボールチームの選手、空手の選手、野球選手の眼の検査をさせていただきながら、出来るだけ説明・解説をすることによって、これが視機能(オブトメトリー)啓蒙につながってくれればと願い、経営活動を行っている。
 スポーツビジョン・トレーニングをするとすぐに結果がでるというものでもない。
 また商売との両立というのも大きな課題のーつである。
 今後は、スポーツビジョン検査トレーニングのために、更に必要な機器を充実させ、もしできることならば検査ルームを開設して、スムーズに検査ができるようにしたい。
 そして一人でも多くの方々に、オプトメトリーに興味をお持ちいただき、オプトメトリストとして、ビジョンケアを推進していきたい。(完)