卓球選手の視機能について
一般女子卓球選手と高校選手の比較

山本武司(華頂短期大学)・山岡憲二(京都文京短期大学)・増田 洋(嵯峨美術短期大学)・田坂登紀夫(同志社大学)・足利善男(京都産業大学)・村上博巳(京都産業大学)・田中信雄(京都産業大学)
目的:スポーツ競技では、情報の80%以上を眼から得ているといわれている。さらに周囲の状況の変化に対する敏速な対応動作が要求される。卓球競技は、速いボールを性格に捕捉し、また微妙な回転やスピードの変化を見極める能力が要求され、多くの情報を性格に取り込む必要のある競技である。そこで、関西学生一部リーグ所属の大学女子卓球選手(U群)と京都府の全国高校大会出場の高校女子卓球選手(J群)を対象にスポーツビジョンの測定を実施し、競技力と視機能の関係について検討した。
方法:対象者はU群9名(裸眼4名、コンタクト5名、年齢20.4±1.2歳)、J群12名(裸眼11名、メガネ1名、16.3±0.4歳)である。なお両群の対象者は、プレーをしている状態での静止視力1.0以上の選手である。測定は、静止視力、前方動体視力、左右動体視力、コントラスト感度、眼球運動、深視力、瞬間視、眼と手の協応動作の8項目を測定した。競技力の優劣は試合の勝敗で決定した。
結果:両群の競技力はU群がJ群より有意に優れていた。また総練習量はU群9653.7±1440.1、J群4644.0±1742.7時間でU群が有意に多かった。測定項目の静止視力は、両群に有意な差は見られなかった。前方動体視力、瞬間視はU群がJ群より有意に高い値を示した。他の測定項目においては有意な差は見られなかった。合計得点は、U群がJ群より有意な高い値を示した。また静止視力と前方動体視力との間には有意な正の相関関係が見られた。さらに前方動体視力とコントラスト感度との間には有意な負の相関関係が見られた。そして静止視力に対する前方動体視力の比では、U群がJ群より有意に高い値を示した。また合計得点との間には有意な正の相関関係が見られた。

まとめ:大学女子卓球選手(U群)と高校卓球選手(J群)を対象に競技力と視機能の関係について検討した。その結果、競技力はU群がJ群より有意に高かった。またコントラスト感度との間に有意な正の相関関係、深視力と眼と手の協応動作との間には有意な負の相関関係が認められ、前方動体視力が卓球選手の競技力に大きく影響していることが認められた。前方動体視力の低値な選手は、距離感覚に歪みを生じ、また取り入れる情報量に影響を与え、メカニズムとして多くの回路(眼、脳、手)を協応する能力に影響を与えていると思われる。今後、卓球選手の競技力の向上には1.静止視力の矯正2.前方動体視力の向上3.眼と手の協応動作を高めるトレーニング方法の開発が重要であることが示された。