X線結晶学について

☆X線結晶学
☆結晶構造解析
☆回転結晶法
☆X線の発見
☆X線の発生
☆X線の波長
☆格子(原子)面の名前の付け方
☆自由電子によるX線の散乱

☆X線結晶学

英:X-ray crystallography
仏:radiocristallographie
独:Rontgenstrahlkristallographie
X線の回折による物質構造とくに結晶構造に関する研究、およびその方法的体系をいう。ラウエによるX線の回折現象の発見(1912)に基づいて発展し、近代的な意味での結晶学の主要な部分をしめる。運動学的回折理論、動力学的回折理論、回折諸現象の実験的研究などを基礎とし、結晶構造解析を軸として、他の諸科学といろいろに関連し ている。とくに分子生物学への寄与は著しい。

☆結晶構造解析

X線、電子線または中性子線の結晶による回折を利用した結晶構造の解析。ほぼ単色で平行な線束を単結晶に当てながら、結晶の方位を系統的に変えて、多くの結晶網平面からのブラッグ反射強度をワイセンベルク・カメラやブリセッションカメラでフィルムに記録して現像し強度測定するか(回転結晶法)計数管を備えた4軸回折計で反射強度を系統的に測定する。(X線回折計)こうして得た反射の消滅則からその結晶の対象性を求め、それが属する空間群をきめる(一義的にきまらないこともある)対称中心の有無も積分反射強度の統計から決定できる。

☆回転結晶法

単結晶によるX線の回折像を撮影する方法の1つで、単色平行X線を当てながら、小さい単結晶試料を入射線に垂直な軸のまわりに等角速度で回転させ、結晶の周囲に円筒状においたフィルムに回折斑点を撮影する。これを回転写真という。普通対称性の高い晶帯軸を回転軸に選ぶ。軸上に等間隔に並んだ格子点の距離をABとすると、ラウエ条件の1つABsinφ=nλ(λはX線の波長、nは整数)を満足するφの方向にだけ回折線が現れるので、φの値の等しい回折線は回転軸とπ/2ーφの角をなす円錐面上にのる。これらの円錐とフィルムの交線は平行線の群(層線)となる。斑点の配置から結晶の対称性、結晶系などの知識、層線の間隔から回転軸方向の周期、各斑点の強度から結晶構造解析に必要な資料が得られる。結晶の回転角度範囲を小さく限定して往復振動させる振動結晶法では、層線上の回折斑点は少なくなる。遮光板で特定の反射指数のものだけを取り出し、結晶と同期して動くフィルム上に記録するムービングフィルムカメラもあり、とくに振動結晶法と層線スクリーンを組み合わせて特定の層線だけを取り出すものをワイセンベルク・カメラという。多数の格子面からの反射の指数付けや反射強度の比較に便利で、結晶構造解析にきわめて広く用いられている。撮影しようとする逆格子面との相対関係が変わらないように平面形のフィルムを連動させて、逆格子点を変形させずに撮影するカメラもあり、たとえばプリセッションカメラでは逆格子面の法線が入射X線を軸として最差運動する。


☆X線の発見

1895年W.C.Rontgenは陰極線の研究中にX線の発見に至った。しかし当時においてはこの謎の新放射線についての定性的な性質については幾つかの発見がなされたが、その本質そのものについては不明であった。しかし1912年M.von.Laueの理論的指導のもとにW.FriedrichiとP.Knippingが観察に成功した結晶による回折現象はX線の波動的本性を明らかにしたばかりでなく同時に物質の構造の研究に極めて有力な手段をもたらした。なおX線の回折現象のより詳細な理論的発展はP.P.Ewagg、W.L.Bragg父子によって行なわれた。

☆X線の発生

X線の発見が陰極線の研究中になされたという歴史的事実が示すように、X線は陰極線が衝突する物質から発生する。この場合発生するX線の性質、強度などは陰極線(電子線)が当たる物質によって異なる。この陰極線が衝突する場所の対極線という。X線を発生させるためには、それに先だって陰極線の発生がなければならず、そのためには陰 極と対陰極の間に相当の高圧がかけられる必要があり、適当な真空が実現されなければ ならない。この真空実現の方法として現在用いられているものは、1つはクーリッジ管 と呼ばれる一種の真空管で熱陰極及び対陰極をともに真空管に封じ込んだもの(封入型)であり、他は真空ポンプにより陰極、対陰極の真空度をよくするもの(開放型)である。

☆X線の波長

発生するX線の波長を解析してみると、それは主として加速電圧に依存する連続的なスペクトルを示すもの(連続X線)と対陰極の物質に固有な線スペクトルを示すもの(特性X線又は固有X線)の2つに分類される。この固有X線の発生つきW.KosselはN.Bohrの原子模型を用いて見事に説明した。N.Bohrの理論によれば、原子内で電子は原子核のまわりを不連続ないくつかの安定軌道を描きうる。今、これらの軌道を一番エネルギーの低いものから順番に各々一定数の電子が占めて原子が構成されていると考える。軌道の主量子数nによって電子群を分類し、これらを電子殻と呼ぶ。n=1,2,3…に対応して各電子殻をそれぞれK殻、L殻、M殻…と命名する時、原子は原子核をこれらの殻が囲むような構造をもつものとして表される。各殻から電子を原子外に引き出すの に必要なエネルギー(電離エネルギー)をEK、EL、EM…とする。(EK>EL>EM> …)K系列のスペクトル発生は次の様にして起こると考えられる。外から高速の電子線、又は光量子(X線)の作用でK殻からまず電子が一個原子外に追い出されるとK殻に移転しうる。この移転はK殻が電離されている状態からL殻が電離された状態に移るので、
hνα=hc/λα=EK-EL
のエネルギーを持つ光量子(電磁波)が放出される。同様の電子の移転はM殻…から起こってもよいので
hνβ=hc/λβ=EK-EM
hνγ=hc/λγ=EK-EN
の一連のスペクトルが放射される。これらの一連のスペクトルをK系列スペクトルという。この場合、注意すべきことはK系列スペクトルが放射されるためには、まずK殻が 電離されることが必要条件である。そのためには、Ek=eVK以上の加速電圧が陰極と対陰極の間にかけられなければK系列スペクトルは放射されない。この事実は特性X線に特徴的で連続X線の発生においてはこのような励起電圧は存在しないので、加速電圧V(eV=hν0=hc/λ0)で定められる上限を有し、それより低エネルギー側に尾を引く連続スペクトルを示す。連続X線の発生機構は複雑で不明な点も多いが、その主なものは制 動輻射によるものと思われる。以上の事実からX線とは充分短い波長を有する電磁波(λ=0.1〜10A)であることが分かる。

☆格子(原子)面の名前の付け方

結晶格子を構成する基本の立体を単位胞(unit cell)と名付け、この単位胞のたて、よこ、高さに対応する各辺に沿って座標軸をとり、これらを結晶軸(a軸、b軸、c軸)と呼ぶ。単位胞の各辺の長さをa、b、cで各辺間の角度をα、β、γで示す。a、b、c;α、β、γをその単位胞の格子定数という。
今、任意の格子面を考え、これが結晶軸とa/h、b/k、c/lで交わったとする。(h,k,lは0を含む整数)結晶格子面については、この交点は必ずa/h、b/k、c/lの形で表示する事が出来るー有理指数の法則ー。このときこの格子面を(h、k、l)で示し、h、k、l面と 呼ぶ。(Miller指数)すなわち任意の格子面に名前をつけるには、
1、その面と結晶軸(a軸、b軸、c軸)との交点を求め、それらをa、b、cを単位として表示する。
2、その表示の逆数をとる。
3、もし、これらが分数で示されるなら、分母の最小公倍数を乗じてすべて整数で表示する。なお、格子面が結晶軸のどれかと平行な場合には無限遠点でその軸と交わると考える。

☆自由電子によるX線の散乱

波長の短い電磁波であるX線が物質に当たる時、その電場成分によって物質内の電子は振動させられる。散乱X線とはこの振動電子が周りの空間に放射する電磁波と解釈出来る。荷電粒子が空間を加速度運動する時、電磁波が放射されることは古典電磁気学の結論である。今、電荷eの荷電粒子が原点Oにおいて加速度aを持つ時、その周りに放射される電磁波の場の分布を、Oを中心とする半径rの球面上で考える。球面上の任意の一点Aにおける電場E及び磁場Hは加速度の方向を極軸にとると、その大きさは
E(r,χ)=H(r,χ)=(ea/c^2)sinχ/r(c:光速度 χ:極軸とOAのなす角)

☆原子によるX線の散乱

☆結晶によるX線の回折

☆消滅則

☆結晶格子の対称性

☆格子面とミラー指数

☆逆格子ベクトルと逆格子

☆エワルドの反射球

☆ラウエ法

☆透過ラウエ写真の特徴とその意味

☆ノモン投影法と回折斑点の指数付け

☆回折斑点を与えるX線の波長


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