<トップページへ>

A.伝染性腹膜炎について

 猫の伝染性腹膜炎についてはホームページの色々な場所で記述していますが、最近経験した症例について書きます。症例は2歳の雌猫で一週間程度旅行のためにあずかった直後に体調がおかしくなり、元気食欲の低下、体温の上昇、抗生物質やインターフェロンに反応しない状況にこれは単純な風邪ではないと判断して色々と検査を実施しました。血清の生化学的な検査や臨床症状から伝染性の腹膜炎を疑いさらにウイルス検査の結果FIPであることが判明いたしました。病名が分かれば予後は決定的ですが、この症例では伝染性腹膜炎に特徴的に見られる腹水がほとんどなく何回挑戦しても取れませんでしたが、総合的に診断の目途はついていたので飼い主への説明も納得させられるものでした。あと2ケ月という余命もほとんどぴったりでした。始めにおかしくなったときは病院での感染を心配いたしましたが、潜伏期が特定できない病気であることや同居猫がいても伝染力が極めて弱いことから感染の危険性が低いことなどそれほどパニックに陥らずに最後を迎えることができました。伝染性腹膜炎の中でも診断のしにくいドライタイプのものであったようです。この病気についてはワクチンがないので、対処のしようがありません。

B.猫ジステンパーの伝染力

 猫ジステンパーについては予防接種があり治療についても輸血やインターフェロンなどが効果的な治療成績を挙げています。ところがこの伝染力は大変なもので、流行期には多数飼育していらっしゃるお宅ではほとんど全滅と言ってよいほど感染してしまうことが多々見られます。そのウイルスの強さにはびっくりさせられます。これも内輪の話になりますが、緊急の事故で入院した猫ちゃんですが、感染予防の目的で手術当日にインターフェロンを投与しておきました。インターフェロンの防御有効期間は5日といわれていますので5日おきに投与しなければならないのですが、経過が良かったことでつい忘れていました。するとジステンパーの猫ちゃんが入院することになり室内が汚染状態になりました。他の輸血猫や入院猫は予防接種がしてありましたがこの手術の猫ちゃんは抵抗力が切れてか7日目に吐き気を示し、白血球がほとんどない状態になり完全に猫ジステンパーの症状でした。幸い輸血と再度のインターフェロンの投与で数日で回復いたしましたが改めて感染力の強さに驚かされました。

特集・犬に噛まれて貧血

 恥ずかしい話をご披露します。深夜わんちゃんを放し飼いにしていた飼い主の連絡で交通事故に遭ったそのわんちゃんを診察することになった。何しろ放し飼いと言う状況でその家庭がある程度推察されるのですが、始めにいきなり狂犬病の注射はしていないから注意して扱ってくれと言うではありませんか。交通事故で腰が立たないのはすぐに判断できますが、まず心臓はどうかと心電図をとるとこれはほとんど正常でまず緊急の処置は必要ないことが判明、次に腰のレントゲンを撮影しようとすると、お金がないから最低の治療をしてくれと言うのです。あきれて抗生物質、止血剤の注射を打って帰そうと思っていると、首輪がきつそうだからはずしてくれとの注文です。狂犬病の注射をしていないどころか噛み付くよと言うではありませんか。噛まれないために慎重にエリザベスカラーをつけてから首輪をはずそうとしたのですが、そのエリザベスカラーを着けようとしたそのときにバクとやられてしまいました。もう10年以上噛まれた経験はありませんし、狂犬病の予防接種はしていないし、噛み付くと言われて噛みつかれる悔しさ、激しい痛み、流れ出る血液、それでも飼い主は平然と首輪をはずせと催促するのです。怒りと、痛みと悔しさで、一時的に頭の中が真っ白になり貧血を起こしました。血だらけの手で何とか首輪をはずしその日は帰ってもらいましたが、最後に追い討ちを掛けるようなことが起きました。診察料を払ってくれなかったのです。翌日自宅に集金に行くと私の心配どころか犬の餌はどうすれば食べるかと言う質問で、お金を支払う気配は全くなしでした。さらに郵送による催促、電話による催促など合計5回くらいの催促で実際に集金できたのは半年後でした。こんなにひどい目にあったのも初めてでした。でも診察料を払ってしまうと平然とまたダニの相談など電話でして来るのであきれてしまうばかりである。

1.ドライフードの効用

 相談のコーナーでも良く質問されるのですが、特に若い時期にドライタイプのフードをわざわざお湯や牛乳でふやかして与えている場合が多く見られます。わたくしはこのことにとても疑問を感じます。一つは柔らかい食べ物は歯の為に歯垢や歯石を溜めやすくするのでとてもよろしくないと言うこと。動物はほとんど歯磨きしないので食べ物によってその歯の清浄を維持しなければなりません。毎日動物の歯磨きをしてあげる飼い主さんならばあえて柔らかい食事に文句も言いませんが、さらにわざわざ硬いフードを柔らかくしてもお腹のためにはならないと考えられます。人間の噛み砕く行為が消化を助けるとはご存知でしょうが、猫ちゃんやわんちゃんの歯は単純に引き裂く程度の役割しかいたしませんので、ほとんど口に入った状態とお腹の状態がお同じ程度の消化状態です。ですから柔らかくする意味が余りないのです。硬いままと柔らかくしたもので比較されればすぐに分かると思います。ドライはドライで使われたほうが良いと思います。

2.夜鳴きに心臓病の薬

 動物も高齢化社会になり色々な老人病が発生しています。夜鳴きもその一つです。原因が特定できずに悩んで相談にこられる場合もあります。まず散歩させたり、食事をもう一度与えたりして様子を見ても相変わらずの夜鳴きの場合は、心臓の働きが悪くなることから来る循環不全即ち脳の血管も循環障害を起こしている可能性がありますので、循環障害に対する治療が一つのポイントになります。実際に夜鳴きが強心剤で改善された例があります。もちろん段階的に悪くなるのでさらに色々な循環障害のお薬が必要になってくると思いますが、第一歩として考えてみる価値はあると思います。

3.膵臓萎縮症について

 特に若いセパードに見られることが多いのですが、突然の下痢、発熱、痩せてくる、すっぱい灰色の便、時には自分のした便を食べてしまうこともあります。膵臓を覗いて見ると分かるのですがひどい場合はぺらぺらの紙より薄くなって向こう側が透けて見えるほどになってしまいます。ここまでなると臓器の機能はほとんどなく出してくれる消化酵素もほとんどありません。消化剤や整腸剤さらにビタミンなど多くの薬品が必要になってきます。何よりも血糖の調節に関係している臓器なので、命に関わるといっても過言ではありません。人間の場合は原因はアルコールが一番多いのですが、動物では原因不明の膵臓障害が最も多いとされており、遺伝的な面、細菌感染などが関わっているのではないかと指摘されています。

4.猫ちゃんはゲージへ

 遠方への往診で困ってしまうことが一つあります。わんちゃんはほとんど繋いであるので問題ないのですが、猫ちゃんは自由気ままに動ける環境なので、放し飼いにされている場合がほとんどです。このとき診察してもらうことが明らかなのにそのあたりをうろうろしている猫ちゃんは突然の訪問者にびっくりして姿を消してしまうことがあります。時間をかけて往診してもいなくなってしまうと診察も何もありません。ただあきらめて帰るだけなのです。片道1時間の往診では本当に泣きたくなってしまいます。飼っていらっしゃる方は猫が驚いて逃げるなどとは思われないでしょうが、見知らぬものの訪問は猫ちゃんにとっては逃げたくなると思います。猫ちゃんの往診は必ず部屋に閉じ込めておくか、ゲージに入れておいてほしいものです。

<トップページへ>