温室効果ガスの主成分は水蒸気、地球温暖化ガスの元凶は炭酸ガス
1.温室効果ガス
地球の大気は、地表から対流圏(10~16kmまで)、成層圏(45kmまで)、電離層(100~400kmまで)で覆われていますが、大気物質の殆ど(約80%)は、対流圏に存在しています。如何に対流圏が薄いかを実感するために、地球の直径を、仮に1.5mに縮小しましょう。地球の直径は、12,740kmですから、なんと、この時、対流圏の厚みは、1mmになります。
地球の大気は、窒素が5,酸素が1の割合で出来ているのは、ご存じですね。より厳密には、窒素:酸素:水蒸気・炭酸ガス・その他微量のガス類=78 : 21 : 1~3(合計100)の割合で、表(大気成分表)の通りで、高度に無関係にほぼ一定です。ここでは、比較のため、金星、水星についても示しております。
この僅か1~3%に相当する、水蒸気、炭酸ガス、その他微量のガスの一部(オゾン、メタン等)が、太陽光の一部と地球からの輻射熱の赤外線を吸収し、同時に、赤外線を等方的に放射し、これが、地球を適度に暖めてくれるのに役立っています。この、ガスのことを、温室効果ガスと称しています。これを、波長との関係で詳しく示したのが、図(太陽放射と地球放射の関係)です。又各気体の赤外吸収スペクトルを図(大気中の各気体の赤外吸収率)に示します。
地球の温室効果ガスの主体はあくまでも水蒸気(1~3%)であり、次いでその50分の1程度の炭酸ガス(0.036%)があります。この炭酸ガスを、常温常圧(20℃、1気圧)にすると、たかだか、2.8mの厚みになってしまいます。又、この重さは、炭素換算で7,300億トンになります。
温室効果ガスは地球環境悪化の元凶と誤解されがちですが、実は元は、大変有り難い存在なのです。現在、地球の平均気温は、15℃ですが、仮に、この温室効果ガスが地球大気に無かったとしたら、-18.5℃になると計算されています8)-p19。将に、この、33.5℃もの違いが、温室効果ガスの効果の中身です。
太陽に一番近い水星では、大気は皆無の真空状態で、太陽輻射に直接支配され、日中は、400℃を越えるしゃく熱地獄、夜は、-160℃の極寒の世界となっています。
火星では、大気の主成分が炭酸ガスですが、その濃度が地球の大気の100分の1以下と希薄なため、地球より太陽に近いのに、表面温度は、-50℃と大変な低温です。逆に金星の場合のように、その濃度が高すぎると、年中灼熱の世界(460℃)となって、同様に生物は住めなかったのです。
地球大気の、窒素・酸素ガスの主成分に加え、1~3%と言う、ほどほどの温室効果ガスの存在は、宇宙の不思議と言うより他有りません。
2.地球温暖化ガス
そして、地球温暖化の元凶は、下記の状況から、炭酸ガスと考えられています。
文字通りの地球温暖化は、図(地球大気の年平均気温の経年変化)に示すように、1970年台後半に入ってからの、地球の気温が少しずつ(0.01℃/年)上昇している現象を言いますが、この温度上昇が、大気中の炭酸ガス濃度の上昇と符合しているところから、化石燃料の消費を抑制すべきとの社会的問題との関係で語られることが多いのです。
実は、この地球温暖化が、社会的問題として採り上げられるようになったのは、比較的新しいことなのです。
図の棒グラフをよく見れば分かりますが、1940~1970年代中盤の期間は、地球大気の温度は、低下気味であり、世界の各地で起こる異常気象は、地球寒冷化の兆候として語られていたのです。ここでは、濃度の上昇する温室効果ガスである炭酸ガスの影響より、エアロゾルによる太陽輻射エネルギーの宇宙への反射の影響の方が大きいと説明しています。
所が、1970年代後半に入って、気温は上昇に転じます。各地での異常気象が、今度は、温暖化がもたらすものとして、議論され始めます。その後、20数年間、温度は上がり調子が続いています。
寒冷化か温暖化か、何れにしろ異常気象が頻発する問題の原因をはやく突き止めねばならないと、関心が高まり、1979年に、世界気候会議(WMOによる)で、気候変動に関する議論が始まっています。17)
その後、1988年に、IPPCが設立され、1990年に最初の評価報告書を発表、ここで、「温室効果ガスの影響で、来世紀末までに全球平均気温が3℃程度,海面 が約65cm上昇すること、そして、温室効果ガスの濃度を現在のレベルに保つには、人間活動に伴うCO2排出量を、今より60%削減すること」を主張した。これは、世界中の何千人もの科学者や、政府関係者、団体の人々の議論の結果まとめられ、国連の支援の元に出されていまして、今も、気候変動に関する知見を集大成・評価したものとして高い評価を受けています。
その後、リオ地球サミット(1992年)、COP3(京都議定書)、ヨハネスブルク地球サミット(2002年)と、継続されてきています。
図(南極大陸東部中央にあるボストーク基地の気温と、炭酸ガスの関係)をご覧下さい。氷同位元素史と、切り出した氷芯から採取した炭酸ガスの歴史をプロットしたものです(J.R.プティットその他による論文より)。気温と炭酸ガス濃度が、ほぼ同期して変動しているのが分かります。炭酸ガス濃度は、最大で300ppmであることが分かります。
そもそも、人間活動によって炭酸ガス濃度が増えだしたのは、産業革命以降、即ち1800年以降ですから、40万年にまで遡っての炭酸ガス濃度の変化の説明は、他の原因で行われなければなりません。軌道の揺らぎと、それが氷床・風・その他に与える影響によって発生したと推定されています。そして、この炭酸ガスの濃度の変化が、大気温に影響を与えたと推定されています。このデータは、大気温変動の炭酸ガス原因説の有力なデータとなっています。25) しかし、正確なタイミング、すなわち、どちらが先かは、未だ分かっていないのです。
ここで、温室効果ガスの主体である水蒸気は一体どうなったかを見ておく必要があります。水蒸気濃度は、場所、高度によって目まぐるしく変動しているので、勿論、局地的、時間的な温度変化には中心的に影響しているのですが、水蒸気/水/氷のサイクルは、少なくともこの数十万年間は、平均すれば、変動は無かったと考えるのが妥当だと見なしているわけです。上述の炭酸ガス濃度との関係がでていなければ、未だ、メカニズムを見つけるのに、この水蒸気は、議論の対象になっていたと思われます。